Aiでblog

Aiの文章生成でブログを書いてみた。
それ以外もあるよ。

短編小説 〜送り船〜 ④

2024-03-14 14:50:00 | 短編小説

 もともと痩せた人ではあったのだが、餓死するほど痩せこけていると言うこともあるし、化粧もしていなければ、死んだ事による筋肉の弛緩などで絶対にそうだとは言えなかった。

 目は全てを諦めたような半開き、唇はカサカサ。

 指先はドス黒く変色していた。


 「お姉さんですか?」


 と刑事さんに聞かれた。


 「正直、絶対にそうだと言えません」


 というわけで、警察は他の方法で本人確認をすることになったのだが、それも不調に終わり、最後の手段のDNA鑑定となり、母親から唾液を採取する事になる。

 結果が出るのは早くてひと月、手間取れば二ヶ月ほどかかると言われた。


 せっかく取った三日間の休みは何もできないままで終わり、身元確認ができるまで待ちぼうけと言う事になった。

 僕は仕事に戻り、山田さんにも事の経緯を報告した。


 「正直めんどくさいです。何もかもがめんどくさいです」

 「びっくりだね。お祓い行って来なさいよ。墓参りも行きなさい。こう言うのは墓参りが大事よ」


 山田さんが妙にオカルトな事を言い出すなと思ったが、よく考えればママ友に健康に良いからと三十万の浄水器を薦められていたのを、水は結局の所で水でしかないですよとかなり言って止めた事があったのを思い出したので、適当に話を合わせてスルーした。

 

 結局のところで今回の遺体は姉で間違い無いとは思っているのだけれど、どこか心の中ではこのままあやふやな状態が続き、のらりくらりと数年くらい経たないかと思ったのだが、現実はそうはいかず、一月経ったところで警察からの連絡が来た。


 「DNA検査で親子の証明が取れました。いつ遺体を引き取りに来られますか?」

 「死体検案書はどこでもらえるのですか?それを市役所に持っていき、火葬許可証を取らなければいけませんし」

 「こちらはいつでも構いませんよ。死体検案書はこちらで渡せます」


 死体検案書を貰い、役所に行き火葬許可証をもらうなどの手続きで一日潰れるのを考慮して、遺体の引き取りは翌々日にすることにした。

 すでに有給は使い切っているので単純に仕事を休まなければならない。

 手取り十七万から引かれていくのは辛い。

 

 翌日に朝から警察署に行き、死体検案書を受け取る。

 死体検案書の作成に一万ほどかかったが、予想よりもだいぶ安く済んだと言えるだろう。

 そのまま区役所に行き火葬許可証を受け取る。

 姉の住んでいたアパートの管理会社に連絡を取り、アパート荷物の引き取りなどの話をした。

 姉の借りていたアパートの物件は生活保護を受けている人向けの物件だったので、保険に入っており、基本的にはこちらに何の負担もかからない事がわかった。

 アパートの現状復帰や賠償が最大の懸案事項だったので、それが解決した事で少し心の余裕が出る。




最新の画像もっと見る

コメントを投稿