まちかど逍遥

私ぷにょがまちなかで遭遇したモノや考えたコトなどを綴ります。

厚木市古民家岸邸 その2

2021-06-06 22:25:31 | 建物・まちなみ
厚木市古民家岸邸の続き。
玄関の間の左手には紺色の壁の落ち着いた10畳の座敷があった。


座敷を囲むように回った廊下のガラス障子がとってもおしゃれ!!
桟の間の細い部分がすりガラスで、まるでチェック柄のよう。美しいなぁ~~


この部屋の天井は全体が大きく8分割されている。10畳の8分割だから、それぞれの天井板は
1畳よりも大きな一枚板なのだ。ひゃ~~~!幅10cm以上ある押さえ縁は漆が塗られている。


隣の部屋も同じく全体が濃紺色の壁の座敷。これら二間は客間であり、お役人などをもてなしたのだろう。


天井が高いので欄間も高さがある。梅の木の透かし彫り。


2部屋は同じ広さだがこちらの方が床の間の奥行がある。床柱は直径30cmぐらいあろうかという
磨き丸太がど~んと!根本が太くて上の方には枝の跡。まるでそこから生えているよう!?
床框や落とし掛け、敷居や鴨居、建具、どれを取っても、上質な木材が丁寧に仕上げられ、全く狂いがない。


廊下に張り出した付書院。
廊下は床の間や書院が張り出した部分がかなり狭くなっているが、さっきと同じ青い漆喰壁だった。


この座敷の横の廊下を進むとトイレがある。ここの手洗い場がまた面白いのだ!


古い銅製の水タンクは、狛犬?獅子?がてっぺんに乗っていて、左側には龍の頭、右側には舌を出したおっさんの顔!?
いや、ガーゴイルかな(笑)




その隣には小便所、大便所が並んでいる。


こちら小便所。便器は水洗に変えてあるものの、窓や照明などはそのまま残されている。
天井もこの通り凝っているなぁ!




球状の照明が素敵~~これは大便所との境の壁に埋め込まれていて、両方の灯りを兼ねている。


大便所の窓は桟が山形のデザインになっていて、桟の間に何と細い細い赤色ガラスが嵌められていた!
幅は2~3cmほど。こんな細くカットしてはめ込むって、ステンドグラス並みじゃない?
よく外れず、割れずに残っているなぁ!!


こちらは格天井のバリエーションで、格間に色違いの板をはめ、通気のために入れられた透かし彫りは何と優美なのだろう!
このトイレは座敷に招いた上客用だったのだろうな。しかしここは何と現在、来館者用として使用されている。


トイレ前の廊下の窓ガラスはグラデーションのついたすりガラスで稲妻のような模様が入っている。




外から見るとこんな感じ。さりげなく目隠しを兼ねた美しいデザインに感服するしかない。。。


トイレは他にもあって、故障したときなどに代替としても使われるというトイレもちらっと
見せてもらったが、まぁそちらも負けず劣らずこだわりの意匠が。

この先1階の裏側の部屋はバックヤードなので非公開だった。

ところで、さっきの座敷の隣の部屋は玄関の間の後方にあたり、四方を部屋に囲まれた「海なし県」の
ような部屋である。他の部屋と同じように畳敷きで襖絵も描かれているなど抜かりない。
ここは各部屋へつながるホールのような位置づけだろうか。


この、中央の部屋に曲がり階段がついているのが不思議な感覚。。。和風のお屋敷だとだいたい
廊下の途中にあるか、部屋と部屋の間に挟まれているか、玄関ホールに降りてくるような形が
ほとんどではないかと思う。家人用だと押入れの中に階段があったりもするが。。。


案内の方と話していると、階段の下半分は改修したと言われていた。でも場所は変わっていないだろう。


この部屋の中央にぶら下がっているピンクの切子の電笠のかわいらしいこと!!
階段を上りながらじっくり見ることができる。


さらに階段の屈曲部の頭上は、折り上げ格天井のようなS字型の「亀の尾」になっているのも
変わっていて面白いなぁ!


さて2階へ!!階段を上ると板張りの階段ホールである。手すりにはいろいろなモチーフのかわいい透かし彫り。
板が分厚い!


続く。

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