貫之集 756
ふぢころも をりけるいとは みづなれや ぬれはまされど かわくまもなし藤衣 織りける糸は 水なれや 濡れはまされど かわくまもなし 喪服を織った糸が水であったとでもいうのであろうか。ますま...
貫之集 650
人に文やりける、女のいかがありけん、あまたたび返りごともせざりければ、「やりつる文をだ...
貫之集 371
海のほとりに風吹き波立つふくかぜに さきてはちれど うぐひすの こえぬはなみの はなにぞありける吹く風に 咲ては散れど 鶯の こえぬは波の 花にぞありける...
貫之集 289
をみなへし にほひをそでに うつしては あやなくわれを ひとやとがめむ女郎花 匂ひを袖に うつしては あやなくわれを 人やとがめむ...
貫之集 280
延喜の末よりこなた、延長七年よりあなた、内裏の仰せにて奉れる御屏風の歌、二十七首春はる...
貫之集 265
もみぢばの ながるるときは しらなみの たちにしなこそ かはるべらなれもみぢ葉の 流るときは 白波の 立ちにし名こそ かはるべらなれ...
貫之集 224
松に咲ける藤の花ふぢのはな あだにちりなば ときはなる まつにたぐへる かひやなからむ藤の花 あだに散りなば 常盤なる 松にたぐへる かひやなからむ...
貫之集 215
やまたかみ こずゑをわけて ながれいづる たきにたぐひて おつるもみぢば山高み 木ずゑをわけて 流れ出づる 滝にたぐひて 落つるもみぢ葉...
貫之集 169
宇治の網代おちつもる をとはみゆれど ももとせの あきのとまりは あじろなりけり落ちつもる をとは見ゆれど 百年の 秋のとまりは 網代なりけり...
貫之集 102
九月いづれをか はなとはわかむ ながつきの ありあけのつきに まがふしらぎくいづれをか 花とはわかむ 長月の 有明の月に まがふ白菊...
貫之集 035
夏つきをだに あかずとおもひて ねぬものを ほととぎすさへ なきわたるかな月をだに あかずと思ひて 寝ぬものを 時鳥さへ 鳴きわたるかな...
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