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ニセコのダチョウ牧場(第2有島だちょう牧場)

ダチョウの孵化から解体まで行い、命を頂く事、牧場を営む事で得た、学びや気づきを記録しています。

重機を動かすときに思い出すこと

2023年03月12日 | 日記
今年も無事除雪のシーズンが終わりました。
降り続ける雪を除雪する作業をしていると、10数年前に大型や大型特殊の免許を頂いた卒校式のことを思い出します。

卒校式では校長先生から東日本大震災の事を聞かされました。

震災では多くの建物や道路が壊れ、震災がれきの撤去等に重機による作業が長時間必要であった事。

現場に多くの重機は有ったけれども、昼夜動かすにはオペレーターが足りなかった事。

校長先生の涙がにじむ目と少しうわずった熱のこもった声から無念さを感じ、若い君たちに期待しているという言葉に宿る校長先生の使命感に心動かされました。

あのお話が無ければ、重機を扱う事は技術を磨く貴重な機会と思えず、ただの作業になっていたようにと思います。

ぬかるんでいたり、挟所であったりする難しい環境も克服できれば、いつか災害現場でお役に立てるかもしれない。
そんなふうに思えています。

おかげさまで大きな事故無く、除雪シーズンを終えられるのも、あのありがたい授業を受けられたからなのでしょう。

これから大きな震災が起こらず、技術はお役に立たないままで、目がよく見えなくなるくらい年老いる平和な未来を願っているのですが、校長先生の想いはどこかの誰かに伝えたいと思い、書きました。



今日は食品ロス削減の日

2022年10月30日 | 日記
今日は食品ロス削減の日。
牧場ではだちょうさんに出来るだけのびのび過ごしてもらいながら、その恵みとして卵を頂きます。



濃厚飼料をたくさん与えて、照明を操作したり、飼料を制限したりして産ませるのではなく、草の栄養価が高く、日が長くなる時期に産んでもらいます。

だちょうさんに負荷をかけず、仲間として長く生きてもらいたいと考えています。

夏は完全に放牧し、自然に好きな相手と交配して産まれる卵はほぼ有精卵です。



密になるほど多くは飼わず、環境からのストレスを減らし、本来持つ高い免疫力を保ち、抗生物質や薬剤を生涯使わないで育てます。

実は私が牧場を手伝い始めた頃、卵を捨てる仕事がありました。

卵を販売したり、孵化したりするには余ってしまっていたからです。

使い方さえ間違わなければ美味しく食べられる卵であり、無駄にしない事を考えて、プリン作りやお菓子作りを始めました。

現在も試行錯誤しておりますが、おかげさまでどら焼きやプリン等のお菓子の評判は良く、売り切る事が出来るようになりました。



今年は卵が足りないくらいになり、どら焼きやプリンも売り切れてしまうので、買いたかった方には申し訳ありません。
ですが、安易にだちょうさんを増やしたり、商品の品質を下げたりといった無理をせず、自然にも動物たちにも負荷をかけない飼い方を模索し続けていきたいと考えております。

これは食品ロスを出したくないという想いも関係しています。

日本は食料や飼料を海外から輸送コストを払って、たくさん輸入しているにも関わらず、世界3位の食品廃棄を出してしまっているそうです。
事業者が半分、消費者が半分ほどの割合のようです。

日本には商習慣や構造に問題が有るように感じます。

私が携わり始めてから現在まで、牧場のお店の営業やお菓子作りをしながら99.9%以上商品を売切り、原材料も無駄にならないよう管理し、もったいないことはしないようにしています。

商品をたくさん作り、稼ぐのではなく、価値ある商品を大切に食べて頂き、美味しいと感じていただけるよう努力したいと思いますし、だちょうさんの命を頂いてきた者として、食品が無駄になってしまう事が減って欲しいと心から願っています。



これからも責任を持って、コツコツ続けていきたいと思っていますので、応援宜しくお願い致します。

メディアと精神科病院にいる患者さん

2022年09月18日 | 日記
最近は色々なメディアさんにとりあげて頂く機会が増えました。

バラエティー番組や新聞等が様々な側面から取材してくださり、多くの方が牧場に関心を持っていただけてありがたいですね。

今日はイッテQという番組にとりあげて頂いたのですが、多くの人が観られている番組だそうです。

こういう機会を頂いた際は精神科病院で関わっていた患者さんが観てくれたら良いなと思います。

私が勤めていた頃は保護室と呼ばれる部屋以外に個室はなく、個人のTVもない環境でしたから、食堂兼談話室のような広間で、看護師さんがチャンネルを決めていました。

社会的入院と呼ばれる状況の方が多く、退院はもちろん、外出もほぼ出来ない方ばかり。家族とも疎遠な方々はこのコロナ禍で一層外の世界から離れてしまっているでしょう。

私は守秘義務やプライバシーの観点から外で会っても話しかけられません。
もちろんお見舞いもできません。

そんな私にとっては、患者さんに少しでも窓の外の世界は楽しい所だよとか、私は外の世界で元気だよと伝えられるかもしれない機会を頂けて、何よりありがたいですね。

雛が孵る時期は死んでしまう子もいます。

2022年08月01日 | 日記
続々と雛が孵る時期は殻を破れず孵らない子や立てないまま衰弱していく子たちがいます。
罪もない雛たちが、私に何かを問うような目つきで鳴き、もがきながら死んでいくさまを私は直視しなくてはいけません。
数え切れないほどの彼らの死を見てきて、彼らに限らず、多くの命をいただきながら生かされている意味を問われる時期です。


今日は有島農場無償解放から100年です

2022年07月18日 | 日記
7/18日は有島農場無償解放百周年にあたる日

無償解放当時、有島武郎さんは多くの想いを農民に託しました。

その後、ニセコ町では数々の新しい産業や試みが行われ、多くの挫折を経て、それでもなお、新たな試みが絶えず生まれ、助け合いながら、育まれ続けるニセコでは有島武郎が遺した「相互扶助」という言葉が大切にされてきました。

これからも世界は変わっていくでしょうが、変わらずに大切にし続けていきたい価値ある言葉ですね。

彼はまた自然は人類全体の共有する財産であり、自分の財産だからと無碍に扱う事がないようにと農民に戒めました。

私もこの想いを大切に心に留めて、これからも淡々と勤めなくてはならないですね。


写真は解放当時の農民が手彫りした手水鉢に花を飾らせて頂いたものです。

当時の苦労された方々に想いを寄せられるように今年は飾らせて頂こうと思いますので、是非いらっしゃった際はご覧くださいね。