F 嫁 log
新年5日より、ロミオとジュリエット in Cinema の上映が始まりました。
さっそく初日にFと見に行きました。
私達夫婦が応援している浅川紫織さんの現役最後の公演でした。
しかし当日、Fは外せない仕事が入ってしまい見れなかった因縁の舞台です。
公演の時、私は最初の方は踊る紫織さんを「これで最後なんだ…」と思いながら見ていました。
どちらかと言うとストーリーよりも紫織さんの最後の姿を焼き付けたいという思いで見ていたのです。
が、ある瞬間から…どんどん物語に引き込まれ、よく知っているストーリーなのに
「どうなってしまうのだろう」
「どう演じるのだろう」
と物語の世界にドップリと浸かってしまったのです。
本当に素晴らしい舞台でした。
なので
☆ Fは見れなかったあの日のリベンジをするため
☆ 私はもう一度最初からドップリと舞台を見るため
映画館に向かったのでした。
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入り口に入るとトップ写真のクリアファイルを貰いました。
写真左は最後の公演のプログラムです。
クリアファイルの中には配役表が入っています。
10月12日(金)の公演のものでした。
映像は舞台をフォーカスして編集してあるので、実際に見た舞台と良い意味でも悪い意味でも異なっていました。
それぞれの細かな表情が見れて嬉しい反面、もうちょっと引いて見てみたかったり…
ここもっと見たい!オペラグラス(笑)と心の中で思ったり…
物語はマンドリンを持ったロミオの登場から始まります。
金髪の宮尾さん。
とても優しくてちょっとやんちゃなロミオ。
いつもパリスの宮尾さんばかり見てきたせいでしょうか…
(本当に宮尾さん?)
でもとてもロミオに合っているのです。
それから、主要キャスト登場の際に役名とダンサーの名前が表示されるのですが、この時に嬉しいハプニングが!
第一幕 一場で、キャピュレット家とモンタギュー家が相対するシーンで
「モンタギュー夫人 桐山結衣」
と表示されたのです。
10月の公演時は立役の桐山結衣さんに気が付かなかったのです。
(キャスト表はキャピュレット夫人のみ)
公演後にモンタギュー夫人役であったことを知り、結衣さんを確認することも今回の楽しみの一つだったのです。
次回はぜひ踊る結衣さんを確認したいです。
さて二場のキャピュレット家の一室が始まるといよいよ紫織さんの登場。
あの日の記憶がブワーッと蘇ってきます。
出てきた瞬間「イタリアの小さな女の子だ」と思いました。
本当に少女。
軽やかで小鳥のようで。
ただ惜しむらくは映像では残像が出てしまっていたこと…ダンサーの早い動きに映像がついていかないのです。
全体を通して、千手観音のように一瞬見えてしまうときもあり、とても残念でした。
公演時、本当に紫織さん?とオペラグラスで顔を確認したのを思い出しました。
映像で見ても、顔が映ると紫織さんなのだけど、少し引くとやはり少女なのです。
キャピュレット夫人の山田蘭さんはとても美しく、スチュワート・キャシディー演じるキャピュレット卿と
紫織さん演じるジュリエットの三人の親子がとても自然に感じます。
そして、いよいよ舞踏会のシーン。
Kバレエならではの剣の踊りがありますが、その時のティボルトの遅沢さんの足が際立って美しいのです。
本公演時も「うっとりしてしまうわ~」と見入っていたのですが、映像でも再度堪能。
遅沢さんの踊りをもっと見たいというジレンマを抱えつつ、でもティボルト役は本当に合っていると感じました。
クールでシャープな切れ者。
そしていよいよ二人が出会うシーン。
二階から見下ろすロミオと広間から見上げるジュリエット。
公演時、この瞬間に私は魔法にかけられたのです。
舞台を俯瞰して見ていて、ジュリエットのようにぐるっと見渡した先に…
二人の視線が絡み合っていて、何かが弾けて…
あのテーマ曲が流れます。
この時に
これからこの二人はどうなるのだろう、先が見たい!!
紫織さんの最後の舞台うんぬんが頭の中から弾け飛びました。
とにかく先が見たい。
なんで魔法がかけられたのだろう…
映画で再度確認して理由を考えてみました。
宮尾さんは感情表現がとても豊かだと感じることがあります。
美しい、好きだ、綺麗だ…
このような時はぴかぴかと輝くように見えるのです。
そして公演時は紫織さんの最後の舞台ということに気を取られていたのですが、
改めてじっくり見ると全員が適材適所でピリッとしまった良い舞台なのです。
バレエを踊ると言う前に、それぞれが役を生きている感じがしました。
その事によりロミオとジュリエットという物語がきちんと語られていたのです。
見ている私の心の中に物語の「虚構の真実」が積み上がっていき、この瞬間に爆発したのだろう…そんな気がしました。
ただし映画では…
やはりこの部分は何かが多少薄れています。(かすかな空気感というか)
これはしょうがないですよね。
でも、その後、広間ですれ違い、見つめ合う二人のシーン。
マスクをかけたロミオの姿をジュリエットの背中越しに映す絵はとても素敵でした。
これこそは映画でしか見れないものだと思います。
その後、少女から大人の女性へと駆け抜けていくジュリエットの佇まい、身体の表情。
紫織さんは確信的に変化させて踊っていきます。
そして音楽を歌うように踊っていく…大好きな踊り方。
もっと見ていたい、まだまだ見続けたい、そんな思いがまた湧き上がります。
最後の墓室のシーンでは、仮死状態なのに死んでしまったと誤解し悲嘆にくれるロミオに振り回されるのですが、
その時の死体っぷりがとても良いのです。
Kバレエの演目にはないけれど、マノンの沼地が頭に浮かんでしまいました。
(実はFも同じことを思ったらしい)
ロミオとジュリエット in Cinema は 全国39劇場にて期間限定公開中。
18日までというところが多い中、お台場では18日から31日まで公開するそうです。
紫織ファンは必ず見に行くと思いますが…
バレエにあまりご縁の無い方も楽しく見れる映画だと思います。
高尚なバレエを見に行こう…と肩肘張らずに…
美しい美しい二人の悲劇の物語。
美しいのにやるせない切ない思いに浸って、現実から少しトリップ出来ると思います。
そして美しい音楽とダンサーの作る美しいラインは無意識のうちに日常に疲れた心を癒やしてくれます。
ぜひ、バレエの入り口に入ってみてください。
私も宮尾さん演じるロミオが偶然に起きた罪からさらに罪を重ねてしまう際のどうしようもないやるせない表情と
好きな男性の為に決意をしたあと、少女から毅然とした女に変貌するジュリエットの表情はまだ脳裏に浮かぶのです。
もう一度見たいな…と思っています。
現在、ユースの芸術監督をされている紫織さん。
紫織さんのバレリーナエッセンス(バレエ魂かな?笑)が若い世代に引き継がれる事を楽しみにしています。
そして紫織さんの第二の人生が幸せに満ち、更に実り多きものでありますように。
※ F 思い出の特別展示
拙ブログにおける浅川紫織関連のエントリー
以前は出待ちで気軽に写真撮影を受けてもらえましたが最近では事務所が煩くて(笑)
最初にサインを頂いて以来、漢字フルネームで通しました。
これらの写真は宝物です。本当に素晴らしい舞台の思い出をありがとうございました。