梅の花が咲く頃、
妻の誕生日がやってくる。
朝起きると、とりあえずの、
「誕生日、おめでとう」。
定年まで支えてくれたこと、
心から感謝しているけれど、
素直に言葉が出てこない。
いつものように、
メールを送った。
誕生日を迎える君へ
長い間、君は僕の後ろを歩んできた。
いつも、愚痴をこぼしながら、
時には憤りを怒りの声に変えながら、
大切なことを諦めたこともあっただろう。
それでも、時折聞こえる転がるような笑い声。
前を歩く僕は、後ろに君がいるだけで、
それだけで幸せを感じてきた。
だから、
君も、
後ろを歩いていること、
それだけで喜んで欲しい。
後ろを歩いている時間を、
大切にして欲しい。
一緒に歩いている幸せを
楽しんで欲しい。
誕生日、おめでとう。
この日、妻は少し優しい。