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静かに海は広がる

駆け出しの弁護士が思いつきで書くブログです

新年の抱負(2017年)

2017-01-02 01:50:38 | 雑記
お久しぶりです。

昨年末の業務が多忙で放置気味でしたが、昨年の総括と今年一年の抱負を書いておきたいと思います。

弁護士一年目ということで、最初は右も左もわからない状況でしたが、徐々に仕事を任されるようになり、成長を実感できた一年となりました。

こなした仕事の中には規模の大きなものもあり、やり遂げた達成感ももちろんありますが、まだまだ一人前とは程遠い出来だったかなという反省も大きいです。


業務を行う上で特に意識した、むしろせざるを得なかったのが、弁護士業はあくまで「サービス業」であるという基本的な前提です。

弁護士が提供すべきなのは、教科書的な答えだけではなくて、クライアントのビジネスの内容を理解したうえでの「アドバイス」です。一年目の私は、まだまだ十分な「アドバイス」を提供できるような段階ではなく、上司や先輩の仕事ぶりを見ながら、相当に経験を積んでいく必要があると痛感しました。

また、クライアントを相手にする「サービス」として、クライアントを待たせない迅速な対応や、24時間365日緊急時の対応を求められるという意味では、弁護士業務は間違いなく「キツイ」部類に入るものだと思います。加えて、法律事務所間の営業競争が激しい昨今では、細かいミスや一切の手抜きも許されないという点で、シビアなものであることに変わりありません。


ただ、いかに質の高い仕事をして経験を積んでいくかや、意欲を以て仕事に取り組むかで、その成果が正直に成長に反映される業務分野ではあると思います。よく「弁護士になってからの最初の3年で、その弁護士の将来が決まる」と言われているみたいですが、まさにその通りであると実感しています。

また、弁護士だからといって難しいことをしているという意識は捨てて、シンプルに考えて仕事を淡々とこなしていくことが重要とも感じます。基本的には法律や判例に書かれていることを答えるのがメインで、それを「法的助言」たらしめるものが、経験により蓄積される弁護士としてのノウハウである、というイメージを勝手に持っています。

さらに言えば、極端な話かもしれませんが、大手に所属していようがいまいが、ある程度仕事がこなせる環境にある限り、弁護士として成長できるチャンスは平等に与えられているものだと思います。


昨今は弁護士業界は厳しいと言われていて、5年後、10年後、業界がどのようになっているか全く予測がつかないという不安はありますが、将来どのような環境に身を置くことになったとしても自分の力を発揮できるよう、一つ一つ与えられた仕事を成長のチャンスととらえて、ポジティブに一年を過ごしていきたいです。
とりあえずは、クライアントともっとコミュニケーションをとって、彼らが弁護士に求めるものは何なのか、より理解を深めていくことを目標にしたいと考えています。


まとまりのない文章で申し訳ありませんが、雑感という意味合いも含めて、新年最初の投稿としたいと思います。

また、日々の業務で気づいたこと、記録しておきたいことがありましたら気ままに本ブログを更新していきますので、今後ともよろしくお願いします。

弁護士の就活について

2016-11-04 01:45:07 | 雑記
久しぶりの投稿になります。


9月に合格された70期の方は、もう就活を始められている方が多いと思います。

私も2年ほど前は何か所か事務所訪問をさせていただくことがありましたが、今年から採用する側になって、改めて気づくことは何点かあります。

採用の方法や基準は事務所によってそれぞれ違うだろうし、相性が合うか否かはまさに「縁」の問題としか言いようがありません。

成績重視か、人柄重視か、経歴重視か、その時々の事務所のニーズによって求められる人材は違います。

ただ、採用する側としては、その人の人格を知ることが必要になるので、エントリーシートよりも面接を重視します。そして、面接という限られた時間の中で、出来るだけ応募者の人となりを見抜き、自分たちにマッチする人材かを判断するしかありません。
応募者の方も、面接で自分自身のストロングポイントを最大限アピールするしかありません。

以下、修習生や修習予定者の方々のために、参考になるかわかりませんが、私の就活中の経験を踏まえて、いくつか採用面接での心構え(?)を書き留めておきたいと思います。


○ 事務所の情報はリサーチしておく

当然のことかもしれませんが、応募する事務所の情報(業務分野、弁護士の数、歴史等)はあらかじめ頭に入れておきましょう。

例えば、極端な話ですが、企業法務を中心とする事務所の面接で、「一般民事に興味があります。」と率直に答えてしまうのでは、おそらくその時点で採用の可能性はぐんと少なくなります。

採用する方としては、より事務所に馴染む人材を探していることは共通しているので、興味のある分野が極端に異なると、採用側にはためらいが生じてしまうものと思われます。

自己アピールをすることはもちろん重要ですが、あくまで採用を前提にした自己アピールであるということをよく考えて、「歩み寄り」の姿勢を見せましょう。

応募する方の中には、とりあえず手当たり次第応募している、という方も少なからずいると思います。仮にあまり興味のない事務所からアプローチが来た場合でも、その事務所の業務分野や弁護士の情報について一通り頭に入れて、面接ではそれなりの「会話」ができる準備をしておくとよいです。前に挙げた例のとおり、本当は一般民事に興味があるのに、企業法務系の事務所の面接を受ける、といった場合でも、「企業法務について、今までよく分からなかったけど、改めて話を聞きたい」というスタンスでも構わないと思います。
むしろ、様々な事務所を訪問し、様々な弁護士から話しを聞くことで、この業界についてわかることもありますし、自分が将来どのような弁護士になりたいかを考え直すきっかけにもなります。


○ 知識を披露する場ではない

上記の点と矛盾するかもしれませんが、面接で法律の専門的な話を披露することは却ってNGだと思います。

弁護士の業務分野について、ある程度前提知識を持っておくことは重要ですが、実務に就く前に得られる情報は、実務家が持っている知識に比べればごくわずかです。

自分がその分野に興味があることをアピールするために、法律の解釈論にまで話を進める人がいますが、それが中途半端なものであったり誤っていたりする場合は、かえって悪い印象を与えかねないです。採用する方は、修習生(修習予定者)にそこまでの知識を求めていません。

「●●という経験から、●●という分野に興味があり、それは●●の点で大変な仕事だと思うのだけれども、貴事務所ではこれに関してどのような業務を行っていますか」ぐらいのイメージで、面接官との会話のきっかけになるレベルの情報を持っていれば足りると思います。


○ 素直に質問し、面接官の質問には素直に答える

その人のパーソナリティーにもよるかもしれませんが、質問には素直に包み隠さず答えるように心がけることが大事かと思います。

個性的な人を採りたい、という事務所もあるかもしれませんが、多くの事務所は、入所後には従順に業務をこなし、ある意味事務所の「色」に染まってくれる人材を欲しがるものです。
また、弁護士業務は顧客対応が必須ということもあり、相手とスムーズに会話できる素質は非常に重視されます。

こちらからの質問に対してずれた回答なされたり、「でも」を多用して否定されることが多かったりすると、面接官として不安になることは確かです。また、面接官の説明に対し、揚げ足を取るような質問をすることもNGです。
自身ではなかなか気づきにくいことかもしれませんが、質問に対しては簡潔に、必要な点のみを答えるように心がけましょう。

なお、面接で嘘をついても、その道のプロである弁護士からは確実に見抜かれます。例えば、「今他に応募している事務所はあるか」「他から内定はもらっているか」などの質問はよくなされますが、このご時世、いくつか事務所訪問をしていることは不自然でないので、下手に隠す必要はないと思います。他事務所からアプローチされていること自体、必ずしもマイナス要素ではないと思います。


○ ビジネスマナーを守る

当たり前のことかもしれませんが、ビジネス上のお作法は頭に入れておきましょう。

名刺の渡し方や、椅子の座り方、話を聞く姿勢はもちろん、面接後のお礼のメール(ビジネスメールの書式で)も忘れずに送りましょう。

大目に見てくれる人もいるかと思いますが、弁護士業務の性質上、将来顧客を相手にしても細やかな心配りができる人材かは、重点的に見られるポイントだと思います。


以上、ざっくりですが気づいた点を書きまとめました。
何度も言いますが、採用の方法や基準は事務所によって異なるため、上記の点は一般化できないことにご留意のうえで、参考にしていただけると幸いです。

なかなか就職が決まらない、ということで焦る必要は全くなく、むしろいろいろな事務所(インハウス志望の方は会社)を回ってみて、自分に合う職場かをじっくり吟味したほうが、将来的にはよいと思います。


国選弁護について

2016-10-18 00:31:29 | 弁護士業務
今回は国選弁護について書こうと思います。

弁護士会によって扱いが異なるかと思いますが、私は1年目の義務研修として国選弁護を受任しました(事件としては、被疑者段階で終わってしまいました)。

大まかな流れとしては、受任当日に法テラスで事件を受任し、裁判所に向かい、諸々の選任手続を済ませた後、勾留質問を終えたばかりの被疑者と接見し、事情聴取を行います。
その後は、毎日~2日1回くらいのペースで勾留されている警察署まで接見に行きつつ情報を収集し、必要があれば親族や事件関係者と接触して、早期の身柄解放及び不起訴に向けた弁護活動を行います。

受任時には被疑事実と被疑者の情報のみが記載された資料を閲覧することができ、その情報をもとに受任事件を選ぶことができます。
もっとも、私のときのように、受任日に1件しか配転が無いような場合は、事件を選ぶことができないこともあります。

新人弁護士用の事件は軽微なものが選別されるよう配慮されているようですが、否認事件もありますし、別件と併合されて裁判員裁判に発展するケースもあるようですので、どの事件に当たるかは運次第ということになります。

裁判所における初回の接見では、限られた時間の中で要領よく必要最小限の情報を聞き出すことが大事かなと思います。見通しを立てるための事件の概要はもちろん、家族や職場の連絡先を(連絡してよいかを含め)確認することが必須です。被疑者が覚えていない場合には担当警察官が対応してくれることもあるみたいです。
初めて逮捕されるという人もいれば、既に色々経験済みで手続を熟知している人もいるので、臨機応変な対応が必要です。被疑者に対する接し方については、検察修習での取調べ経験が生かされると思います。

被疑者から一通り話を聞いた後は、その日のうちに親族その他身元引受人に連絡をとる他、担当検事にも連絡し、事件の見通しを含め所見を聞いておくと良いでしょう。被害者がいる事件の場合は、この時に検事から連絡先を聞いて示談準備を進めることになりますが、検事が難色を示す場合は間に入って連絡をとってもらうことになります。
刑事や検事は、基本的にはこちらと協議しつつ合理的に事件処理をしてくれると思いますが、理不尽なことを言われることもあるので、物怖じせず毅然とした態度で堂々と接しましょう。

被疑者段階の具体的な弁護活動は、①勾留の理由・必要性がないことを裁判所に主張して、身柄解放を目指すこと、②被疑者の要望に応えること、③公判に備えて被疑者に有利な事情・証拠を集めること、の3点が主になります。

①は、被疑者本人や準抗告・勾留取消請求書の起案の他、疎明資料の収拾や、上申書の作成も行います。必要があれば、裁判官や担当検事と直接面談し、事情を伝えるというのも手です。身体解放の見通しがあまりにも悪い事件の場合、これらの活動をどこまで本気でやるかという問題がありますが、もちろん被疑者から依頼されれば職務倫理上義務がありますし、ここで収集した情報は、起訴後の保釈請求や公判での情状弁護に役立つこともあるので、手を抜かずにやって損はないはずです。

②については、被疑者の親族との連絡や差入れなど、被疑者の連絡係として労を惜しまず動きましょう。

③についても、基本的には①と同様で、証拠が見れない分関係者から根掘り葉掘り事情聴取することが必要になります。

このような事情聴取や起案などは、通常業務で行っていることの延長になるので、普段の仕事の成果が大いに発揮されるところでもあります。
一人での仕事になるので不安はあるかもしれませんが、上司のご機嫌をうかがう必要もないので、自営業たる弁護士の仕事の醍醐味を感じられます。

とはいえ、被疑者にとっては人生を左右する一大事なので、ある程度の緊張感を持ちつつ、堂々とこなすことが大事かなと思います。


英語との付き合い方

2016-10-10 01:52:48 | 弁護士業務
久しぶりに日々の業務における所感を。今回は英語についてです。


各事務所の扱っている業務分野にもよるかもしれませんが、企業法務において英語に触れることは避けて通れないと思います。

国内の事業会社でも、今の市況では国内のみで事業が完結することは少ないと思いますし、海外の企業との取引や、海外から出資・融資を受けてビジネスを行うケースが少なくありません。

私の職場は外資系というわけではないのですが、全体の仕事の割合に占める英文契約書のチェック・作成の数は多いですし、海外の企業や法律事務所とのやり取り、会議に参加することもありました。


英語が流暢な方は、事務所から間違いなく重宝されると思います。ただ、英文契約書で使う表現や、英文ビジネスメールでの言い回しは、通常の英会話とはまた少し違うものですし、大学受験レベルの基本的知識があれば、将来の留学も見据えて仕事をしつつ英語力を伸ばしていく、ということも不可能ではないと思います(現に私も勉強中です)。

英語を使えると、やはり仕事の幅がぐんと広がる感覚があります。パートナーからも渉外案件を積極的に振られることになるし、その案件を通じていろいろな人とやり取りができるようになり、やりがいも大きいのではないでしょうか。


また、将来運よくパートナーになれた際、渉外案件も対応可能であるということだけで、大きなアドバンテージになるのは間違いありません。

正直言って、10年後または20年後、日本の弁護士業界が現状のままとは言い難いと思います。日本の大手事務所が海外で顧客開拓している可能性もあるかもしれませんし、逆に外資系事務所に国内シェアも奪われている可能性だって大いにあります。特に、国内の顧客シェアが飽和化している現状では、日本の事務所が外資系事務所を相手に国際展開していくことは近い将来あり得ることなのかな、とは思います。

いずれにせよ、企業法務の分野で将来食べて行こうと思うのであれば、いつ海外に放り出されてもいいように、それなりの準備をしておかなければいけないと痛感しています。


とはいえ、普段の仕事が忙しいと英語の勉強の時間もあんまり取れないんですけどね(笑)


司法修習について(二回試験~注意事項まとめ)

2016-10-03 01:27:30 | 司法修習
3.注意事項

最後にまとめ的に注意事項を述べていきます。あくまで私見ですので、一意見として参考にしていただければ幸いです。

(1) 全科目共通

①時間内に紐でつづる

当然ですが、絶対的に必要なノルマです。
試験前に必ずアナウンスされることにもかかわらず、毎年綴れない人が数人出るようです。
確かに時間に追われていると、紐より答案を完成させたいということに意識が向いてしまう気持ちも理解できますが、あらかじめ紐を通したうえで答案を書くなど、自分なりに工夫して必ず紐だけは結びましょう。


②ページ番号をふり間違えない

これも時間がなくて焦っているときには結構間違えがちです。
最後にまとめてページ番号をふるという人は、答案用紙が重なっていないか注意しましょう。


③途中答案を避ける

①②よりも相対的に重要度は下がりますが、司法試験よりも途中答案に対する評価は下がるようです。
特に、小問を白紙にするのはもったいないので、先に解くのも有効です。


④時間配分に気を付ける

集合修習起案の段階から、記録を読むペースをつかんでおきましょう。
途中でしっくりこない点がある場合であっても、一旦保留にして読み進めれば理解できることもあります。
時間が足りなくなるとどうしても焦ってしまって、かえって記録が頭に入らなくなるので注意が必要です。


(2) 民事裁判

・訴訟物を間違えない

ここを間違えると大打撃になりますので、事件名やよって書きを必ず確認して素直に書きましょう。


・固い事実から認定する

ジレカンで整理されている「争いのない事実」等の固い事実から認定していきましょう。
数撃って勝負できる科目だと思うので、認定事実は豊富にあげましょう。


(3) 刑事裁判

・重要な事実から認定する

民裁とかぶりますが、記録上検察官及び弁護人が重要視している事実に必ず着目しましょう。


・推認過程を丁寧に分析する

全科目の中で、一番慎重な事実認定を要する科目だと思いますので、反対仮説が成立する可能性を積極的に検討し、答案上に「悩み」を表現するよう意識しましょう。


(4) 検察

・公訴事実を間違えない

民裁における訴訟物並みに合否にかかわる部分です。検面調書をよく読んで、記録上担当検事が意図しているところを素直に汲み取りましょう。


・型(ルール)を守る

検察起案は型が命ですので、検討事項を落とさないように注意しましょう。
また、自白を事実認定に用いることの可否等、起案上のルールに従いましょう。


(5) 民事弁護

・当事者を間違えない

形式的な所ですが、原告・被告いずれの立場で起案するか必ず確認しましょう。


・(最終準備書面起案)相手方の主張から逃げない

最終準備書面起案型の場合は、自分の主張の裏付けと共に、相手方の主張が成立していないことにも触れる必要があります。


・(見通し起案)誘導に逆らわない

法律構成を何個も立てる作業は難解ですが、必ず設問に誘導があるので、それに従っておけば大外しすることはないはずです。難しく考えすぎないことがポイントかなと思います。


(6) 刑事弁護

・被告人の意思をくみ取る

無罪起案なのか、認定落ちを狙うのか、結論に注意しましょう。


・メリハリをつけて弾劾する

検察官の立証構造を想定したうえで、争点となるところを重点的に叩きましょう。


・型を守る

刑事弁護における弁論要旨も型が重要になるので、供述の引用の仕方等も踏まえ、答案の作法を守りましょう。



修習に関する記事はとりあえずこれで以上になります。
研修所を卒業してから1年近く経とうとしていますが、思い出しつつ書いているうちに懐かしく、ちょっと切ない気分になりました笑。

また思い出したことがあれば追記しようと思います。