若い人は知らないと思いますが、その昔、JK(薬師丸ひろ子)やシスター(志穂美悦子)が何故かヤクザの組長の跡目を継ぐという映画がありまして、まあ本作もその亜種だと思われ、その場合い事前に「はいはい、分かりました。その設定で話を進めるのね」という制作側と客側の合意がまず必要なのですが・・・。
本作は、脚本が雑でその「お約束」がちゃんと結べないうちに、いきなり向上心に溢れた中年ヤクザが、中学生の生活に土足で踏み込んできて「突飛な話」が始まってしまう。
だから、どこか憎めないヤーさん(綾野剛)が反社会的図々しさで、部活引退と変声で「少年」の終わりをむかえる中学生(齋藤潤)の微妙な心情をかき回すという「ギャップ笑い」がいっこうに立ち上がってこない。
ちまちまと枝葉のように散りばめられた部活内、家庭内、ヤーさん一家内のエピソードも所詮は枝葉末節のままで、最後は無理やり力業(ちからわざ)で「紅(くれない)」に染めて何とか体裁を保つ。
(1月20日/TOHOシネマズ南大沢)
★★★