ニセコのダチョウ牧場(第2有島だちょう牧場)

ダチョウの孵化から解体まで行い、命を頂く事、牧場を営む事で得た、学びや気づきを記録しています。

どうしてダチョウを飼っているのか

2023年04月13日 | 日記
「どうしてダチョウを飼っているの?」と良く聞かれます。

最近は「だちょうさんが可愛いからです」と即答したくなります(笑)

どうしてだちょうさんを飼うのかを答えようとするととても長くなってしまうのですが、今回はダチョウという動物を飼うことが持つ意義について書こうと思います。

地球が急激に温暖化していることはご存じかと思いますが、5500万年前にも5-9℃急激に上昇した時期があるそうで、PETMと呼ばれています。

地球の歴史から見たらごく短い数万年の間温暖化が続いたことにより、多くの生物の絶滅や生物の進化などが起こったものと考えられています。

だちょうさんの祖先は鳥類から分化して7900万年といわれていて、その説が正しければ、この急激な気候変動時代も生き延びて現在に至っているようです。

ダチョウという動物は人類が家畜化して改良しはじめてからの歴史が浅く、原始的な能力を色濃く残しており、気候変動に対応できる可能性が高い生物資源として捉えることができます。

例えば、水の要求量が少ない点が評価できます。

温暖化が進行すると乾燥した砂漠のような地域が増えていくと考えられ、水資源の世界的な枯渇から、畜産動物が消費する水の量が問題視されています。

最近騒がれている黄砂被害ですが、これも地球の温暖化がユーラシア大陸内陸部の乾燥、砂漠化を進めていることが原因の一つと考えられております。
アメリカでは乾燥がひどくなっており、動物に食べさせる牧草などを育てることができる土地の減少、牧草価格の上昇が起きています。こうした地球温暖化に伴う土地の砂漠化が現代の畜産を困難にする未来が想定されています。

ダチョウは他の生物がいなくなった乾季の砂漠において他の草食獣の糞などを食べて生き延び、孵化、育児をする生命力を持っており、必要とする栄養量は効率的な畜産とされているブロイラーより低いです。

そもそも人類が動物を飼育してタンパク質を取らなくても良いのではないかという考えも増えてきていますが、畜産動物は人類が利用できない資源や環境を有効に利用してたんぱく質を生成でき、その他にも有益な点が多く、畜産の形は変わったとしても続いていくと考えられます。

未来に起こりうる食糧問題解決の一つの選択肢としてダチョウの畜産を継続、研究していくことに意味があると思うので、今年もだちょうさんの命を頂いてお肉を販売させていただきます。
だちょうさんを必要以上に苦しませずに美味しいお肉にすることにこだわってきましたが、最近やっと及第点をつけられるくらいになりました。
もし機会があればぜひ召し上がってみてくださいね。


今年は10年前と比べると雪解けが驚くほど早く、今から猛暑で乾燥する夏の可能性が頭をよぎるのですが、それより過酷な環境を生き延びてきただちょうさんにとっては何の問題もなさそうです。

森林と水が豊かな日本にいると想像がしにくいのですが、夏の暑い中、日光を浴びてぴんぴんしているだちょうさんをみて、現在起きている深刻な地球温暖化が進んだ未来を想像するというのも大切なことだと感じています。

ただ最近はそういった意義も忘れて、お客さんにだちょうさんが可愛いという事について語りたくなってしまうのですからだちょうさんは本当に魅力的ですね。


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