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おしゃべりな猫

英語・音楽・演劇・絵画etc
大好きなものが、たくさんありすぎて・・・
そんなミーハー猫のdiaryです。

An Unspeakable Crime~The Prosecution and Persecution of Leo Frank

2017年01月26日 | 本と雑誌

週末にニュース番組でチラッと見たアメリカ大統領の就任式。

8年前。オバマ大統領誕生の時のあのワクワクとした気持ち。
人種や宗教の違いを乗り越えて手と手を取り合おうと語りかけたカリスマ大統領の姿に感動。
ニュース番組だけでなく、スカパーのCNNやBBCでもその姿を追いかけていました。

それに引き換え今回は・・・(あわわ)

21世紀になって17年。
まさか人種差別や女性蔑視の発言を繰り返していた人物がその中心にいることになるとは・・・
唖然・愕然・呆然。
ガッカリとした気持ちでニュースを見てました。

そんなタイミングでこの本を読み終えました。

時は1913年。
今から100年余り前の実話です。

激しい人種差別がまだあったアメリカ南部のアトランタ。
そこで白人の少女が殺されました。
逮捕されたのはユダヤ人のレオ・フランク。
しかし、この逮捕、十分な捜査がなされずと言うか・・・
南北戦争以来、南部と北部の貧富の差が広がりつつあった20世紀初め。
ニューヨーク出身で高学歴で工場の管理職にあったユダヤ人男性の白人層からの僻みや妬み・差別が生んだ冤罪でした。

ネットのない1913年。
しかし、メディアの報道で人々がヒステリックになり、世論を作っていく様は、どこか現代に通じるものがありました。

また、工業化の波に乗り遅れ貧困に苦しむ南部の白人達が、自分たちの窮状の原因を自分たちの努力不足ではなく工場を経営するユダヤ人達だとする考え方も、移民が職を奪うと言い放つ現代に似ているように感じました。

怖ろしいことに、数々の疑問を残したまま、世論に流され陪審員達はレオを有罪とします。
そして、その流れに裁判官さえもレオの有罪に疑問を持ちつつ贖えなかったのです。

全米のユダヤ人社会からの運動や他州からの現地の報道への疑問に動かされ、知事が再捜査を試みるものの、今度はこの知事が窮地に追い込まれるのです。

そして、再捜査を待たずに、レオは暴徒化した白人達の私刑により命を奪われます。

彼の無実が証明されるのは事件から70年以上も経った時の事。
当時まだ少年だった男性の告白からです。

読みながら感じた怒り・絶望感。
そして、怖いほどの現代との共通点。

同じ過ちが繰り返されないことを祈らずにはいられませんでした。


大統領の演説~パトリック・ハーラン(著)~

2017年01月11日 | 本と雑誌

アメリカの大統領選挙が終わった翌日。
情報番組で的確な解説をするパックンの姿に、もっとこの人の話を聞いてみたいと思いました。
それで買ったのがこの本。

帯に書かれていた「大統領のスピーチは教養の宝庫」。
本の中にたびたび出てくるこの言葉「コモンプレイス」。

宗教問題。人種問題。アメリカの歴史。
大統領の演説には、アメリカ人なら誰もが共通理解しているコトがそこかしこに織り込まれています。
その一つ一つをパックンが丁寧に解説してくれます。
さらっと英文の表面だけを読んだのではわからないアメリカ人の本音が、その解説ですっと頭に入ってきます。

驚かされるのは、人々のコモンプレイスに深く入り込んだキリスト教。
当たり前のように聖書の言葉が大統領の演説に出てきます。
紹介されている演説の原稿で、他の宗教からの言葉は出てきていませんでした。
多民族国家・人種のるつぼと言われている国なのに、これは少し意外に感じました。

また、オバマ大統領の演説が複数紹介されていましたが、人種問題の奥深さには哀しみを覚えました。
そして、広島での演説。
詩的な美しい文章がとても印象的だと思っていたのですが、その裏にある複雑な事情。
主語をぼかすことで、日本の被爆者とアメリカの国民感情に配慮したのではないかとの推察。
原文を読み返すと確かに・・・

そのオバマ大統領の大統領としての最後の演説が今日行われました。
この本に書かれたことを思い出しながらニュースを見ていると「なるほど」と思えることがたくさんありました。

できれば・・・パックンに今日の演説を解説して欲しいなぁと思うのですが、明日の情報番組で実現しないかな???


The Upside of Stress~読み終わりましたぁ~

2016年11月29日 | 本と雑誌

Whatever doesn't kill you makes you stronger.

深い言葉です。
私もそんな風に思える人間でありたいものです。(しみじみ)

英語を読んだり聞いたりしていて思うこと。
ネイティブの英語圏の人って、向上心とか意義をいつでも何にでも求めるよね

で、Chapter6のタイトルが「Grow」。
で出て来た言葉が↑です。

2冊しか読んでないのにこんな決めつけ方をして良いのかどうか・・・
でも思いました。ポジティブなこの著者らしい言葉だなと。
彼女の考え方は好きだし、憧れるけども、読むタイミングを間違えると心に響いて来ないかも。

この本を買った頃。
ストレスMAXのあの時に読んでいたら、きっと私は苦し過ぎて読み終えることができなかったと思います。
今だから素直に心に入って来るなと・・・

同時に、読みながらアメリカの大統領選で感じた疑問が解けるような思いもしました。

私や私の周囲でストレスと言うと、仕事・人間関係をイメージするけども、この本の中に出て来るストレスの多様性に驚きました。

日常の私達が感じるようなストレスとともに戦争やテロから受けるストレスが普通に並べて書かれています。

9.11やボストンで大切な人を亡くしたり、自身がその場に居合わせたり・・・
PTSDが決して珍しい症状ではない社会。
平穏な世界にいると暴言としか思えない発言が、受け入れられてしまう状況と言うのもあるのかなと

ちょっと読んでいてキツイなと思うこともありましたが、今、このタイミングで読めたのは私にとって良い出会いだったなと思います。


The Upside of Stress⑤

2016年11月22日 | 本と雑誌

Chapter5のタイトルは’connect’

Caring created resilience.

人は誰かを助けることで強くなれる。
困った時こそ誰かのために何かをする。
辛いのは自分だけではないと知ることが大切etc

つまり、ストレスに打ち勝つには、誰かと繋がっていると実感することが大切と言うこと

ふとアメリカのドラマによく出て来る依存症の会を思い出しました。
同じ病を抱える人達が集い、弱さをさらけだしながら、支え合い乗り越えて行く。

たまにはストレスから逃げることを考えても良いと思うんですけどね・・・
なんて、ちょっと今日は弱気に考えてしまいます。

読み終わったのが病院の待合室ってのが良くなかったか・・・

最終章までもうちょっと。
年内に読み終われるかなぁ
ラストスパート頑張ろう。


美術品でたどるマリー・アントワネットの生涯~中野京子(著)~

2016年11月19日 | 本と雑誌

ボランティアガイドをしていると、世界史の知識の無さに恥ずかしくなることが時々あります。

加賀藩の歴史を説明している時、お客様に「私の国では、その頃・・・があって」と言われてもチンプンカンプン。
高校時代にもっと勉強しておけば良かった
いかん・・・このままじゃいかん・・・と、意識して展覧会に行ったり本を読んだりしています。

マリー・アントワネット。
ベルばら世代ど真ん中なので、この名前を聞くと、NHKで放送されていた華やかな宝塚の舞台を思い出します。
が、実のところ、どこからどこまでが史実なのかフィクションなのか

加えて、その後NYで観たレ・ミゼラブルとごっちゃになって、フランス革命って
フランス革命に関連したミュージカルを観るこの機会に、ちょっくら勉強しなおそうかとこの本を読みました。

現在六本木の森アーツセンター・ギャラリーで開催中のマリー・アントワネット展で展示されている作品の紹介をからめながら、彼女の人生が語られて行きます。

歴史に「たら」・「れば」は言ってもしょうがないのですが・・・

政略結婚で娘達を次々とブルボン家へ嫁がせていたハプスブルグ家。
本来であれば大国フランスへは娘達の中で一番賢かったすぐ上の姉が嫁ぐはずでした。
が、姉の1人が病没。すぐ上の姉はその代わりに小さな公国へ嫁ぎ、遊び好きでフランス語も勉強も苦手なマリー・アントワネットがフランスへ。
運命とはなんと残酷なものでしょうか・・・

その後も、彼女の人生は折々に悪い方へ悪い方へと。
頼るべき祖国では、フランス革命を前に母・兄が次々と亡くなり、会ったこともない甥は彼女を助けてはくれませんでした。

そんな彼女の人生を描いた数々の絵。
華やかだった時代をうかがわせる美しい品々。

哀しい結末を知っているが故に、それらの写真に心が痛みます。
と同時に、歴史とはどちらの側から見るかによって印象が異なるのだなと改めて痛感しました。

特にルイ16世とマリー・アントワネットの処刑後の王太子の運命。
レ・ミゼラブルで正義と描かれた革命派の人々が、まだ幼い王太子を捕え、狭い監獄に動物のように繋ぎ、虐待のうえ死に至らしめたこと。
10歳にも満たない子が、最後は狂人となっていたことに怒りを禁じ得ませんでした。

展覧会は2月下旬まで。
上京予定が2回あるので、観に行ければと思っています。