付記5a: おや、まだ居たのかい?
「また、来ると言うんだが・・・」 曾祖父が重苦しい口調で呟いた。つい数日前に、皇太子妃美智子さんが結婚の挨拶に来たばかりである。一般人と同様、親戚になる家や関係者の
付記5b: 宿直/ 妾について
神官が厭なら、女官はどうか、という宮内庁職員のいい加減な発言で、七歳頃だったろうか、数日間、後宮へ放り込まれたことがある。女官たちと同じ、丈の長い内掛けを着せられて
付記5c: 侍女が替わりました
「侍女が替わりました」と、女官が見覚えのない若い女を部屋へ招き入れた。幼児の私が皇居へ参内した時に、世話をしてくれる侍女のことだ。けれども、その背後で落ち着かない視線を床へ落とし...
付記5d: 吉武遺跡の発掘
「姫神」の祭祀を継承した私は、我が家に遺されていた「倭国の宝物」の中に国王墓や集落跡を記した地図を見つけて、未だに膨大な埋蔵品が埋もれたまま放置されている事実に驚いた。そして、中...
付記6a: 犬の餌
赤ん坊を抱いて来たのが誰だったか、覚えていない。それまで宮内庁の薄暗い部屋で監禁されていた私は、食事が終わるたびに、侍女から砒素を舐めさせられて(それで小さな子供が大人しくなると...
付記6b: 諍い
斎服殿の中から、女の啜り泣きが聞こえていた。皇后良子が祭祀用の蚕を踏み潰して以来、忌屋は無防備に解放されていたが、その開け放たれた引戸の奥で、女は木製の椅子に腰掛けて、泣いていた...
付記6c: 目撃者
東久邇成子(しげこ)は自害しようとしたのだ、と女官が言った。「お可哀想にね・・・ 誰にも言っちゃ駄目ですよ」...
付記6d: 兵隊服の男
天皇裕仁と東久邇盛厚が差し向けた「密偵」は、何度も私の家を襲って来た。玄関前で遊んでいると、突然、物陰から兵隊服の男が飛び出して来て、青酸カリの丸薬を飲まされそうになったこともあ...
付記6e: 畜生が群れる場所
皇居での最初の「虐待」は、結核を患っていた皇太子明仁がその病気を三歳の私にうつそうとして、素手で生の貝か何かを摘まんで、無理矢理、私の口に押し込んだのを、私が吐き出した時に始まる
付記7a: 白い写真集
いつの間にか、玄関に白い表紙の写真集が一冊置いてあった。私が三歳から高校生になる頃までに、幾度となく皇居へ拉致され、虐待されたところを、宮内庁が写真に撮ったものだ。...
付記7b: 傷跡を数えてみる
<付記7b: 傷跡を数えてみる> 私の体には無数の傷痕があります。最初に付けられたのは、たぶん上腕の内側の小さな針痕でしょう。皇居では、はしゃいだり...