まちかど逍遥

私ぷにょがまちなかで遭遇したモノや考えたコトなどを綴ります。

近三ビルと丸石ビル

2008-05-23 01:13:20 | 建物・まちなみ
こないだの週末に、東京で「open!architecture」という
普段公開していない建築物を公開するイベントが開催され、
それに合わせて東京へ行ってきた。
申込制であり、なおかつ建築関係者のみと制限された建物が多く、
一般人である私には敷居が高い感じなのがちょっと気にくわなったが、、、、
まぁとにかく誰でも申し込める狭い選択肢の中で2つのビルを見てきた。
住友倉庫前で小道さんと合流。

まずは近三ビルヂング。
長年森五商店が営業していたので「森五ビル」とも呼ばれる。
村野藤吾が渡辺節建築事務所から独立した第1作目で、昭和6年に竣工。
今ちょうど外壁の補修工事中で、シートに覆われてしまっていたが、
茶系のタイル貼りの四角い箱型のモダンビルである。外装タイルは平成2~5年の
改修で貼り替えられたものだが、結城紬をイメージしたと言われるオリジナルの
タイルの風合いを大切に再現してある。

しかしこのビルは外観よりもエントランスホールが見ものだ。
天井のモザイク!!


これは昭和6年のオリジナルだという。なんと美しい!!
ガラス質のモザイクタイルはドイツからの輸入品だそうだ。
メルヘンチックな色合いと、幾何学模様が散りばめられたデザインは
古さを全く感じさせない。美術学校出身の奥村新太郎がデザインしたものという。
村野藤吾が世に先んじて実践した芸術家とのコラボレーションの一つである。
これらの模様は暗号のように見え、何かの意味が隠されているのかななどと
想像してみるがどうなんだろう。


このビルはテナントビルのはしりで、時代の要請に合わせて増築や設備面の改修、
耐震補強などの工事を繰り返してきた。そのおかげで77年経った今も
新しいビルに負けない設備でバリバリ現役である。あっぱれ!!

さて、次は近所にある丸石ビルディング。こちらも昭和6年築、同い年である。
さっきの近三ビルとは対照的に、こちらは外観も華やかな装飾に覆われた
ロマネスク様式。1Fは石貼り、2~5Fはスクラッチタイル貼り、
ロンバルディア帯の上に6Fが乗る三層構造になっている。


入口のアーチのレリーフも華麗~~!!
エントランスにはライオンまで鎮座している。


エントランスホールも美しいのだが、今回は特別に1Fのテナントの絨毯屋、
ペルシアジャパンさんのお店の内部を見学させていただくことができた。
こんな高級そうな絨毯屋さんに普段用もないのに足を踏み入れるなんてことは
気の弱い私にはできないので(笑)ありがたい。
柱を覆っている木の装飾パネルや梁のレリーフも彫りが深くてゴージャス!
柱の照明は、オリジナルか後からつけたものか不明であるが
(蛍光灯だから後付けだろう)、違和感のないデザインでレリーフの陰影を
効果的に作りだしていてとてもうまいなと思う。


ペルシアジャパンさんは、丸石ビルのこのゴージャスな空間を
高級な絨毯のショールームとしてふさわしいと考え入居されたという。
相互にイメージを高めあっている理想的な大家と店子である。


そして今回ショールーム内部だけでなく、新館の事務所につながる扉を出て、
普段見れない面の壁を見ることができたのは貴重であった。
扉の上のアーチ部分には赤い石のレリーフが!
先生に聞くと「赤竜石」だという。はは~ん。
ピンク色の竜山石っぽいのを時々見かけるが、それが赤竜石というものだったのか。


この日、案内・説明していただいたのは建築史家の倉方先生で、
専門的な内容だが素人にも非常に分かりやすい説明と、まちや建物を見る面白さの
ツボがとても共感できて、大変楽しかった。おなかいっぱい!!


ご一緒した小道さんの記事もご参照。写真がきれい!→近三ビル丸石ビル日証館

コメント (2)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 六角形? | トップ | 日本橋(東京)界隈の戦後建築 »

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
行きたかったです☆ (きゃおきゃお)
2008-06-04 00:12:32
はじめまして。

このイベント、気がついたときは
すでに定員になっていて参加できませんでした。写真を見て、バーチャル見学させて頂きました。

他のよさげなイベント、参加条件のしばりがあり、申し込みできず残念に思いました。
返信する
きゃおきゃおさん (ぷにょ)
2008-06-04 01:42:00
ようこそ。いらっしゃいませ!
定員が少なかったですよね。参加できなかったとのことで、
残念でしたね。
また来年も開催されるかもしれません。チェックしておきましょ!
もう少し敷居を低くしてほしいですね~
返信する

コメントを投稿

建物・まちなみ」カテゴリの最新記事