マリクロブックス
『たくましく生きる つぶやき』
知恵のつぶやき編
★6月30日~7月6日
6月30日
自分の生涯を正しく数えられる者はいませんし、どんな終りが待っているのか知ることはできません。
人の生涯は、過ぎて再び帰らない風のようなものです。
命は、僅か、手の幅ほどのもの、人生も無に等しいものです。
日々は影のように、空しく消え去ります。
7月1日
千年の時も、過ぎ去る一日、夜の一時に過ぎません。
人生は夢のように過ぎ去ります。
時間は、人を、洪水のように押し流し、流れが基《もとい》までぬぐい去り、眠りに人は漂わされます。
人の日はうつろう草に等しく、朝、花のように咲いて、夕べには、しおれて、枯れてしまいます。
風が吹けば野の花のように消えてしまい、生えていた所を知る者も、いずれいなくなります。
7月2日
人は必ず苦しみます。火から火花が飛び拡がるように、人生には苦しみが伴います。
土から、災いは生まれませんし、大地から苦しみは生じません。人は苦しむように生まれてきます。
人は、労苦によって疲れ果て、人生は骨の折れる仕事によって空費されます。
苦しみが絶えず、生涯、辛さと悩みによって、人の心はやすまりません。
7月3日
恐れていたことが起こり、やすらぎを失い、憩うことができません。月日は望みもないまま、過ぎ去ります。
人間は苦役を強いられ、毎日、金のために働かされて、報いを待ち望みますが、夜ごと憂苦がもたらされます。
そんな夜が終わるのを願いながら、いつ起き上がれるのかと、何度も寝返りをうちます。
恐ろしい夢によってぞっとさせられ、幻によって苦しみを与えられます。
7月4日
人間とは何《なに》なのでしょう。望んでも答えは得られません。
非難するところのない人も、不正に手を染める者も、同じように苦しみを与えられ、等しく災難に遭い、死を迎えます。
一生は短く、身体は灰になってしまい、魂も空気のように消えてしまいます。
時が過ぎれば、忘れられてしまって、私達が行ったことなど記憶のかなたに追いやられてしまいます。
7月5日
空しくも思える一生ですが、生きている限り、生かされるために人は造られ、世界に造られたものには価値があります。
自分の手によって滅びを引き寄せないようにします。
言葉と行為によって、身を滅ぼさないようにしましょう。
生きながら、こころに死を招かないようにしましょう。
偏屈にならないようにします。
道を踏み外したときは、価値ある人生の道に戻りましょう。
7月6日
「雲のように過ぎ去る一生だから、心地よいものを求め、目の前の楽しみをむさぼろう」
「酒を浴びるほど飲んで、花がしおれないうちに、ばか騒ぎをしよう」
「歓楽に身を委ねて、貧しい人のこころを圧迫して、目上の人にも敬意を払わずにおこう」
「力と金がこの世の尺度、弱々しい者など何の役にも立たない」
そんな愚かな考え、たくましく生きることができない偽りの考えが、こころに住み着かないように努めましょう。