2021年3月5日、習近平は全人代の内モンゴル自治区の分科会で、標準中国語(漢語)の普及など「中華民族」の一本化を推進するよう指示、と国営新華社通信が伝えた。
習は長年「中華民族の共同体意識」の確立をかかげ、全人代で国家戦略としてこの政治スローガンが、民族政策の柱に据えた。
(中国の公認少数民族の数は55)
<これは明らかに、同化政策で、民族の独自性=歴史、文化、言語などの否定で、民族そのものの否定、抹消を意味する。これは明らかに、共産主義の思想・政策ではない。習は、明白に共産主義を放棄したことを公然化した。この政策が中国共産党全体に受け入れられているのかは不明。この政策は、戦前日本が韓国や台湾を植民地化したときに採用した政策を同じようなものである。この政策が、中国共産党の党内求心力になるのかは不明。だが、国際社会から批判されるこうした政策を習が提起するのは、民族問題就中内モンゴル自治区の宗教問題で、中共が効果的な政策を提起出来ていないことを示している。モンゴル自治区の住民の多くがイスラム教といわれている。彼らは、簡単に宗旨替えはしないし、誇り高い民族であるので、同化政策のも頑強に抵抗するだろう。そして彼らは、中国外のイスラムとも容易につながっているので、外部からの支援も充分期待できる。中共が国境線を封鎖しようとしても、非常に長い国境線を完全に封鎖することは難しいので。
習・中共の民族同化政策の大義名分を見ると、社会主義・共産主義と無縁である。そこに見えるのはむき出しの民族主義である。これはブルジョアの思想である。ここまで、堕落した中共は、共産党の団結を何を軸に図るのだろうか。思想的結集軸は民族主義で、経済的には国家資本主義となると、共産党の団結は権力の維持、一党独裁体制の維持が目的になる。ジョージ・オーウェルの『1984年』の世界か?この世界は、徹底的な監視社会とならざるを得ない。が、中国以外の社会がこのような中国の有り様を容認しないだろう。また、今はコロナで、規制されているが、収まれば再び諸外国との様々な交流が行われる。中国が鎖国政策をとらない限り。中国の徹底した監視体制もこうした交流によってひびが入る。また、共産党内部に、反習勢力が厳然と存在している。彼らは、習の失政を見逃さない。民族同化政策が中国共産党にとって失政かどうかは分からない。民族問題の行き着く先が同化政策だということは、危機的状況を反映しているともとれる。この政策が旨くいくとは思えない。ウイグル人の抵抗と諸外国からの批判により、共産党内部からも批判が出てくる可能性を否定できないからである。今後の中国情勢から目が離せない。>