エミール・ガボリオ ライブラリ

名探偵ルコックを生んだ19世紀フランスの作家ガボリオの(主に)未邦訳作品をフランス語から翻訳。

ポルトン言行録(Mr.Polton Explains)

2020-03-07 09:54:31 | ソーンダイク博士

「物言わぬ死体」もそのうち再開するつもりですが、ソーンダイク博士の家に住み込みで働いているポルトン---小さな大司教みたいな人、とジャーディーンに言われていた人物---が語り手となっている中編があるので、それを先に訳していくことにします。幼いとき両親を失い、おばさんに引き取られた少年ポルトンは天性の時計職人、ところが・・・。100年ちょっと前のイギリスの労働者階級の暮らしが描写され、ディッケンズを髣髴とさせます。軽妙さが売り、と本人は思っているようですが、ときに受けを狙ってすべるところなど、「物言わぬ」と似た雰囲気もあり。本邦初訳(多分)なのが訳者としては楽しいところ。

 いずれにせよ、作者自身、大いに楽しみながら書いているということは強く感じます。それが訳出できれば、と念じつつ・・・。

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