ベジャールのこの作品は舞台ではなく、映像でみました。
ジョルジュ・ドンとオペラ座のニコラ・ル・リッシュのボレロです。
有名なギエムのものは動画でみました。
プリセツカヤもそうです。
自分の印象としては、男性のダンサーの方がいいです。
もとは女性への振付だったそうですが、ドンのボレロの解釈がベジャールの振付にあっていたようです。
女性の場合、一人の女性と彼女にとりつかれた男性の群れという感じでしょうが、男性の服装が結構きっちりしているせいか、あまり女性への熱狂が感じられません。
単なるバックダンサーみたいに見えます。
男性がソロを踊ると、一人のリーダーと彼に従う集団の印象になって、恋愛ではなくなります。
革命のようなイメージです。
こちらの方がはまっています。
回りのダンサーがいなければ女性のソロでもいいかもしれませんが、群舞との関わりの面で、女性より男性の方が説得力がでてきます。
ギエムが力強く手を振り上げても、その熱狂はドンやルリッシュに及びません。
ギエムはベジャールはあまりよくない気がします。
古典かバランシン。
クラシックのラインを外さないものが似合う気がします。
ドンのボレロは映像ですが、これはすごいと思いました。
彼はあまり好きではないのですが、それでもボレロはドンだなと。
そう思っていましたがル・リッシュのボレロもとてもよかったので、一人のリーダーと付き従う集団という解釈がいいのだと思います。
ボレロはベジャールの成功が際立っています。
それをくつがえしたのがフィギュアスケートのアイスダンスだったと思います。
トービル・ディーンのペアが二人で同じ動きをして最後に二人で倒れこむという斬新なもので、ベジャールに匹敵するインパクトがあって、画期的でした。
ソロと群舞に対して男女2人の同調したダンス。
最後はまるで心中するような印象で、これはベジャールの作品と違うなあと感じました。
その後、フィギュアスケートでいくつかボレロが使われたようですが、あまり面白いと思ったことがありません。
ボレロは繰り返しですが、最初と最後では印象が変わります。
同じメロディを繰り返しても、2回目、3回目とそのたびごとに熱気が違います。
そしてラストで最高潮になる。
これができていないと、ボレロとしてつまらない。
ボレロの曲自体が少しクラシックのグランパドドゥに似ている気がします。
ラストのコーダで最高潮にいたる。
もともとバレエ向きなのだと思います。