(吹っ飛ぶでも駄目だし、風をまとっても結局は鳥とか虫とかのようには飛べないし、いったいどうすれば……)
実際この短い時間でその解決方法が出てくるのなら、これまでできっと解決してると思う。でもそれは結局は想像と実践でどうにかこうにかしようとしてたわけで、なので行き詰って結局のところただ浮いてる状態で上下左右に移動できる――ってことで妥協してた。
いつもと違うのは参考に出来る存在がいるという事。
(こうなったらもう羽を生やしたりした方が早いのでは?)
ってちょっと野々野足軽は思った。なにせ別にできないわけじゃないと思うんだ。力をもっと具現化させれば羽位なら作れそうではある。でも実際風の子には羽とかないから、これだと風の子を参考にしてる……といえるかはわかんない。
それに実際何かを具現化するってことはまだしてない野々野足軽だ。なにせ別にそんなのが必要なことはなかった。炎を出すとか水をだすとか? そんなことが初歩的な事……みたいな印象があるが、でも現代でそんなのを出す場面がない。夜だって明るいし、水だって蛇口を回せばいくらだって出てくる。
それに実際そういう事は野々野足軽の中では分類として『魔法』だった。でも野々野足軽は自身の力を『超能力』の方だと認識してた。なのでやってなかった……というよりも、超能力的な使い方ばっかりしてたって感じである。
やっぱりそれは最初が浮いたからだろう。何かを浮かせるってことが野々野足軽的には超能力側の力だったのだ。もしも一番最初が手から炎とかでた――とかだと、きっともっと魔法的な使い方を追求したと思う。大きな炎にしたり、別の水やら風やら電気やら出せるかとか……そんなのをやっただろう。
でもそっちにはまだ野々野足軽はいってない。記憶を読んだりするのも野々野足軽的には超能力である。
(まてよ)
野々野足軽はハッとした。そして眼下に見える町を見下ろして何かを引っ張り上げた。それは小石だ。そして力をまとわせて空中を移動させる。最初はそれこそいつものようにやってた。まっすぐに打ち出すみたいな? そしてスピードと精度を今までは磨いてた。だって小さいから、そこそこ操れるのだ。だからそこまで困ってなかったし……と思うのが野々野足軽だ。けど今はそこに風の子の力の感じを乗せていく。
そしてドンドンとスピードを上げていく――すると――突如としてなんか小石が砕け散ってなんか暴風がふきあれた。
「今の……」
びっくりした野々野足軽だけど、今のに何かを感じた野々野足軽。だからたくさんの小石を同じようにして、砕け散る小石とともに吹き荒れる暴風、それをただ拡散させるんじゃなく力でつかんで野々野足軽は自分自身に集める。
すると野々野足軽に全能感って奴が襲ってきた。
追記――明日は正月特別編を上げます。
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