#掌編 新着一覧

そぞろ歩き
いつかふたりで来るはずだったこの町にひとりいつかふたりで歩くはずだったこの路をひとり通りにつらなる古い家並みはあまりに他人行儀ですままならないのはこの世の常むくわれないのが浮世のさ

夏の盛りはとうに過ぎて
緑滴るひとすじの小径夏空のしたゆれる陽炎とおく日傘の陰で手をふるひとさりげなく先細る時...

けしてあなたには聴こえない
声にならない心がさけぶあなたじゃなきゃいやなんですあなたじゃなきゃだめなんですどうにも...

船で去ったひとの形見として
空色の紙テープその切れ端は小さくたたんでいまもだいじにとってありますふるさとを捨てた無...

とり残されて
思いがけないめぐり逢い決別の予感夕暮れのうす明りはさびしく朝あけのうす闇はうら悲しい時...

結晶
さようなら お幸せにあれはあなたの生まれながらのやさしさでしたありきたりなその言葉はひ...

永遠の距離
吐息がかかるほどの距離なのにそのわずかなすき間が縮まることはありませんこれから先も永遠...

コワレモノ
心がどこにあるのか知らないけれどそこにはきっとこんなふうに書かれている〝コワレモノ取扱...

残されたもの
飲み水をかえてあげようとしたほんのわずかな隙に籠のなかの小鳥は飛び去った陽ざしのここち...

それで途方に暮れるでもなく
永遠と思えたものにもじつは限りがあってそれを知ってしまったことに悲しさを感じるかといえ...

ずっとずっと
夕陽がすっかり沈んだら小舟を浮かべてでかけましょう静かな湖面でただずっと月のあかりに照...