どうやら彼と彼女? はそこそこいい関係のようだ。恋人……という感じじゃないけど、なんかお互いに「認めてる」――という感じ。
『おいみてみろ! ようやく遺物エネルギーの回収に成功したぞ! はははは! これは無限エネルギーの理論に叶ったことだ』
『凄いですね。けどこちらもアルストアルメストの加工と生産の目途が立ちました。この素材があれば外部からの確定干渉にあらがう事が出来ます。より安全な時空間航行の実現に寄与するでしょう』
『はっ! やるな。ならばこちらは今度は――』
『私は別に競ってるつもりはありませんが、ならこちらは――』
そんな風になんか顔を突き合わせるたびに自慢大会をしてた。いや大体は私……というかこの記憶を送り込んできた『彼』が突っかかってそれに対応するように眼鏡の知的美人も言い合ってる感じだ。
そんなの相手にしないでもいいのに……とか思うが、もしかしたらこの知的美人も自分の話についてこれるこの人との会話は楽しいのかもしれない。まあ最終的にはいつも、なんかあきれて帰ってるけどね。
なにせ大体この『彼』、自分の自慢しかない。きっと承認欲求がとても強い人だったのだろう。それで話を聞いてると面倒になってくるというね。面倒な奴ムーブをやってる。
きっとこの人は「俺は凄い!」という事をアピールしたらこの知的美人の興味を惹けると思ってるんだろう。実際その研究結果にはとても彼女は興味をもってる。
きっと研究者として尊敬もしてるだろう。でも、この人を男としてみてるか? というと、多分人間として嫌いだと思う。そんな感じがする。だっていつも突っかかっていくのは彼から出しね。彼女からくることはない。
むしろ普段は避けてる感じさえする。まあ私には『彼』の視点しかわからないから、なんとも言えないが、実際『彼』は何度も彼女と会えてない時があるようだ。
でも記録に残ってるのはどうやら彼女と出会えた時だけ……それはつまり『彼』は彼女との時間をとても特別だと感じたんだろう。だからこうやって……『記録』してる。
(でもこんなの残しても、ただ恥ずかしいだけでは?)
――と私はちょっと思った。自分で振り返るのはいいけどさ、けどこうやって他人にその思い出を見られるのは羞恥ではないだろうか? 美しい思い出を鮮明に見れるのはある意味でいいのかもしれないけど……そんなことを思ってると新たな場面が浮かんでくる。
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