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心のケア サッカー療法

2012-01-18 23:37:44 | 日記
「心の病 ボールは友達」
  イタリア サッカー治療で効果
        
   朝日新聞 2012年(平成24年)1月8日 日曜日

 ローマ郊外の河川敷で、三つのサッカーチームがリーグを戦っていた。選手は20~50代の男性約30人で、統合失調症やうつ病などを患った人たちだ。病気と闘う″選手″ たちの「カルチョ・ソシャーレ(福祉サッカー) 」リーグが、今季も昨年10月に開幕し、イタリア全土で繰り広げられている。患者の治療と社会復帰に効果があり、各国で急速に広まっている。

 80チーム 年1000人参加

 一緒に駆け回っていた精神科医のサント・ルロさん(50)が、1 9 9 4 年にサッカー好きの患者とチームを作ったのがきっかけだった。患者の回復がよい傾向にあるとすぐに気付いた。スター選手のトッティが普及に力を貸し、今では全国に約80チームがあり、毎年約1 千人がこの治療を受けている。
 6割の患者にはっきり効果が認められるという。理由をルロさんは次のように分析する。① 自分が病気だと認めない人も「サッカー治療」なら受け入れる② 運動で脳が刺激され、薬による意欲の低下を防げる③戦術に従って敵の動きに対応することが、日常生活で問題に対処する鍛錬になる④ 人の輸に入ることを恐れる人にコミュニケーションの機会を与える。
 回復の過程で″選手″ は、9 人が患者、2 人が地域住民のチームから、2 人が患者、9 人が住民のチームヘ移籍する。「ステップアップ」で社会復帰への自信が深まる上、多くの住民が患者と接することで地域の偏見もなくなる。
 ルロさんは、災害による心的外傷後ストレス障害(P T S D ) や自殺予防へのサッカーの利用も勧める。P T S D が長引く原因となるうつの併発が抑えられるし、集まって練習することで互いに自殺のサインに気付きやすくなるからだという。不登校の子どもの学校復帰、虐待をする人の攻撃性を抑えることにも応用できるという。

 復帰支援 日本でも
 日本でもサッカーなどのスポーツを活用した精神疾患患者の社会復帰支援が、一部で始まっている。
大阪府高槻市の男性(36)は、アパレル会社の管理職だった2 0 0 6 年、激務と社内の人間関係の悪化でうつになった。他人が怖くなり、家にこもった半年は、「消えたい」という思いにも襲われた。職場復帰しては再発を繰り返す状況が変わったのは、08年にフットサルを始めてから。仲間と協力して達成感を味わい、「人と話ができるようになり、否定し続けた自分の存在を肯定できた」と話す。
 現在は、障害者就労支援のカフェを運営するN P O 法人で、経営戦略を担う。06年からフットサルを活用する新阿武山病院企局槻市) の医師、岡村武彦さんによると、当時32人中1 人しか就労していなかった患者が、今は半数が就労か進学。「患者がよりよい状態に一戻るのに、スポーツが活用できると証明されつつある」。日本は5 年で60チーム以上ができ、英国、北欧でも取り組みが始まった。  (後藤太輔)

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