オトン介護日記~未知の世界へ~

認知症になったオトンの介護日記。
不安と不満を延々ぶちまけます。

回顧録(6)

2019-07-31 12:36:04 | 介護日記
葬儀屋に連絡をして病院に来てもらうまでの間、
看護師さんはオトンの体についていた計測器を取り外す。


入院着から葬儀屋に運ぶため、
沐浴をして浴衣みたいなのに着替えさせくれる。

その間、我々はカーテンの外に追い出される。

「終わりました」
と言われてカーテン内に入った時、
オトンの顔には白布が被せられていた。

(・・・・・・・・・)

オトンが亡くなったことをまじまじと見せつけられた気がした。

(あぁ、オトン死んだんだ・・・)

今までもとくに会話ができていたわけでもない。
こちらの呼びかけに反応があるわけでもなく。
それでもやっぱり呼吸とかがあったわけで。

それが、この白布をみた瞬間。

本当に死人になったんだと思った。
目頭が熱くなった。


でも、早朝の4人部屋の病室。
他のベットサイドでは朝食の準備だったりで、
日常生活が繰り広げられている。
そんな中じゃ・・・。

泣けないって!
気ぃ遣うっての!!
むりむりむりむり!!

この病室自体ある意味ホスピス病室みたいなわけで、
他の人も遅かれ早かれオトンと同じ道を辿る方たちなんだけど、
そんな人達の中で
ドラマみたくベッドサイドに寄り添って
「お父さん!!」
って感じで大声出して泣きじゃくる。

なんて、ヒロイン気質持ち合わせておりません。





回顧録(5)

2019-07-22 20:04:43 | 介護日記
オトンの死亡宣告をされた。
看護師さんがこの後の流れとか説明してくれた。
葬儀屋は決まっているのか?とか聞かれた気がする。

まさか、葬儀屋に行った10日後の実際にお世話になることになるなんて
思いもしなかった。

オカンに「連絡お願い」と言われ担当者の名刺を渡された。

わしがやるんかい!?
えーーーーー!!??
マジっすか???


と思ったけど仕方がない。
病室を離れて普段患者さんたちがくつろぐスペースに移動する。
ナースセンターからも隠れるような位置に座って葬儀屋に電話をする。
心臓がバクバクした。

電話がつながる。
普段の声のトーンで話そうとすると
涙声になりそうなのが分かった。

ふいに、家族会に行った時の自己紹介で大泣きした時のことを思い出した。

ああなるわけにはいかないと思い、
落ち着いたトーンで話し出す。

自分でもビックリするくらい低い声が出た。

回顧録(4)

2019-07-15 18:03:18 | 介護日記
オトンの心拍が止まってから看護師さんが医師を呼びに行く。
先生が来てからまさにドラマで見るような一通りの検査(?)をしていく。
聴診器当てたり目の瞳孔を確認したり。

そしてこれまたドラマで見たとおりのお言葉。
「○時○分、死亡確認しました」
これで事実上オトンの死亡。

ここで疑問があった。
オトンの実際の心拍が止まった時間から先生がきて
宣言されるまで、およそ7分くらいの空白の時間がある。

このタイムラグって何なんだろう?

死亡診断書には先生が診断した時間が書かれるんだろうけど、
実際オトンがなくなったのは看護師さんが「あ、止まった」と言った時間であって…。
オトンがこの世とお別れした時間ってこっちの方が正しいのになぁ…。

そんなことを病室で思ってしまっていたのだ。






回顧録(3)

2019-07-08 16:05:34 | 介護日記
そうして病院について1時間くらい経過しただろうか。
世の中は朝の時間帯ということで、
オトン以外の入院患者さんのために日々の生活準備が進められていく。
オムツ替えだったり朝食の配膳準備だったり。

カーテン越しにそういう生活音を聞きながら、
カーテンの内側は脈拍計達の音だけが響く。

何度か数値が限界まで下がってもちかえすとかいう状態が起こった後で、
看護師さんが不意に

「あ…止まりました」

と囁いた。

なんか、いやにあっさり言われた気がしたけど。
それがオトンの最期だった。

その時私はどこを見ていたんだろうか…。

看護師さんに言われてからオトンの顔と機械を何度も見返した。
なんか決定的瞬間に置いてきぼりになってしまったような…そんな気がしたのを覚えている。

看護師さんが「先生を呼んできます」
ドラマで聞いたことのあるセリフを言って病室を出て行った。

相変わらずカーテンの外では日常の音。

そんな中オトンは旅立った。

回顧録(2)

2019-07-02 12:22:45 | 介護日記
電話をもらってすぐに家族で病院へ行った。

4人部屋の一角。
カーテンデすっかり覆われたオトンのベッド。
バイタルチェックの機械だけが規則的に音をたてている。

「今は一端落ち着かれたのですが…今日あたり…」
…みたいのことを言われたような
今となっては記憶があやふやだけど、
この時点で少し覚悟をした気がする。

もともとオトンとは会話ができない状況。
起きてるのか寝ているのかも普段でも分からない。
でも、脈拍とか血圧とか酸素濃度とかの数値が通常より下がったりなんかしたりすると、
警告音が鳴るからその度に我々はビクっとなる。

そんな心もとない時間が過ぎていく。

それでも、着々とオトンの最期は近づいてきていて…。

私がそれをハッキリ悟ったのは
オトンの顔が青白くなったのを見た時だった。

ホント…血の気がなくなるって
ヒトの顔って
こんなに青白くなるんだと思った。