「連続殺人鬼カエル男」 中山七里
表題とかわいらしい表紙イラストから軽い気持ちで読み始めたのだけれど、、、完全にやられました。
テーマは刑法39条。心神喪失者に対する罪と罰。
かわいらしいカエルとは及びもつかない深い物語、リアルな描写、恐怖と驚嘆のどんでん返し。
ラスト1行まで目が離せない。
そして読み返さずにはいられない伏線の数々。
面白過ぎ。
傑作です。
終盤に出てくる主人公のセリフ
「この世には完全な健常者もいなければ完全な異常者もいない。どんな人間も心の奥に狂気を飼っている。
道を往く人々も、オフィスの中で働いている連中も、グラウンドで汗を流している連中も皆そうだ。例外はいない。
ところがその奥底に隠れている狂気が何かの弾みでひょいと表に出る時がある。
そして、それを見た周りの人間がこいつは異常者だとレッテルを貼って自分たちから一刻も早く遠ざけようとする。
どうしてそんなに大騒ぎするのか。答えは簡単、自分たちもそうなる可能性があることを知っているからだ。
だから、人はその狂気を飼い馴らそうと努力する。自分を善なる者に踏み留めようとして闘う。」