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押山祐二建築デザイン事務所
横浜で設計事務所を営む56歳
日々の生活、趣味の話、たまに仕事のことも・・・





たまには建築の話もしましょう。

わたしは、横浜市磯子区の「汐見台」という
団地の中で生まれ育ちました。

高度経済成長期の真っ只中、
磯子湾工業地帯に進出してくる
たくさんの企業戦士たちの住まいとして
また東京通勤圏、いわゆるベッドタウンが
近県に拡大していく流れで開発され、
昭和39年に第一期が竣工しました。

今も近くに住んでいるので何かと利用し、
毎日のように通る場所でもあります。
この団地のプラン(配置計画や間取り)については
また後日、お話しします。

団地の中央に商店街と福祉施設があります。
写真の「汐見台会館」には、
冠婚葬祭に対応できる多目的ホール、
会議や教室に利用できる小さめの部屋のほか、
団地保全協会の事務所や
独身寮、レストランなどが入っています。
※この中華レストランが穴場でして、
 前にも話しましたが、
 横浜は、こういう住宅街の中にある中華店が
 結構うまい。

この建物は、僕が生まれたときから存在し、
ごく自然に生活の一部として親しんできました。
大学の卒業研究でこの団地を取り上げた際に、
この「汐見台会館」が
巨匠・菊竹清訓氏の設計であることを知りました。
言われてみれば、氏らしいデザインです。
しかし、あまりに自分の生活に密着しすぎていて
この建物がモダニズム建築であるのかどうか、とか
有名な建築家の作品かもしれないなどと
考えもしなかったのです。

さて、少し前、
この「汐見台会館」も築40年、
相次ぐ地震被害のニュースも騒がれており、
そろそろ改築・改修などの必要があるでしょう、
という話になりました。
最近は、葬式こそあれ、
結婚式などは皆無、
派手な収益があるとは思えず、
あまりお金はかけられないが、
無くしてしまうわけにもいかず、
巨匠のデザインを残しつつ、
ローコストで補修するために、
さまざまな案が喧々囂々されたようです。

最終的に「SPAC工法」=
槇谷栄次という関東学院大学の教授と
民間が協力して開発した工法が
採用されました。

コンクリート打ち放しの外観でなくなってしまったのは残念ですが
工法上、しかたがないようです。
そのかわり色は鮮やかになりました。


今、思うに、
自分の結婚式、ここでもよかったかなぁ・・・
建築家とは呼べないけど、
設計の仕事をする人間として
巨匠建築家の建物の中で、
しかも、生まれ育った環境の中で
そういう施設があるのなら、
利用しない手はないですよねぇ、
しかも安そうだし!


コメント ( 2 ) | Trackback ( 0 )



« ちょっと言い... 朝帰り »
 
コメント
 
 
 
ほんまやねえ。 (まっちゃん)
2006-02-14 09:57:00
 確かに「らしい」ですなあ。確かに日常にひょっこり「そういうのん」があると溶け込んでてそれとは知らずに自分の中に入ってて、なんだか「すごいなあ」と、かえって思ってしまいマス。巨匠っぽくなくそこにあるのって、エエですなあ。

 それにしても、随分雰囲気変わりますなあ。随分悩まはったんやろなあ、やったヒト。撥水材だけとか、やっぱアカンかったんやろなあ。あ、hp見たら、ムリっぽいねえ。アホまる出しでスンマセンデス。

 
 
 
ふむふむ (osshie)
2006-02-14 12:56:47
子供のころは、これが

「すごい構造だ」なんて

思わないですからねぇ。



ほかにも、関内に

「へ、これが?」と思うような

磯崎新氏の駄作がありましてね、

巨匠の作品は

意外に近くにあるかもしれませんよ!

 
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