Rondo Capriccioso ~調律徒然日記~

Piano Labo.(代表)竹宮秀泰によるブログ。
「ピアノ」を主題に気まぐれなロンド形式で綴ります。

STEINWAY&SONS B型 ルーズピン修理&全弦交換

2012年11月04日 | 作業レポ

今年6月に行った修理のレポを、今更ながらまとめてみました。

ピアノは、某社が所有するスタインウェイB型。
製造されたのは1956年、つまり、56歳のピアノです。

過去に少なくとも2回、もしかすると3,4回オーバーホールされている形跡があります。
最後のオーバーホール(おそらく販売時に行われた修理)は、見たところ間違いなく海外で行われていることから、恐らく海外育ちのピアノだろうと推測出来ます。

今回の修理は、弦を巻き付けているチューニングピンという部品が、弦の張力に耐えられなくなっており、調律の保持が困難になっていたため、このピンのトルクを増すことが目的です。

こういった場合、一般的には、現状よりも一回り太いピンに交換すれば解決します。
ところが、前述の通り、このピアノは何度かオーバーホールされており、その度に太いピンに替えているので、通常よりかなり太いピンが使われております。
様々な事情があり、これ以上太いピンは出来るだけ使いたくありません。

とは言え、ピンが打ち込まれている板(ピン板と言います)を交換するには、予算と時間と設備が必要ですので、今回はピンスリーブを使用する修理で対応しました。
これは、一度ピンを抜き取り、薄板(スリーブ)を挟み込んで打ち込む方法です。
ピンの太さが変わらないことと、新しい部品が要らないというメリットと引き換えに、非常に面倒な方法でもあります。
しかし、今回の場合は、有効な方法だと判断しました。

ついでに、疲労により、心地良い振動が得らていない弦も全て交換することにし、折角なので、ダンパーフェルトも貼り替えることにしました。

ということで、まずは色々と記録をとりながら解体します。






ピンスリーブを使いながら、後は普通に弦を張っていきます。




とりあえず、全部張り終えたところ。




分かり辛いかもしれませんが、よく見れば、スリーブ(薄板)が挟まっているのが確認出来ると思います。




張弦後は、付随する諸々の調整を行い、予めフェルトを貼り替えたダンパーを取り付け、調律を繰り返す…通常のルーティンです。




本来ならこれで終わりですが、やはり職業柄、アクションを全く無視することは出来ません。
予定にも見積もりにも入っておりませんが、一通りの手入れはしないと気が済みません。








しかし、60年近く経っても衰えない音色に、技術者がよく口にする言葉を思い出し、しみじみと思い知らされました。

「腐ってもスタインウェイ。」

 


2 コメント

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困っています (高鳥清美)
2016-05-14 00:16:52
はじめまして、YAMAHAピアノYUAを愛用しています。1週間前にお世話になっている調律師さんにハンマーを削っていただき調律もしてもらったのですが音色もタッチも変わってしまい後悔しています。ハンマーアッセンブリしていただきたいのですがお願いできますでしょうか?
Re:困っています (piano-labo)
2016-05-14 21:34:46
高鳥様
お問合せありがとうございます。
ハンマーのファイリングを行うと、必ずタッチも音色も変わります。
結果、好みでなかったご様子ですが、そのことは調律師さんにお伝えされましたでしょうか?
きっと、再調整に応じてくれるはずです。
ただし、ハンマーの形状や重量が物理的に変わりましたので、ファイリング前と全く同じ状態には戻りません。

>ハンマーアッセンブリしていただきたい

これは、ハンマーアッセンブリの交換をご希望ということでよろしいでしょうか?
YUAは特殊な構造です。
YUAのアッセンブリ交換を行う場合、私はノーマルタイプの部品を採用しますので、それこそタッチが激変します。
もちろん、使用するハンマーによっては、音色も全く違うものになります。
どちらも良くするつもりで取り組みますが、音もタッチも良し悪しの判断は奏者の主観(好み)によります。
少なくとも、音もタッチも元と同じには絶対になりません。
そして、修理代はそれなりに高額になります。
以上を御承知の上でご依頼頂けるのでしたら、喜んでお受け致します。

今一度、よくご検討された方がよろしいと思います。

尚、メールアドレス等ご連絡先を教えて頂ければ、もっと具体的な説明をさせていただきます。
必要でしたら、ネット上には公開しませんので、当コメント欄にご記入頂ければと思います。

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