風がそよぐたび
葉擦れの音が通り過ぎる
どうにかして気付いて欲しくて
木洩れ日のきらめきは
読んでいるページに そっとたゆたっている
小鳥は
透き通った 柔らかい若葉をついばんでいる
時折 思い出したように
春の歌をさえずる
こんな日の
遠くから届く電車の走行音も
空高くからの飛行音も
緩やかに聞こえる
いつもより 一日だけ多い休暇の始まり
風がそよぐたび
葉擦れの音が通り過ぎる
どうにかして気付いて欲しくて
木洩れ日のきらめきは
読んでいるページに そっとたゆたっている
小鳥は
透き通った 柔らかい若葉をついばんでいる
時折 思い出したように
春の歌をさえずる
こんな日の
遠くから届く電車の走行音も
空高くからの飛行音も
緩やかに聞こえる
いつもより 一日だけ多い休暇の始まり
「星が話してくれたことを、友だちに話してあげるのはかまわないんでしょ?」
「それはいいよ。だができないだろうね。」
「どうして?」
「それを話すためには、おまえの中でことばが熟さなくてはいけないからだ。」
「でも話したいの、なにもかも!あそこで聞いた声を、うたって聞かせられるといいな。
そうしたら、なにもかもまたよくなると思うわ。」
「ほんとうにそうしたいのなら、待つこともできなくてはいけないね。」
「待つなんて、わけのないことよ。」
「いいかね、地球が太陽をひとめぐりするあいだ、土の中で眠って芽をだす日を待っている種のように、
待つことだ。ことばがおまえの中で熟しきるまでには、それくらい長いときが必要なのだよ。
それだけ待てるかね!」
「はい。」とモモはささやくようにこたえました。
「それでは、おやすみ。」と言って、マイスター・ホラは彼女のまぶたをかるくなでました。
「眠るのだよ!」
モモはふかぶかとしあわせそうに息をすうと、すぐに眠りに落ちてゆきました。
『 モモ 時間どろぼうと、ぬすまれた時間を人間に
とりかえしてくれた女の子のふしぎな物語 』 ミヒャエル・エンデ 作
モモとマイスター・ゼクンドゥス・ミヌティウス・ホラの会話
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