☆つる姫の星の燈火☆

つる姫的心臓病闘病記~エピソード10・嬉しいはずの退院そしてこれから~

2月11日水曜日建国記念日。

心房細動も起こらず検査も問題なく、晴れて退院の朝を迎えました。

お空も晴れて朝から穏やかな晴天。

入院した日も同じような晴天だったな、と思い出しました。

1月14日が水曜日でしたから、ちょうど4週間の入院生活でした。

 

体調もよく、朝から退院の準備をしました。

帰る時には何を着ようかな。どうせ車でドアからドアなんだけど。

今日くらいはお化粧でもしようかな。

家は片付いているかな。散らかってたらやだな。

階段は上れるかな。

ロッキーはどんな顔するかな。

 

入院中何度も見た隣のビルに映る富士山も

もう二度と病棟から見る事はないようにと願いました。

そんな事を想いながら時間を見ると、10時を過ぎていました。

11時頃に迎えに来るはずの主人は、もうそろそろ家を出る頃です。

そう思った時、異変が起こりました。

 

家に帰ってまた心房細動が起こったら・・・

まるで俄かに湧き起こった真っ黒い雲のように

思ってもみなかった恐怖が私の身体をすっぽりと包んでしまったのです。

 

これまで何度か退院が延期になってナーバスになっていた私は

気づかないうちに、病院にいれば何があっても大丈夫だという

悲しい安心感を持つようになっていたのでしょう。

黒い雲の中で胸が苦しくなり脈をとってみると「期外収縮」が起こっています。

これは規則的に打っている脈が時々飛ぶ、というもので

ストレスなどでも起こる不整脈だそうですが

きれいに整え終わったベッドの端で私は小さく震えていました。

 

そうしているうちに、主人が今度こそ連れて帰るぞ、

というような張り切った顔で病室に入ってきました。

沢山の荷物を一気に持って病室を出ようとするので

私は堪らなくなって不安を口にしました。

「ものすごく緊張してるんだけど」

主人は、全く理解できないと笑い飛ばして病室を出ました。

ちっとも分かってくれないなあとも思ったけど

逆にB型の主人でよかったとも思います。

しかたなく部屋をもう一度見回してから主人の後を追いかけました。

ナースセンターにいた看護師さんたちに挨拶をしました。

もう二度とこの人たちのお世話にはならないんだ、と自分に言い聞かせました。

もちろん、それはもう入院はしたくないからで、素晴らしい看護師さんばかりでした。

2人の看護師さんがエレベーターまで見送りに来て

ドアが閉まるまでお辞儀をしてくださいました。

 

エレベーターを降り、休日用の出入り口を出て車に乗っても

不安で不安で仕方ありませんでした。

車が病院から離れ、もう病院より自宅の方が近いというところまで来て

やっと腹をくくることが出来ました。

退院が何度か延期になり、精神的によほど弱っていたのでしょう。

退院してもしもまた発作が起こったら、という不安。

これから先、自宅で一人になるのが怖かったのです。

心電図のモニターに少しでも異変があれば、すぐに駆けつけてくださった看護師さん達。

家に帰って何かあっても、そばにいるのは手のかかる老犬ロッキーだけです。

そのロッキーは帰宅した私の目を見ようとしませんでした。

留守中一番沢山お散歩に連れて行ってくれた主人ばかり目で追っていました。

これまでいつもそばにいた私はもう、過去の人になってしまっていたのでしょうか。

 

退院後に一人で外出した時も、不安になって途中で引き返したことが何度かありました。

この病気はいきなり心臓がとまって死ぬようなものではないのですが

心臓病は、臆病という病気も併発してしまったようでした。

 

しかし、時間は前にしか進みません。

勇気を出して一歩踏み出さなければ

せっかく繋いでいただいた命を生きていることに何の意味もなくなります。

 

 

手術から2ヶ月と一週間ほど経ちました。

まだ日によって体調は良かったり悪かったりですが

退院後の2度の検診によれば、経過は順調なようです。

一日に30個位飲んでいたお薬も、今は朝晩で8.5個です(半分飲んでるのがあるから)

脈が上がるのを押さえるお薬を中止してから、脈が100以上になることがあり

普段も大体90台でしたが、今は70台まで下がる事もあります。

心臓の機能が回復してきたのだろうと思います。

ちなみに術後の脈拍数が増えるのは普通だという事です。

血圧は相変わらず低めですが、心臓にとっては低い方がよいという事です。

期外収縮という不整脈はたまに出ますが、さほど頻繁でなければ心配しなくてよいらしいです。

水は術後すぐは一日750ミリリットル、その後1リットルに制限されていましたが、

今は1.5リットル飲んでいます。

まだまだ寒い時期でしたが、お風呂は湯船にどっぷり浸かるのが怖くてずっと半身浴でした。

半身浴でも充分温まります。

浴室がさむい場合、肩にバスタオルをかけて入浴するとよいですよ。

買い物には徒歩で行きます。

大根とキャベツを買って貧血を起こしそうになったこともありますが

今は重いものはリュックに入れて、歩く速さも以前に戻りました。

以前は無駄な動きをしないようにと

自転車でいっぺんに沢山のお店を回って買い物をしていましたが

買い物を含め家事一般に関して今日やる事を明日に残す、

という以前はネガティブに捉えていた事をリハビリの方法の一つとして実践しています。

主婦の仕事は本当に大変なのです。

殊更リハビリと名付けて運動をしたりする時間もないほどです。

 

季節がよくなってきたお蔭もあるでしょうが、外に出かけるのが怖くなくなりました。

でも電車にはまだ乗れていません。

この週末にでも、チャレンジしてみようと思います。

混んだ電車は元気な時でも耐えられないですから。

 

この私が心臓病で手術をするなんて本当に想定外の出来事でした。

また、この病気は何年か経って再発するという事も珍しい事ではありません。

再形成した弁は、10年持つかどうかというニュアンスです。

そうは言ってもまだ「若い」私の10年後は、まだ大往生の年ではないですが

今から怖れていても仕方ありません。

 

そして、だからこそこれからは

これまで以上に今この時を大事に生きていける気もします。

 

私の体験記では、病気に関する詳しい情報や数字にはあまり期待できなかったと思います。

内面的な部分に触れることが多かったですから。

しかし病気に関する詳しい事は、今はネットでいくらでも調べられます。

病気を知ることは出来ても、実際に罹らないとわからない事が沢山あります。

経験者の話程濃いものはないとも思いますが

同じ病気でも、人それぞれ経緯も状態も違います。

そしてさらに複雑なのは、人の心の状態です。

病は人を選びません。ポジティブな人もネガティブな人もいい人も悪い人も。

太陽の光がすべてに平等に降り注ぐように。

 

良いタイトルが思いつかなくて闘病記、と命名しましたが、

闘うより受け入れる方がはるかに容易いということも学びました。

また、身近な人が病気になった時に自分が出来る事は何だろうという事も

考えさせられました。

 

最後に

私が神様からいただいた試練から得た言葉をシェアさせてください。

病気は再発するかもしれないし

これから何年生きるかわかりませんが、自分自身の言葉で胸に刻んで前に進みます。

命あるものは死ぬまで生きられるのですから。

 

 

「死」はどんな形であれ、いつか必ず訪れる。

どう死ぬかは選べないけど

どう生きるかは選べる。       つる姫

 

 

めでたし

 

最後までお付き合いくださりありがとうございます。

皆様の健康を心からお祈りしております。

 

 

感謝をこめて

つる姫


私の好きなものは笑顔。笑顔は世界を救うと信じるつる姫のブログです。

コメント一覧

つる姫
ひとみさん
コメントありがとう。
身近な人だからこそ言えない事もあるので
読んでくれてよかったです。
可能であればGW前後に一度顔をみせに帰省したいと思ってます。
まだまだ寒い日もあると思いますが
ひとみちゃんも身体に気を付けて
つる姫
ブラボーさん
ありがとうございます。
人生に無駄なし、は本当に素晴らしい言葉だと思うし
すべての出来事に意味があると思います。
そして、それは起こる事をその人がどう受け取るか、なんですよね。
バスに乗って行きたいところですが、逆に電車なら2,3分ごとに停車するので何かあっても、という想いです。
とりあえず、電車デビューしてからですね!


ひとみ
随分辛い経験をしたんですね。
あまり知らなくてごめんなさい。書いてくれてありがとう。こちらも随分春らしくなってきました。また会いましょうね。
ブラボー
お帰りなさい♪
本当の意味で退院おめでとう~!
病は気からと、健康な人は言うけど、病んだ人にしかわからない事は有ります。病気はマイナス面だけでなく、充分プラス面も有ります。ソレをどう受け取るかは本人次第ですね。
私は病気を通して<人生に無駄なし>の言葉が自然に出てきました。貴女にも生きてる事は、死に向かって生きてると言う意味が実感できたんですね。病院と違って、俗世間は刺激が多くて大変だけど、ソレが人生の楽しみと思える様に頑張ろうね♪
電車に乗る前にバスに乗ってこっちに気ませんか~^0^木曜日はだいたい都合が付きますよ~。
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