◇ 政府は「緩やかな景気回復」に固執 = 政府は24日の経済関係閣僚会議で5月の月例経済報告を了承、公表した。最も注目された基調判断は「緩やかな景気の回復が続いている」という表現で、従来からの認識を変えていない。月例経済報告は、政府の最終的な景気判断。第2次安倍内閣が発足した13年7月以降、ずっと続けてきた「景気回復」の判断を今回も踏襲した。茂木経済財政相は「戦後最長の景気回復が途切れたとは考えていない」と強調している。
しかし中国経済の不調に米中貿易戦争の影響が加わって、日本の輸出と生産は明らかに減退しつつある。景気動向指数も「景気は悪化」という診断を下した。このため今回の月例報告では、輸出と生産についての判断を先月の「一部に弱さがみられる」から「弱さが続いている」に修正した。にもかかわらず「回復中」なのは、雇用と企業収益が堅調だからだという。だが雇用が堅調なのは、人口が減少しているため。企業が儲けを出してきた海外の景気も下向きになっている。
客観的にみれば、現状で「回復中」と判断するには無理がある。しかし政府・与党としては、7月の参院選あるいは同日選挙を控えて「景気は危ない」とは、口が裂けても言えないのだろう。10月に予定する消費増税についての反対論も強まるに違いない。また政府自身が警戒論を打ち出せば、政策的に対応する必要性も出てくる。だから、ここは「緩やかな回復」で、押し通すしかない。
その結果、景気対策が遅れてしまったことは、過去に何度も経験している。現在の世界経済あるいは国内経済の動向から判断して、5月の月例経済報告の内容には疑問が残る。政府部内にも、そう考える人は少なくないのでは。17世紀の大学者ガレリオ・ガレリイは地動説に賛成し、ローマ法王庁から糾弾された。そのため謝罪文を書いたが、周囲の人たちに「それでも地球は回る」と叫んだという。いまの霞が関に、ガリレオはいないのかしら。
≪24日の日経平均 = 下げ -33.92円≫
【今週の日経平均予想 = 4勝1敗】
しかし中国経済の不調に米中貿易戦争の影響が加わって、日本の輸出と生産は明らかに減退しつつある。景気動向指数も「景気は悪化」という診断を下した。このため今回の月例報告では、輸出と生産についての判断を先月の「一部に弱さがみられる」から「弱さが続いている」に修正した。にもかかわらず「回復中」なのは、雇用と企業収益が堅調だからだという。だが雇用が堅調なのは、人口が減少しているため。企業が儲けを出してきた海外の景気も下向きになっている。
客観的にみれば、現状で「回復中」と判断するには無理がある。しかし政府・与党としては、7月の参院選あるいは同日選挙を控えて「景気は危ない」とは、口が裂けても言えないのだろう。10月に予定する消費増税についての反対論も強まるに違いない。また政府自身が警戒論を打ち出せば、政策的に対応する必要性も出てくる。だから、ここは「緩やかな回復」で、押し通すしかない。
その結果、景気対策が遅れてしまったことは、過去に何度も経験している。現在の世界経済あるいは国内経済の動向から判断して、5月の月例経済報告の内容には疑問が残る。政府部内にも、そう考える人は少なくないのでは。17世紀の大学者ガレリオ・ガレリイは地動説に賛成し、ローマ法王庁から糾弾された。そのため謝罪文を書いたが、周囲の人たちに「それでも地球は回る」と叫んだという。いまの霞が関に、ガリレオはいないのかしら。
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