終わらないセカンドステージ

このブログはフィクションです。
不快感のある方は、どうぞスルーしてください。

ふふ。

感謝

2008年08月31日 22時07分36秒 | Weblog
彼に言ったことがある。

あなたの両親に感謝している、と。
あなたを生んでくれて感謝している、と。

私のものではない。
他の人の「夫」であり、「父親」である彼だけど
大前提で、その両親の元で生まれ育った「長男」に
なんら変わりはない。

出逢うタイミングを嘆くこともない。
誰にもいえない関係だけど
それでも私はあなたに出逢えた。
私は、自分以外の「大事」な存在に出逢えた。

これは幸せなことなんだよ、と。

彼は
「そんなんゆったら、みんなこの世に感謝せなあかんやん」と
口をとんがらせて文句を言った。

彼の奥や子供に関しては、それは彼が背負う義務なんだ。
私がそのことを嘆いてはいけない。

逢うことを許されたから、私はあなたに出逢えたんだよ。
だからね?

あなたの両親には、何があっても感謝してるんだよ。

そう言って、迎えた夜があった。

好きなタイプ

2008年08月29日 16時44分10秒 | Weblog
初めて会ったのは、もう4年前になる。

出会いさえ、人に言えない出会い系利用だけど、
その後の恋愛ペースは、本当に着実に確実に「恋愛」を
意識して関係を深めていったと思ってる。

私の好みのタイプに彼は本当に120%以上の理想通りだった。

細身で
背が高くて
眼鏡をかけていて
面長で
目じりの二重の線(奥二重)で
細い顎で
細い指で
低くてよく通る声で
関西弁で。

スポーツカーに乗ってて
車の運転が上手で。

本当に、初めて会ったときの衝撃を、今でも思い出す。
【こんな人がいたんだ!?】
初めて乗せてもらった助手席の居心地も良かった。

どんな結末を迎えたとしても
この初めて会った日の、あの衝撃は忘れない。

緊張してた彼の表情が段々緩んできたのも
思いっきり笑った声も
二人で走った夜中の国道54号線も。

『特権』

2008年08月28日 07時30分56秒 | Weblog
彼は二人兄妹の長男で、実家は神戸。
中流以上の家庭の出身で、父親が元公務員、母親も彼が生まれるまでは
小学校の教師をしていたと言う理想的な一家。

「長男だからしっかしりないと、と言う風に育てられた」と
本人が言うほどなので、きっとそうだったんだと思う。
お兄ちゃんだから、跡取りだから。まあ、長男なんてそんなもん。

そして結婚したら、今度は「一家の大黒柱だから」と、なってくる。
彼の家庭がそうだったように、奥が妊娠してからは専業主婦になり、
当然、収入の面では彼が孤軍奮闘しないと生活が出来ない。
子供が生まれたらなおさら。俺が頑張らないと。それは自分自身を
奮い立たせる言葉だけど・・・。

彼と付き合い始めの時、彼が私の胸に顔を埋めて、恍惚としてた。
「ここは、安心できる場所やなぁ・・・」
そう言って、赤ちゃんのような無垢な表情を見せてくれた。
私の胸にうずまり、乳房をまさぶり、口に含んで。

そうなんだ、こんな無防備な顔は、家族は見せられない。
自分の夫がこんな顔だったら怖いかもね。
だってしっかりしてくれなきゃ。一家を支えてくれなきゃ。
こんな甘えたな顔してたらこっちが不安になる。

逆を言えば、この「甘えん坊」な顔は、私だけが見れる特権。
婚姻関係にないからこそ、見せられる、受け止められる表情。
この顔を見るためなら、私は出来ることはみんなしよう、と
心に決めた。
ベッドの中でなら、背の高い細身の青年を、私の胸の中で、
しっかりと抱きしめることが出来るから。

愛しいと、心から思えた。それは「母性」だったと思う。

そして2年ぶりに彼を抱いて、私は以前と同じような気持ちになった。
この人が愛しい。この人を甘やかしたい。
いいのか悪いのか判断さえ出来ないけど、彼のこの表情を見るのは。。。

今も昔も、私だけの「特権」なのだ。

神戸の夜景

2008年08月27日 16時49分49秒 | Weblog
彼のことを話すと、まず思い出すのが「神戸の夜景」。
彼は神戸の出身なので、彼の地元になんて、まず行けるワケがない。
彼が存在しなくても、神戸は好きな街。
卒業したのは山口の短大だけど、一時期姫路の短大にも通ってて、
休みの日に友達と通ったのは神戸の街なのだ。

彼の友人がサーキットに参加するのを二人で応援に行った事がある。
もちろん、私は彼の「友人」として紹介された。
不自然なのは分かってる。彼が既婚者なのは周知の事実。
それでも彼の友人たちは、私を温かく迎えてくれて感謝してる。

その日はサーキット終了後、みんなと別れて二人で神戸に宿泊した。
これだけは、絶対叶うはずもない夢だった。
他のどこでもない、神戸なんだもの。
モザイクで食事を摂って、「じゃあ、行こう」と席を立つ。

昼間まで降ってた雨も上がり、彼の知る夜景スポット「再度(ふたたび)山」へ
車を走らせた。
昼間の雨で、少し体調を崩した彼が、風邪薬を飲みながら連れてってくれた。

観光客も何組か来ていて、その中に私と彼も交じる。
雨が上がって、薄くミストのかかった夜景を、私はきっと一生忘れない。
露骨な光じゃないから、よけいに神秘的だった。
思わず涙が出た。この美しい夜景を、世界でいちばん好きな人と眺めてる。
なんて幸せなんだろう・・・。
泣いた私を察してか、彼がそっとキスしてくれた。

ビーナスブリッジと呼ばれるところまで足を運んで、今度は自分たちが
神戸の夜景の上に立ってるかのような感覚になる。

ニューヨークにいたこともある私だけど・・・
摩天楼のあの夜景よりも、私の心を打ったのは、神戸のあの夜景だけだ。
そしてきっと、あれ以上の夜景を眺めることはないんだろうな、と
今でもそう思っている。


彼の子供たち

2008年08月26日 18時11分22秒 | Weblog
彼の子供が3歳の時から、付き合いが始まった。
その時、下の子は奥のお腹の中で妊娠20週目だった。
二人目の妊娠の時、つわりがひどく、奥が彼に冷たかったとか
八つ当たりした、とか、よくある話。

私は当時、子供相手の仕事をしていた。

付き合い始めから感じる彼の子供の影。
後部座席にあるチャイルドシート。
基本的に二人で出かける場合は、彼はそれを取り除いてくれたけど
深夜の急なデートの時は後ろを見ないフリしてた。

子供たちの笑顔の向こうにある家の光景が私を苦しめた。
ご父兄は、すなわちうちの彼そのものなのだ。
子供を迎えに来た父親たちの姿に彼を重ねた。
きっと・・・彼もたまには幼稚園に娘を迎えに行くんだろう。
そして、生まれてくる跡継ぎのために、また名前を考えて
将来を託すんだろう。

奥の存在よりも、子供を産んだことない私には「子供たち」の
存在が脅威だった。
私を愛して止まない父と、娘を愛して止まない彼と同じだから。

彼と別れを決意したいちばんの原因はここなのだ。
奥は他人だけど、子供は他人じゃないからね。

私と濃密な時間を過ごした後、子供を風呂に入れたり、一緒に
ゲームしたりする彼を、私は最後まで受け容れられなかった。

だから、別れた後は・・・案外、爽快だったもんだ・・・。

終わらない恋愛

2008年08月25日 07時25分01秒 | Weblog
彼は既婚者。
この恋愛が結婚で終わることはない。
それは最初から承知の上だった。

結果的に、一回目の別れを迎えたことにはなったけど、
私はこの恋愛の最中の時、この上ない幸せを実感した。
ゴールが結婚ではないと分かっていたからこそ、私は
「恋愛」を思いっきり楽しんだ。

もしも結婚が頭の中にあったとしたら・・・
きっと二人の活動には、もっと制限があったと思う。

こんなことしちゃ結婚までたどり着けない
相手のお母さんに嫌われたくない。
うちの親は彼を気に入るかな?
彼の収入の中で、どこまで生活費が維持できるかな。

そんなのがない世界だからこそ、楽しめるものもあるんだと
その時思った。

結婚がすべてじゃないのは、一回目の結婚が破綻した私が
よく知ってる。
そして結婚生活を維持するために、体まで壊すなんてありえない。
元夫のDV、繰り返される浮気、これを我慢して私は入院までした。

結婚しないからこそ。
恋愛は永遠だった。
ずっと好きなままで、ずっと大事なままで。
双方の中には、利害関係が存在しないままで。

それはそれは、幸せな時間だったからね。

でも・・・人間の心は変わって当然。
彼を独占したい、でも出来ないという葛藤が始まって
すべては崩れ去ろうとし始めた。

忘れていなかった

2008年08月22日 16時51分50秒 | Weblog
国内外問わず、出張の多い彼は、私と別れてからも、近況報告のメールをよくくれた。
特に今年は海外が多いらしく、イギリスやトルコからのメールが届いた。

私はとっくに彼を忘れてた。終わってた。そのつもりだった。
冗談めかしに「ねえ、会おうか?」と彼にメールを送ったけど、その直後から
私の気持ちは全開した。

忘れてたつもりだっただけだ。
終わってたつもりだっただけだ。
彼の「会おうか?帰国してからだけど」の文字に、全身の血が沸き立った。

会いたい、
会いたいんだ。

そしてその夜、国際電話がかかってきた。
彼の声に、全身に電気が走った。
この声。
この関西弁。
これこそ、私の求めてる、世界の中で唯一の人だ。

料金の関係もあって、10分少々の会話だったけど、私はその夜興奮で眠れなかった。

そして思い知らされた。
世界でいちばん好きなのは、彼のままだ。誰もその代わりになんかなれないと。

二年前のその日

2008年08月21日 17時57分27秒 | Weblog
2年間、不倫の恋をしていた。
彼は当時35歳、二人の子供がいるサラリーマンだった。
私は37歳。離婚してまもない時期に彼に出会い、彼とひそやかな
恋愛を育んでいた。

あの日までは。

一言で2年と言っても、短かったとは決して思わない。
家で彼を待つ生活は、決して楽じゃなかった。
好きになれば好きになるほど苦しい。
彼の背景に、子供との生活空間や、家族生活がにじみ出る。
苦しくて苦しくて
私は他の男性の手を取る事にした。

きっと、ここまで誰かを愛することは、今後ないだろう。
そう納得した上での新しい恋愛だった。
新しい彼にも子供こそいたけど、離婚して独身になってる人なので
私はよけいなモノに気分を害されないですんだ。

害される・・・かな?
私が選んだ恋愛を間違えたのにそんな言い方ってないか。。。

世界でいちばん好きな人とは一緒に未来を歩んで行けない。
どんなに運命を呪っても、彼の配偶者の方が彼に先に出逢ってる事実。

もう耐えられないよ。
そう言って、私は彼の手を振り解いた。
そんな2年前の秋。