今日は10月29日。
10月の終わりって、私にとっては特別なのです。
ちょうど1年前の今頃、
私が15年間習ってきたピアノの先生がお仕事を辞めてしまったのです。
先生が仕事を辞めるという事は、
その2週間くらい前に初めて聞かされたばかりでした。
理由は病気なんですけど。
でもまさか、辞めちゃうなんて思ってもみませんでした。
かなりびっくりしましたよ。
私はもう当然、ずーっと習い続けていくものだと思っていたので。
なんだか信じられませんでした。
あと残り2回、1回と減っていってしまうのが嫌でした。
そして、最後の日。
私はかなり頑張って、全部の曲を練習しました。
ちゃんと合格できるように。
私、バッハの曲が大嫌いなんですけど、それも頑張りました。
先生はバッハ好きだったし。
あぁこれで最後なんだな~なんて思ってたら、なんか泣けてきちゃって。
ピアノ弾きながら泣くなんて、久しぶりでした。
その日、私は別に手紙とかを用意していませんでした。
なんだか「これで最後だ」っていう実感もあまりなかったし、
何を書いていいのかもわからなかったし・・・。
でも今思えば、あの時ちゃんと手紙を渡しておけば良かった。
今更後悔しても遅すぎますけど。
でも、先生はちゃんと手紙をくれました。
そこには、
小さい頃から通っていた私を実の子供のように思っていた、と
書かれていました。
私なんてどうしようもない子なのに。
練習するのが嫌いで、いっつも文句ばっかり言って、
なんでピアノなんか習ってるのかよくわからなくって。
それなのに、そんな風に思っていてくれたんですよね。
最後には、こう書かれていました。
心豊かな人生の一環として、これからもピアノを続けていってくださいね、
と。
私、今まで真剣に考えたことなかったんですけど、
その手紙を読んで、
真剣にピアノの先生を目指してみようかなと思ったんです。
こんないい加減な私がなれるかどうかわからないし、
今はなりたい人がたくさんいるから、かなり難しいでしょうね。
でも、私も先生になれたらいいなと思ったんです。
まだ考え途中ですが、いずれはそっちの方向に進みたいです。
そして、私の高校の卒業式の日。
先生から久しぶりにメールが来ました。
私は卒業旅行で行った沖縄のお土産も渡したかったので、
次の日曜日に一緒にご飯を食べに行く約束をしました。
しかし、約束をした2、3日後。
とても体調が悪く、日曜日は行けそうにない、というメールが来ました。
私は「3月いっぱいは春休みで暇なので、またいつでもいいですよ~」と
返事をしました。
それが最後でした。
それから1週間も経たないうちに、
携帯に知らない番号から何度も不在着信が入っていて、
何だろうと思って掛けなおしたら、業者の人が教えてくれました。
先生が亡くなった、と。
先生の携帯に入っていた番号全部に知らせたんだそうです。
さて、随分長々と書いてしまいました。
あれからもう1年が過ぎてしまったんです。
何だか早すぎて、恐いくらいです。
新しいピアノの先生は、私は好きではありません。
でも、ピアノは好き。大好きです。
だからこれからもずっと、続けていきたいと思います。
そしていつか、ピアノの先生になれるといいなぁ。
そしたら、私はとっても厳しくて優しい先生になりますよ!
私の先生のように。