これは以前書いていたブログで、
我がココロの友(略して心友)・スー
に捧げた物語です。
心友の為だけに書いたものだけど、残したかったのでこちらに移しました。
前々から移そうとは思っていたんだけど、今日移したかったので。
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これは遠い遠い未来の
満月の晩の2日前の
雨の降った寂しさ溢れる晩の
トアルオトコのお話です。
ペインはスティーブに恋をしていた。
「ずっと一緒にいようね」
「ずっとなんてわからないよ」
ペインは少し悲しくなった。
外は雨。わからないようにペインはヒトリ泣いた。
スティーブは気付かなかった。
ドンドンッ
突然叩かれたドア
「どなたですか?」
「道に迷って。雨宿りさせてください」
開かれたドアには美しい女性が立っていた。
名はルビーと言った。それはそれは美しかった。
スティーブの目が輝いたのをペインは見逃さなかった。でも悲しくて認めようとはしなかった。見なかったフリをした。
誰にも気付かれず(ペインさえもわからない)、涙が頬を伝った。
外では雷も鳴りもゴロゴロ。
ピカッ
「きゃーーーー」と怖がるルビー。
大丈夫だよ、と優しいスティーブ。
「何でこんな夜に森を歩いていたの?」と聞くペインに、ルビーは「わからない。気付いたらココにいたの」と答えた。
「お邪魔だった?」
雨は一向に止みそうになかった。
スティーブとルビーは楽しそうに話している。ペインは何度もトイレに行った。ヒトリ泣いていたのだ。誰にも知られず泣いたんだ。
5度目のトイレに行った時、窓の所に一匹のカエルがいるのに気付いた。すると
「なんでそんなに泣いてるの?」
ペインは驚かなかった。ただ、無理矢理笑顔を作って、泣いてないよ、とだけ言った。カエルは不思議でならなかった。。。
7度目のトイレにペインが来た時、カエルはコッソリリビングに抜け出した。
スティーブとルビーが楽しそうに話していた。カエルの後ろに、ペインは立っていた。涙は拭われていた。カエルは、ペインをよく知っていた。
毎朝、花に水をあげるペイン。
友達想いのペイン。
虫にさえ、おはようと言うペイン。
素敵な歌声のペイン。
誰よりも笑顔が輝いていたペイン。
スティーブ想いのペイン。
カエルはトイレに戻った。
「ずっと一緒にいようか」
「うん」
スティーブとルビー。
ペインはナイフを手にトイレに入った。入るなり、ジブンの胸めがけてナイフを突き刺した。
感触はあった。でも、ペインはジブンが生きているコトに気付いた。全く痛くないことにも。
ナイフの先にはカエルが突き刺されていた。ペインは我に返り、「ごめんねごめんね」といつまでも泣いた。
夜が明けそうになっても、スティーブとルビーは話していた。
トイレからナイフを持って出て来るペインにスティーブは気付いた。そして、ペインが泣いていることにも。
スティーブは、ペインを抱きしめて涙をいつまでも拭った。何度も何度も謝りながら。
それから、「結婚しよう」とスティーブは言った。
ペインは泣きながら頷いた。ルビーはいつの間にか消えていた。
雨もあがり、朝日が輝き出した。
ナイフにはカエルが刺さったままだった。
カエルは嬉しそうな切なそうな顔で、泣いていた。