解禁以来、順調に釣行を重ねてきた。
仕事も落ち着いてきているので、毎週末を渓で過ごせるのは幸せなことだ。
唯一、花粉症さえなければ、である。
久しぶりに晴れた週末だったので、花粉症がことのほか辛い。
ひどいときは、数時間でティッシュひと箱が空になる。
最近では、トイレットペーパーで鼻をかんでいる。
コスト的にはいいが、鼻がひりひりと痛くなる。
入渓前にコゴミを探したが、さすがにまだ出ていなかった。
それが当然といえば、当然なのである。
桜とタラノメだけ、異常に早かったのである。
それでも、日当たりのいい広場には土筆が顔を出していた。
やはり季節の進みは早い。
ホームリバーで熊鈴を鳴らすことはめったにないのだが、先日ネットの情報でクマ出没を知った。
最近、サルが多くなったと思っていたら、今度はクマか。
鉢合わせは勘弁願いたいので、今日は熊鈴を腰にぶら下げた。
もう少し大きいやつに買い替えようかな。
雨で増水していた流れは嘘のように減衰し、赤や緑の苔に悩まされる。
赤いのはぬるぬる滑るし、緑のはトロロのようにルアーに絡みつく。
渓魚の反応は、全く無くなった。
釣りにおいて、一匹釣れるか否かは天国と地獄ほどの差がある。
1匹とボウズの差は、100匹と1匹の差より遥かに大きい。
これは渓流だけでなく、魚種を超えて釣り全般に言える真理であり、異論は許さない。
釣れないときのアングラーは、愚かでみじめでみすぼらしい。
自己肯定感は著しく下がる。
今日は、まさしくそんな日だった。
花粉症がそれに追い打ちをかけ、気分は最悪である。
最後の最後でサビの残った良型の越年ヤマメが出た。
ここまで3時間半はノーチェイスだった。
ワンチャンスをものにできた。
一匹釣れれば、さっきまでの愚かでみじめでみすぼらしい自分はどこかに吹き飛ぶ。
自分の釣技とタクティクスに酔い、自信は回復し、万能の王となる。
一匹の価値は、人間の尊厳を取り戻すのである。
ことわざに、「最良の仕事の日よりも最悪の釣りの日の方が、まだマシである」というものがあるが、最悪の釣りは決して最良の仕事につながらないことを自分はよく知っている。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます