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NPO法人POSSE(ポッセ) blog

7/24 アウティング労災認定の記者会見を開催しました!

(記者会見でのアピールの様子)

◆事件の概要

 2019年、豊島区にある生命保険会社に入社したLGBTQ当事者のAさんは、緊急連絡先を伝える関係で一人の上司にカミングアウトしましたが、その上司にアウティングをされ、それを受けて同僚の態度が急変し、Aさんは不安神経症などを発症、退職することになりました。その上司はAさんに対して「一人ぐらいいいでしょ」などと笑いながら告げたといいます。

 

◆今回のアウティング事件が労災認定されるまで

 Aさんは私たちNPO法人POSSEに相談し、その後総合サポートユニオンに加入して改善を求める団体交渉という形で会社と対峙しました。最初は加害の非を認めない会社でしたが、労働組合の圧力によって、2020年10月末に、会社はアウティングの事実関係や責任を認め、謝罪と解決金の支払い、再発防止策の策定を約束しました。当事者のAさんとPOSSEや総合サポートユニオンが連帯し、アウティング禁止条例がある豊島区への申し入れ、会社前での宣伝活動や200人を集めた池袋でのデモを行うなど活動を行い、問題を発信、差別を許さないという姿勢で行動を起こしてきた成果です。


(会社前での宣伝活動の様子)

 

(池袋で行ったデモの様子)

 その上で労災申請も行いました。現行の労災認定基準ではアウティングの明細な位置づけはなく不明瞭な状況だったため、私たちPOSSEは「職場のアウティングを労災として認めてください!」という署名キャンペーンを行い、2万筆近い署名を厚労省へ提出しました。そのような取り組みがあり、昨年3月に、精神疾患はアウティングによるものでパワーハラスメントと認められるとして、アウティングは労災認定されました。

 

◆社会運動の成果としてのアウティング労災認定

 今回の事件で労災に認定されたということは、国が公的に加害行為と精神疾患発症の因果関係を認めたことを意味します。労災認定によって新たにできた「パワーハラスメント指針」に記載のある「個の侵害」の中には、労働者の性的指向・性自認に関する記載が追加で定められました。また、7月24日に行われた記者会見には10人以上のマスメディアの記者が集まり、NHKやYahoo!ニュースのトップ記事にもなりました。性的マイノリティへの差別が蔓延している今の日本社会において、アウティングは本人の生死に関わる深刻な問題であるとより多くの人に伝えられたのです。このように、今後同様の被害を受けた時の生活補償を得られたり、加害行為に関する企業や個人の責任追求がしやすくなる結果に繋げることできました。

 昨今、日本でも以前と比べ、社会問題に関心を持とうという雰囲気は広がっていると感じますが、社会問題をどう解決するかの話になると「投票に行こう」「一人一人が考えよう」などといった地に足のつかないありきたりな言葉に帰着させられがちです。もちろん政治に関心を持つことも、一人一人が問題を考えることもとても大切なことです。しかしながら、今の日本の政治を見てもわかるように、LGBTQの問題一つをとっても、理解増進法という名の差別禁止すら明言できない法律が制定されるなど、希望のないニュースが続いています。政治に関心を持ち続けることは当然必要ですが、任せきりにしてしまってはやはり実際の生活は良くならないのです。このような現状において、実際に起っている人権侵害や差別といった個々の問題を可視化し、その解決に向けて具体的なアクションを起こし、関心のある仲間と連携することで、現場レベルから新たな社会の規範を作っていくことができます。


(労災決定書にもアウティングが原因と明記されています)

◆今回の記者会見に参加して

 例えば、記者会見というと、政治家や企業の代表の人たちが行うもので、遠い出来事、私たちは報道を見るだけだというようなイメージがあるのではないかと思います。少なくとも春に上京してきたばかりの大学一年生の筆者はそうでした。しかし、今回のように社会運動に関わっていく中で、その意識は大きく変わりました。普段の活動のなかで、労働組合の街宣行動で声を上げたり、問題の社会的発信に関わったりするなかで、実際に自分の声や行動が社会を動かす様子を目の当たりにして、社会を変えていける実感が持てたのです。今回の件では、記者会見前準備のミーティングから参加し、記者会見では、私たちは自らが作ったプラカードを掲げ、レインボーフラッグを背景にマイクでコメントもしました。その日のうちに多くのメディアで記事が出され、テレビで報道がなされました。ほんの数時間前、自分たちの目の前で行われた記者との質疑応答がそのまま記事やテレビで報道されているのをみて、自分は社会の一部であり、自分の声も行動も、社会に影響力を持ちうるのだと体感しました。

(記者会見の準備もボランティアが行いました)

◆8/6(日)のボランティア募集イベント

8/6(日)の14時から、「職場のジェンダー差別×ストライキ〜更年期差別、家事労働差別、アウティング」というイベントを、学生や若者向けに開催します。

更年期で体調が悪く数日休んだら解雇した会社に対して、ストライキをして解雇撤回を求めた非正規女性。家事労働者として働いていた妻が過労死したのちに、家事労働者の労基法適用を求めて裁判を起こした遺族。アウティングによって精神疾患になったにも関わらず、事実を否定する会社に対して抗議デモを起こした労働者。

私たちがこれまで取り組んできたジェンダー差別に抗する闘いを紹介し、この社会でなぜこうした差別が起きるのか、それを変えるために私たちに何ができるのか考えます。差別・格差のない社会の実現を目指す活動に加わりたいという方の参加をお待ちしております!

https://blog.goo.ne.jp/posse_blog/e/dfae3ba616ab111b68936aa673c23eb1

 

◆学生ボランティア募集中!

POSSEでは学生ボランティアを募集しています。バックグラウンドや所属などは問いません。活動は、デモ、街頭宣伝、生活保護申請同伴、勉強会など、多岐にわたります。POSSEの相談窓口に寄せられた、生活相談や職場や学校のハラスメント等の個々の事例を見つめながら、この社会を作っている多くの「労働」を通して、外国人差別、人権侵害、セクシズム、環境問題など多くの社会問題と闘います。具体的な活動の様子はぜひInstagramからチェックしてみてください!

社会問題に関心のある方!一緒に社会を変える一歩を踏み出しませんか?

(POSSE学生ボランティア)



◆リンク集

ボランティアに興味のある方はvolunteer@npoposse.jpまでお気軽にご連絡ください!

 

ボランティア募集に関して(POSSEホームページ)

https://www.npoposse.jp/volunteer

 

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