経済なんでも研究会

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黒田日銀総裁の 光と闇 (下)

2018-03-24 07:43:56 | 日銀
◇ 安倍首相と心中する形に = 黒田総裁は“異次元緩和”の余韻が残るなかで、任期を全うしたかったのかもしれない。世界を見渡せばアメリカは着々と金融引き締めを進め、EUも緩和政策から離脱しようとしている。ところが日銀は身動きがとれない。緩和策の強化はムリだし、といって緩和策からの脱出もできない。ただ副作用が累積して行くのを眺めるばかり。そんなときに再任が決まってしまった。

実は黒田総裁の再任は、安倍首相の強い意向によるものだ。まず「ここで日銀総裁を交代させれば、アベノミックスは失敗した」と受け取られる可能性がある。さらに9月の自民党総裁選と来年の消費税再引き上げを控えて、景気の失速は許されない。したがって黒田流の緩和政策は持続されなければならない。安倍首相の心情は、こうだったのだろう。

その線に沿って、安倍首相は副総裁に若田部早大教授と雨宮日銀理事を任命した。この2人は名だたるリフレ派。つまり現行の緩和政策の推進論者である。こうして黒田総裁は、緩和政策からの脱出も封じられてしまった。日銀の金融政策はいっそう硬直的になり、その副作用が累増して行く公算が大きい。

副作用のなかで意外に大きいのは、預金金利がゼロになったこと。たとえば定期預金に2%の利子が付けば、預金者は年間17兆円の収入を得ることができる。それがなくなったから、家計は節約に走り消費が伸びない。黒田総裁の再任に反対した野党は「物価2%の達成に失敗したこと」を理由に挙げたが、これはお角違い。突っ込むべきことは、ゼロ預金金利の弊害だったろう。

      ≪23日の日経平均 = 下げ -974.13円≫

      【今週の日経平均予想 = 3勝1敗】   


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