オディールが王子を騙す有名なグランパドドゥのある3幕ですが
民族舞踊がちょっと退屈になることがあります。
オディールと王子の前座扱いという感じで。
ブルメイステルはこれをオディールとともに王子を破滅させる総力戦として描いて面白くしました。
オディールがちらちら出てきます。
タチアナ・チェルノブロフキナはとても魅力的でした。
可愛いだけに悪い女だなあって感じです。かなり怖い。
オペラ座のデュポンの演出は斬新でびっくりです。
王子とオディール以外はSF映画のようです。
ボリショイのグリゴローヴィチはソリストを各舞踊団に配置してトゥシューズのダンスで興味をもたせました。
主役級が出るので当然ダンスが面白いです。
どちらもちょっと裏ワザ的です。
これに堂々と勝負した演出家はボヤルチコフだと思います。
彼のは一度見ただけですが、大好きです。
レニングラード国立、数年前にミハイロフスキーに変わりましたが、あのバレエ団の芸術監督をつとめていました。
管弦楽が素晴らしいので有名でした。
一度だけ後ろの方の席で管弦楽をきくためにいって、民族舞踊のすばらしさにまいりました。
衣装の品のよさ、目新しくないのにあきさせない演出。
バレエは演劇だなあと再認識しました。
王子とオデットの話なので、民族舞踊はそれほど重要ではないかもしれません。
でも、そこをうまくみせてくれて、衣装のひとつひとつが(もう覚えていないけど)綺麗で上品でした。
オペラグラスで夢中になってみました。
スペインならこれ、ポーランドならこれ、と演出家の主張や美意識がみえるのです。
ロシアバレエはあまり好きになりませんが、大都市の2番手的なダンチェンコとここはロシアの野暮ったさがないです。
ここだけの話、ロシアの大バレエ団はちょっとやぼったいなあと思うんで。
ボヤルチコフのインタビュー記事を読んだことがあります。
するどい閃きとかはないけど、知的なものの見方をする人のようでした。
ロシアでは論客として知られているとか。
今は引退して、どうしているかわかりませんがボヤルチコフ版のくるみ割りの衣装とか興味があります。みてみたかったと思います。
バレエは衣装まで含めての舞台芸術だなあと思います。