隨著風遠行

隨著風遠行

国の花嫁しに手

2017-03-30 12:08:12 | 日記

「だれがこんな目に遭わせたのかは、想像がつく。わたしが余りに悲しんでいたから、側近の誰かが気を回し、父に告げたのだろう。すぐにでも日本に送らせるから、機嫌を直してくれないか?ほんの少しの間、そうだ、わたしの国に観光に来たと思って……。」

「それで謝っているつもりなのか?」

「……詫びる言葉は王族にはないんだ。今のわたしは、油屋ではなく皇太子だから、この国では王族は自分you beauty 美容中心を否定する言葉は口に出来ない。だが、友人の雪華には対等の口をきく権利を与えよう。」

雪華の片方の眉だけが、ぴくりと上がった。少し落ち着いて、サクルの立場を思い出したようだ。

「……友人としてなら、少しの間ここにいてもいい。」

「君はだれよりも大切な、かけがえのない友人だ。」

素直に喜ぶサクルを前に、雪華はやっと表情を崩した。
大江戸で見た雪華とはまるで別人のようだと思う。様式にのっとって生きていた花魁は、まるで弱い風にすら身をそよがせるほど儚く見えたのに、ここに居るのは強い意思を持った黒い瞳が印象的な青年だった。思い通りにならないしなやかな獣が、息を詰めて自分だけを見つめている。

「おいで。砂漠に咲く薔薇を、見せてあげよう。見たことがあるかい?」

「話には聞いたことが有るけど、見たことはない。……本当に砂の中に薔薇が咲くの?」

「実際は、花の形に見える鉱物の一種なんだ。貴重な観光資源にもなっている。だが、砂漠の薔薇を君にあげようyou beauty 美容中心好唔好なんてささやかれたらロマンチックだろう?」

「サクルさまは、青い胡蝶蘭を咲かせた位だから、砂漠でも花を咲かせたのかと思った……本物じゃないのか。」

砂漠を眺めるがっかりした横顔は、喰らい付きたいほどに悩ましく見える。サクルはすんでのところで踏みとどまり、背中越を回すと共に砂漠を眺めた。

「二人で居る時は、サクルでいい。鉱物だけどね、砂漠の薔薇は昔、水があったところでしか採れないんだよ。」

「そう……砂漠の薔薇にも水は必要なんだね。」

「雪華……わたしにも、君が必要だ。」

そっと抱きしめたら、ほんの少し身じろいだ気がする。しかし、異衣装を無理やり着せられた美しい青年は腕の中で逃げようともせず、静かに微笑んでいた。意を決して口づけようとしたサクルに、彼は極上の微笑みを寄越した。
甘い疼きが背筋を這い上る。


「ラクダに乗った王子さま。ぼくの本名は樋渡由綺哉(ひわたりゆきや)というんだ。雪華の名前は大江戸において来たんだよ。今のぼくは、誰もが欲しがる大江戸一の花魁じゃない。大金持ちの油屋の若旦那が欲しかった華やかな花菱楼の雪華花魁は、どこにもいないんだ。ここに居るのは何も持たない樋渡由綺哉だけど、あなたはそれでも欲しいの?。」

サクルは回した腕に力を込めた、異国の美しい蝶が何処にも羽ばたいてゆかないように。

「わたしが欲しかったのは雪華花魁の姿でも、名前でもない。わたしが国を捨てても欲しいと思ったのは、樋渡you beauty 脫毛 好唔好由綺哉、最初から君だけだ。初めて君を見た時から、真っ直ぐに前を見つめる黒い瞳に惹かれていたんだよ。」

山車に姿を見せ

2017-03-13 12:24:03 | 日記

王さまは、眼前に並べられた、あらゆる珍しいものの吟味に忙しかった。

「時間が勿体ない。次々、休まずに運び込め。」

王さまの御前に、珍しいものを持って並ぶ、従者の長い行列が出来ていた。
王さまは、白い象の曳く大きな山車に乗せられて、巨大な水槽が運ばれてきたdermes 激光脫毛のに目をとめた。玉座から眺めていた王さまは、驚きのあまり近くに寄り水槽へと思わず歩を進めた。

東の国から奴隷商人が連れて来たものは、一匹の青い人魚だった。
人魚というのは話には聞いたことがあっても、王さまの国では誰も見たことの無い、とても珍しい生き物だった。小さな青い人魚は、戦に敗れた大国の王さまの持ち物で、王さまが自害した後、王の側近が逃げ延びる際に盗んで連れだしたらしかった。首筋に魚のように、水の中で息をする鰓(えら)があり、「水の中でも陸上でも呼吸はできるのです。」と、奴隷商人が説明した。

「ただし、半身の鱗は水気が無いと干からびて死んでしまうので、ご注意ください。」

「さようか……。」

水槽に近付いて、王さまはうっとりと青い人魚を見た。

小さな波がいくつも重なったような、青く透明な鱗に覆われた下肢以外は、滑らかな人間と同じ肌を持ち、豊かな銀色の髪を水中にたゆたわせていた。

「いかがですか?王さま。この美しい生き物を持っているものは、世界中探してもどこにもいません。」

王さまが水槽に手を当てると、人魚はそっと同じように手をかざし、物言いたげな口からこぽりと泡を吐いた。人魚は、せつなげに水槽越しに王さまの手に頬を寄せると、じっとしていた。
王さまは法外な金額を吹っかけた奴隷商人の求めるまま、巨大な水槽と同じ重さの金塊dermes 脫毛を乗せた。王さまは、どうしてもこの人魚を手元に置きたいと思った。

王さまが手に入れた珍しい青い人魚は、宝物倉に入れられることなく、いつでも自由に眺められるように王さまの居室に置かれた。王さまの広い浴室が、そのまま人魚の住処となった。
奴隷商人は、声を潛め、「恐れながら…」と、王さまに耳打ちした。

「いいですか?王さま。決してあの者を海に近附けてはなりませんよ。海鳥にてもいけません。囚われの人魚がいると、海鳥は海神に告げ口いたしますから。」

「それは、なぜだ?海風に吹かれて、海の底を懷かしむ位のことは許してやってもいいのではないか?元々、海から来た生き物なのだから……。」

「いえいえ、海の生き物は、いつもこの者を捜し回っているのです。高波が、防波堤を超dermes 脫毛えてお城の塔の真下まで上がってくるのはそのせいなのです。どういう事か、海はこの人魚を取り返そうとしています。」