OUR(団)らのブログ β版

元予備校講師、現高校教諭の宮本晃吉とその関係者らが作るブログです。

【小論文解答例】私のヒーローたち

2009-11-02 16:24:29 | 小論文
問一

私にとってヒーローとは、人間が一種類の要素だけで出来上がっていないことを実感させる上に、人生とは素晴らしいものだと教えてくれる人だ。多くのいいとされる絵画が、色は豊かで、赤ですら、多くの色調を持っているのだが、そのようなものが人間だと私は考えている。私自身、他人から明るい人物だの一言で処理されるのを望まない。愚かであり、前向きであり、後悔をし、泣き虫であり、攻撃的であり、妥協を知らず、残酷で、しかも慈悲を持っている人物と見なす人を私は私の理解者だとしたいのである。そして、全ての人間に現実として暗黒面があり、完璧な人間などいないとしても、私の今後の人生のために、人間はそれでもなお素晴らしいのだと思わせてくれなくてはいけない。そうでなくてはヒーローだと見なしたくなるようなプラスの感情は持てないのである。

問二
  私にとって土方歳三はヒーローである。農民のような地位の出身にもかかわらず、新撰組の副長として、負ける幕府のために戦い続け、最後は北海道で戦死したのだが、これは「士道に背くまじきこと」を体現しているまさに武士であると思う。しかし、彼の「士道に背くまじきこと」は過激であり、味方を殺す理由としても用いられた。これは人として好ましいとは言えないし、少なくとも私は彼とともにいたくない。また、個人としての武勇はともかく指揮官としての技量は低いとみなす説もある。それでも、なお、私が彼をヒーローとするのは、彼が俳人でもあったことである。彼は「梅の花一輪咲いても梅は梅」という句を残している。それは幕府に最後まで付き合うという一貫性と重なっていると私は思う。彼にとって「葵の花一輪咲いても葵は葵」だったのだ。過ちを犯し、欠点は持ちつつも、趣味においても、武士の生き様においても、敗北や死を恐れぬ一貫性を人は持つことができる例として、土方歳三は私のヒーローなのである。 


※ 一応、問一を頭括型で、問二を尾括型にしました。演繹と帰納と言っても良いのかな。