『降りろ』
『ぐわっ!?』
そんな風に乱暴に乗り物から降ろされた彼は投げるようにされて地面をいくらか転がった。そしてそんな彼には目もくれず一緒に乗ってた黒づくめの連中も降りる。
『さっさと立て』
そういわれて腕を強引につかまれて引っ張れる。すると腕が変な方向に持ち上げられたせいか、なんか肩のあたりでボキッときこえた。「あがああああ!?」とかなんか叫んでるが、黒い奴らはそれを気にしてはない。痛がる彼を無理矢理引きずっていく。
何回か自動ドアをくぐり、そして長い長いエレベーターに乗った。それは真上にいったと思ったら、横に進み、そしてある大きな船へと入っていった。丸い……ドーナツみたいな船だった。
(これって……)
この船には私、見覚えがある。そうメタファーの奴に連れらた場所にあった巨大な船。
入り口が開き、エレベーターから出ると、そこには何人かの人がいた。それは黒づくめ人達とは違った。どっちかというと、彼と同じだと思える。そう、研究者だ。
『すまない、手間を掛けさせて』
そんな風に黒づくめの一人が言う。彼にはかなり乱暴なのに、同じような格好してるその研究者とはかなり態度が違う。まるで昔の彼に向ける態度のよう。
昔……それこそ彼がハゲになる前までは周囲は彼の無茶な言葉にも嫌な顔をしても、尊重してた。でも今はあれである。
『この人が?』
『ああ……』
何やら視線が彼――に集中してる。それが何か彼自身も分かってない。すると彼らは歩き出す。そしてもちろん彼は引っ張られる。そうやって連れてこられたのは沢山のカプセル? がある部屋だった。そしてその中央にはとても大きな円形状の何かがある……なにかというのは、よくわからないからだ。
円形状に組まれた何かの装置。けど稼働はしてない。そういう感じ。
『これはまさか!?』
そんな事を言って彼は走り出した。そしてその稼働してない装置の手前……ガラスかなにか、透明な壁で隔たれてる所にぶつかってひっくり返った。
『あぎゃ!?』
そんな風にひっくり返って痛がってる。そんな彼をなんか可哀そうな人を見る目をしてる。哀れみである。でもそんなのはもう彼は気にしてない。
『あ、あれはまさか……アレはまさか死数次元確定装置か!?』
そんな風に彼は叫んだ。
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