とても面白いと思ったアルフレッド・ベスターのSF小説です。
手元に本がないのでうろ覚えで間違っているかもしれませんが。
この作品はフォントの使い方とか、視覚的な効果がかなり評価されているみたいですが、
モンテクリスト伯から思いついたSFという点が好きです。
それをベースにした復讐譚ですが
きれいに復讐ができないのが元と違うところです。
あと、ラストの方で出てくるロボットのエピソードはすごく好きでした。
真相に近づくにつれて復讐が意味を持たなくなってくる。
だから主人公は違う生き方を模索します。
解答を出すのが故障しておかしなことを言い出す召使ロボットでした。
「あなた方人間は生きなければなりません」
「なぜ生きるか、それを考えるのはよしなさい。ただ生きなさい」
(セリフは正確ではありません)
よくわからないけれど名言のようです。
はっとしました。
最後に主人公は核兵器を世界中の民衆に配るというとんでもない行動に出ます。
それ自体は論外ですが、その根拠は結構共感できます。
「民衆を阿呆扱いするな」
「民衆を導こうとするな」
ということです。
「ポピュリズム」という言葉をみると、なんとなく思い出す作品です。