すっかり寒くなった。
帰り道
空を見上げると
星の位置もだいぶ変わったことに気付く。
あれだけ
夏は暑かったはずなのに
思い出そうとしても
もう実感がない
時間とはいつも
そんなもの。
夏の大三角形は
もう向こうの方に遠ざかっていて、オリオン座が姿を現している。
その光を見て
あることを
思い出していた。
『ベガはただの織姫じゃないよ』
そう言われたのは
いつの夏だったんだろう。
周りの星の中で
1番輝いているその星を
指差して
君はこう言ったね。
『ベガは太陽よりも熱いんだ。ベガを中心に太陽系みたいなものができつつあるってどこかの本で読んだよ。
それに、1万2000年後には北極星になるんだって。』
『だから寂しい織姫なんかじゃないんだ。』
難しい話はわからなかったけど、そこには確かに光があった。
『ベガはね、地球から27光年離れてるんだ。』
『つまり今見てるあの光は27年前の光なんだよ。それだけじゃない、ここに浮かんでる星は全部何年もかけてたどり着いた光なんだ。』
なぜだか私は
タイムスリップしたような気持ちになって空を見上げていた。
目の前の光は
あたしが生まれる
ずっと前からやってきたんだ。
そんな健気な光を見て
あたしは
なんでこんな小さなことで
立ち止まっているんだろう
と思った。
それまで黙っていたあたしは
彼にありがとうとか
そんな類の言葉を
言ったと思う。
言われて
きょとんとした
顔だけ覚えてる。
そんな君が
今どこで
何をしてるのかも
知らないけれど
あたしは
今でも
こうやって
星を見てる。
こうやって見上げた空が
見えない何かで
繋がっている気がして。
帰り道
空を見上げると
星の位置もだいぶ変わったことに気付く。
あれだけ
夏は暑かったはずなのに
思い出そうとしても
もう実感がない
時間とはいつも
そんなもの。
夏の大三角形は
もう向こうの方に遠ざかっていて、オリオン座が姿を現している。
その光を見て
あることを
思い出していた。
『ベガはただの織姫じゃないよ』
そう言われたのは
いつの夏だったんだろう。
周りの星の中で
1番輝いているその星を
指差して
君はこう言ったね。
『ベガは太陽よりも熱いんだ。ベガを中心に太陽系みたいなものができつつあるってどこかの本で読んだよ。
それに、1万2000年後には北極星になるんだって。』
『だから寂しい織姫なんかじゃないんだ。』
難しい話はわからなかったけど、そこには確かに光があった。
『ベガはね、地球から27光年離れてるんだ。』
『つまり今見てるあの光は27年前の光なんだよ。それだけじゃない、ここに浮かんでる星は全部何年もかけてたどり着いた光なんだ。』
なぜだか私は
タイムスリップしたような気持ちになって空を見上げていた。
目の前の光は
あたしが生まれる
ずっと前からやってきたんだ。
そんな健気な光を見て
あたしは
なんでこんな小さなことで
立ち止まっているんだろう
と思った。
それまで黙っていたあたしは
彼にありがとうとか
そんな類の言葉を
言ったと思う。
言われて
きょとんとした
顔だけ覚えてる。
そんな君が
今どこで
何をしてるのかも
知らないけれど
あたしは
今でも
こうやって
星を見てる。
こうやって見上げた空が
見えない何かで
繋がっている気がして。