葉書を手

半世紀も前に青春を共に過ごした友の誰かが、もう皆年をとって暇になったのだ

秋色の真ん中で

2015-12-11 12:37:22 | 日記

青一色雲一つなくてほのかに木犀の香りが漂ってきます。秋だなあ。

 朝の仕事が終わって一息ついた十時半頃娘からメールが来ました。

毎日何らかの連絡はあるけれど大抵夜のこと。開けてびっくり、急な出張で岡山へ

行くのだけど今夜帰るよ....。折角だから土日、月曜も休暇とったから少しのんびり

出来ると言う。

 私頭の整理に少しかかったけれどひらめいた。それなら丁度真ん中あたりの街に

夫の関わった宿泊施設がある。そこの温泉で落ち合ってのんびりしょう。

 それから私はフル活動、明日の団地のレク参加の取り消し、ちょっとした旅支度。

時刻表をみて、バスと電車を決める。邊間補數學好そして昼食もとらなくては。ああ忙しい。

 メールが来てから三時間後、一時二十六分には上りの予讃線に乗っていました。

 窓から見える真っ青の空、沖縄の海かと見まがうぼどの瀬戸内海の美しい水色。

小さな島影も秋色に溶け込んで、私にとっては懐かしい懐かしい路線なのです。

 この沿線に夫の実家があり、新婚の私たちが住んだ街があり、そして離れ住んで

いた結婚前の私たちが、切ない別れを繰り返した駅があるのです。

 窓の外を見やりつつ、大昔に思いを馳せる私は、とても幸せでした。

 そして娘と二カ月ぶりの再会です。

 街は丁度秋祭りで絢爛豪華な太鼓台を初めて見た彼女は感激しきりでした。

 娘はここに来るのは初めてで、私はこの時とばかりに色々話して聞かせました。

 ここは夫にとって思い出の職場で、若い時初めて単身赴任した場所です。ここに

四年間いました。そして最後の任地がまたここだったのです。

 初めて二人で来た時は建物も古くて職員住宅も粗末なものでした。こんな所に

一人残して帰るのが嫌だと思ったことも思いだしました。

 あの頃演歌の「さざんかの宿」がヒット中で、ここに山茶花の散歩道を作ってお客を

呼ぼうと職員の方たちが張り切っていました。