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le drapeau~想いのままに・・・

今日の出来事を交えつつ
大好きな“ベルサイユのばら”への
想いを綴っていきます。
感想あり、二次創作あり…

寒かったり、暑かったり……。

2025年04月19日 23時47分49秒 | 日記

こんばんは。
相変わらずご機嫌が芳しくないパソコンを宥めながら、頭の中は《Never surrender》エンドレス状態のおれんぢぺこでございます。
皆様。映画、何回行きましたか? 私は、3回しか行けませんでした。
近くの映画館での最終日(ちょうど、ひと月前)に、昼から仕事サボって観に行こうと思っていたのですが、“好事魔多し”とでも言いましょうか、絶対に抜けられない事態が発生してしまい……気づいた時には上映開始時刻、過ぎていました。
その後、応援上映も何度かあったようですが、私は、(変な表現ですが)他人様の感情で観るのが苦手ですので、断念しました。
でも、早くも『Netflix』での配信が決まりましたね。嬉しい限りです。

この『劇場アニメ ベルサイユのばら』について、中毒性があるなどと評した方がいらっしゃいましたが、本当にその通りだと思います。
封切りされる前は、声優陣、めっちゃ良いじゃん♡……とか、えっ?MAPPAが『ベルばら』,、、絵、綺麗だろうなぁ……とかは思いつつ、それほど期待していなかったのですが、観れば観るほどハマると言うか……沼る……とは、こういう状況のことなんだろうな、と思っています。

私は車通勤なので、サントラ盤もスマホにインストールして、ずーーっと聴いてます。
詩を書いた方、深いベルばら愛をお持ちなのか、よっぽど深く原作を読み込んでくださったのか、歌詞のひとつひとつが、ものすごく心情を現してて、それが澤野さんの音と合わさると、まさに鳥肌物です。

届かぬ苛立ち 
浅ましいほどモガき続けて

《Ravine》一番好きな楽曲かもしれません。
チップ、ほんっとうに、本当に!! オトナになったねぇ~~~。
『アンドレ:豊永利行』というキャスティングを最初に見た時、声の質は絶対合うと思ったけど、ここまで感情を揺さぶられる声優さんに成長してくれていたとは……! 
劇団四季初演の『美女と野獣』のチップを演っていた、あの坊やが……と。これも鳥肌物でした。
ゴールデンウィークは、どこにも行かず、もしかしたら家から出ることさえなく、ひたすらタブレット握りしめてる私の“未来”が浮かんでます。

ところで。拙ブログの運営から『アプリ終了のお知らせ』が表示されました。このページの上部にも出ているようです。11月予定とのことで、普通にやって行ったら他サイトに移行する手続きも十分に間に合うはずなのですが、何せパソコン音痴な上に、ご機嫌ナナメの我がPC。
サービスが終わってしまうまでには、ちゃんと移行したいと思いますが、私が何かやらかして、ある日突然、ページが閲覧できなくなってしまう……などという事態が起こるかもしれませんこと、ご承知おきくださいませ

この先も、数日おきに気候が変わるようです。一昨日はヒートテックを着ていたのに、今日は既に半袖Tシャツです。どうぞ皆様、体調には十分にお気をつけください。
またお時間のある時にお立ち寄りくださいませ。

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アランだったのか(爆)

2025年03月01日 22時58分09秒 | 日記

こんばんは。
今日は、同じ時刻に全国いろんな場所で、この体験を共有した仲間が、たっっくさんなのではないかと思っているおれんぢぺこでございます。

《もう、そろそろ。。。観に行きたいと思った方は、1回は行ってらっしゃるのでは思い、ちょっと内容にも触れておりますので、知りたくないという方は、
以下へのスクロールはお止めくださいませ》
 
上映開始からひと月。まさか、こんなにハマるとは、ちょっと想定外……というのが、正直な感想です。
実は、元々舞台鑑賞って好きなのですが。今回の“劇場アニメ『ベルサイユのばら』”でフェルゼン伯の加藤和樹さん。けっこう推し♡(⋈◍>◡<◍)✧♡なのです。
よって! 本日は、行くっきゃない!!……の状態でした。

さて。上にも書きましたが、開始からひと月。
今日、確信に変わったこと! オスカルさま、そのセリフとともに 🍂はっぱ🍂 弄んでたら「ひとりの男性」ってアランだったのか……ってニヤけてしまうから、
どぉーぞお止めくださいませ!!

上映開始前。ロザちゃんがあまりにも取り上げられなかったから……。
語りが黒木瞳さんってことは、実は黒木瞳さんがロザリー役で、ストーリー自体がロザちゃんの回想っぽい展開なのかな、なんて勝手に想像していました。
原作のエピソード編もロザちゃんのお話しで、完結でしたし……。

……人それぞれ、思うところはあって当然なのですが……。
今回の映画で描いてほしかったなぁ、もっと細かく観たかったなぁ……と思うところが何か所かあって……。
例えば。アンドレの「命をかける」って言葉の真意。やっぱり、原作の『千の誓い』に繋がるエピソード、観たかったなぁ~。
ジャルジェ将軍の刃から、愛する女性を守り、結果、オスカルさまの心を突き動かす、名場面ですよね。
うまく言えないのですが。『権利』と『義務』の違いとでも例えましょうか。
オスカルさまを救おうとするのは(将軍に刃向かうのは)、この瞬間まではアンドレにとって『義務』でしかなかった気がします。
でも。7月13日、オスカルさまの前に飛び出し銃撃された時のアンドレには、オスカルさまを守る『義務』と同時に『権利』もあった。
こんな風に文字化するのは初めてで、また、表現が下手くそ過ぎて伝わらないだろう度合100パーセントなのですが、
アンドレの「命をかける」が、単なる主従を超越した言葉であることを疑う人はいないと思うので……。などと、思いながら、動くOAで『千の誓い』
観たかったぞぉ~。
と、同時に。オスカルさまの心がアンドレに傾いていく心の機微。もうちょっと欲しかった。
オスカルさまの命尽きるシーンにはロザちゃんの絶叫が欲しかった。
そして、やっぱり。Oさまに惚れないアランはアランじゃない!!
それにしても。チップ、オトナになったねぇ😂😂

などなど……。
そんなことを思いながら、最近すっかりご無沙汰のおれんぢぺこでございますが、もう啓蟄も近いので、眠ってばかりの脳みそ、たたき起こさねばと思っております。
しかし。来週にはまた寒波がやって来そうとのイヤなニュース。花粉も飛び始めているようです。
どうぞ、皆さま、ご自愛ください。
またお時間のある時にお立ち寄りくださいませ。

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ご覧になりましたか❓️

2025年02月15日 21時22分19秒 | 日記
こんばんは、本日2回目の映画鑑賞を終えたおれんぢぺこでございます。
皆様、もう、ご覧になりましたか❓️

そもそも、1回観た後には、2度目はないなぁと思っていたのですが……
昨夜【バレンタインクーポン】なるものがTOHOシネマズから届いて、つい、行ってしまいました。
何せ、この2週間、とにかく『The Rose of Versailles』が耳から離れない状態でしたので……。

県内、たいていのイオンモールがイオンシネマなのに、我が家近くのイオンモールは、幸か不幸かTOHOなのです(@_@。

色んな方がおっしゃってますが、よく2時間にまとめたよな〜ってのが、内容より先に感じたこと!
あのシーンや、あのキャラや…細かい思うところは色々ありますが……。詳細は……やはり、まだ観に行けてない方がいらっしゃったら申し訳ないので、またの機会に。
ただ!! これだけは言いたい!!!!
チップ、オトナになったねぇ(爆)←この意味が、わかる方、いらっしゃるかしら❓️❓️❓️

はぁ〜、スマホからの投稿は疲れるぜ(^^ゞ
またお時間のある時にお立ち寄りくださいませ。


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新年のご挨拶

2025年01月01日 11時38分41秒 | 日記

あ け ま し て お め で と う ご ざ い ま す

お久しぶりでございます。おれんぢぺこでございます。
8月26日をぶっ飛ばし、12月25日に至っては、ご挨拶さえ致さないまま、今になって、のこのこと出て来ております。
忙しいというほど大袈裟ではないけれど、何となく時間が足りない毎日で、その上、かまってあげなかった我がパソコン様は、またまたストライキ状態で、必死にご機嫌取りながら、今、この文章を打っております。
平常ですと、新年のご挨拶は前年末には下書きがすんでいるのですが、今回はブログの編集ページに直接入力……とは言え、そのページに入る方法を思い出す作業から開始している……ナサケナイの大渋滞です('◇')ゞ

ほったらかしのこのページにお越しくださる方が、もしもいらっしゃたなら、本当にありがとうございます。
今年は、いよいよ映画が上映されますね(前売り券、買いました!!)
拙ブログは、今年も変わらずゆるりゆるりと進んでいきます。
お暇な時、時間潰ししたい時……。思い出していただけたなら嬉しいです。
本年が皆様にとって、より良き年となりますようお祈りいたします。
またお時間のある時にお立ち寄りくださいませ。



 

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ごめんね、アンドレ

2024年08月26日 19時03分12秒 | 日記
覚えてるのよ、あなたのお誕生日㊗️
でも、ちょっと忙しかったりして、暑さに【やる気】奪われてしまいました。
本当に、何のお祝いも準備できずにごめんなさいm(_ _;)m
もう少しだけ、時間を下さいませ。
このオトシマエ(怖っ^^;)きっと、つけさせていただきます_(._.)_
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SS-84~ ある日(さくらんぼの実る頃 番外編) ~

2024年07月14日 12時21分21秒 | SS~読み切り小品~

~ あ る 日 ( さ く ら ん ぼ の 実 る 頃  番 外 編 ) ~

言い訳しだしたらキリがないので。とりあえずUPします( ´艸`) 
何だかよくわからない、三が日要素も全くない話ですが
宜しかったら、お付き合いくださいませ。

僕が母さんを泣かせるなんて、正直驚いた。いや、母さんがこんなに弱い人だなんて今日の今日まで思った事が一度もなかったから驚いたを通り越して、ビビったという方が正しいかもしれない。
とにかく、母さんは泣いた。
父さんの腕に抱かれて、子供みたいに声を張り上げて泣いた。
父さんは全く慌てないで、母さんが落ち着くまで黙って肩を抱きしめ髪を撫でつけ、時折背中をポンポンと叩き……そんな事を繰り返していた。
僕は、僕が母さんに対してそんなに酷い事を言った気がしていなかったので、何となく居心地が悪くなって、そっとその場を離れた。

丘の上では、僕は一人になれる。
吹き来る風はまだ冷たいけれど痛くはない。もう春が近い事を教えている。
僕だって母さんが教えてくれる授業の内容は大概一回で覚えるくらいの事はできる。そりゃ父さんの物凄い記憶力には叶わないけど……。でも、父さんは言うんだ。
『父さんの記憶力なんて必要に迫られて磨かれたものなんだ』
父さんには左眼がない。おまけに右眼もお日様の元でぼんやりとその明るさが分かる程度でほとんど全盲に近い。僕が生まれた頃にはまだ物陰の区別くらいはついていたらしいけど、今はもう全く物の形は分からない。それなのに父さんはそのハンデを感じさせない。特に僕や母さんが言った事は絶対に忘れない。僕はよく母さんから、覚えられないなら書いておけって叱られるのに、父さんは書く事ができないのに、どこにそんなに記憶力の引き出しがあるんだろうってビックリするくらい、あっと言う間に思い出す。
『あの時、おまえはここでこう言った』
言った本人が覚えていないような事も、その場所、時間、シチュエーションまでをも正確に再現してみせる。

「やっぱり、ここにいたか……」
気配もなく父さんが後ろに立っていた。父さんは眼が見えなくても、僕がどこにいるのかなんてすぐに分かってしまう。ふてくされた僕がこの丘で一人になって考え事をしているなんて、とっくの昔に知っている。でも僕は、気配だけで僕の座っている場所まで断定する父さんの力にビックリしながら、シャクだから平静を装ってみせる。ちょっと間を置いてから、訊いてみる。
「……母さんは?」
「出かけたよ。マルシェの子達に綴りを教える時間だからな」
「眼、腫れてた?」
「ああ。ちょっと冷やしてから、出て行った」
父さんは母さんの顔の造形なんかちょっと触れただけで普段と違う事まで気づいてしまうから、泣き腫らした眼のままで出かけようとする母さんを急いで引き留めたに違いない。

僕は、腰を下ろす為に周囲を足先で確認しようとする父さんに、立ち上がって手を貸す。さすがに、周辺に石ころとかの危険な物があるかないかまでは足先で確認しないと父さんにも分からないから、僕が手を取ると、ここは安全だって事が伝わる。
「おっ。すまない」
父さんはそう言い、座った。僕も、父さんの隣に改めて腰を下ろした。
しばらく無言で風に吹かれていた。父さんが隣にいるからなおさら心地良い。

「……母さんは命がけでおまえを産んだんだよ」
しばらく黙って二人で風に吹かれた後、父さんが言った。
うん、知っている。ロザリーおばさんもそう言っていた。
『お母様はあなたの命とご自分の命を引き換えにする事さえ厭わなかった。そんな強い精神の元に生まれたんですもの、あなたは何があっても耐えて行けるわ』
おばさんは、昔、父さんと母さんが面倒を見てあげたらしい。母さんは本当の妹のようにおばさんを可愛がっている。おばさんも父さんの事も母さんの事も大好きだって、感謝しているって、そして尊敬しているって言っていた。だから、何があっても僕達の生活は守り抜くんだって、いつも宣言している。

「何であんな酷い事を母さんに言ったんだ?」
口調は柔らかいけど、心の底から父さんが憤っている事は分かった。父さんは、母さんの事をこれ以上ないほどに愛している。母さんの敵は父さんにとっても当然敵だ。理由や理屈なんか関係ない。だから、今、父さんは母さんを泣かせてしまった僕の事が許せないに違いない。でも、僕には僕の言い分がある。
「みんな、言ってる! 母さんは、普通の家のママンのようにご飯を作ったり掃除をしたり……そんな事を一切しないじゃないか! ミシェルもエリックも言ってた。僕ん家は、父さんの方がママンみたいだって」
「……そうか……」
父さんは静かに笑った。
「みんなが言っていたか?」
「そうだよ! ニコラも……ソフィーもオデットも頷いてた」
「……そうか」
また、同じ言葉を繰り返した。

「どうして僕の母さんは掃除をしたり洗濯をしたり……お料理をしたりしないの?」
僕は、前々から感じていた疑問をここぞとばかりにぶつけてみた。
「みんなが言っていたのか?」
「そうだよ」
「じゃあ、ジルも?」
「……ジルは、言わなかった……」
だって、ジルはリュシールおばあちゃんの孫だもの、そんな事言えやしないさ。
「シモンやロランは?」
「い、言わない……」
「ポールは?」
「ポールも言わない」
「じゃあ、みんなって言うのはちょっと違うんじゃないか?」
ずるい。父さんは分かっていて、絶対にそんな事言わないような連中の名を挙げたんだ。
「だって……ミシェルは『おまえの母さんは貴族に囲われていたから使用人に何でもやらせていたんだ』って。それで、革命で捨てられちゃったから、当局に捕まるのを恐れて、あんな男みたいな恰好をしてヴェルサイユから逃げて……それで、父さんを頼ってここに来たに違いないって……」
「ミシェルって何歳だっけ?」
「僕より3つ上」
「どっかで聞いたような話だけど、なかなかすごい想像力だな。今度、ベルナールに売り込んでみよう」
父さんは、本気で感心したようでうんうんと頷きながら、ロザリーおばさんの旦那さんの名前を出した。おじさんは新聞記者だから、すごいニュースがあるって言ったら、すぐにでも飛んで来る事は間違いないけど、これは、そんなに驚くような話じゃないと思うよ。

父さんがやさしく僕の名を呼んだ。
その眼でこっちを向かれると、僕はドキッとしてしまう。父さんの見えないたったひとつの瞳は、僕の心の中の全てを映し出しているようで、見つめられるとドキドキしてしまう。
「母さんの名は、何という?」
何を分かり切った事を訊いてるんだろう。僕は即答した。
「オスカル・フランソワ・グランディエ……」
「そうだね、グランディエだ。でも、それは父さんと結婚してからの名字だ。母さんの結婚前の名字は……」
父さんは、珍しく一瞬言い淀んで言葉を切った。僕は黙って続きを待った。
「母さんの結婚前の名前は……オスカル・フランソワ……ド・ジャルジェ……」
「……ド・ジャルジェ!?」
「そう。母さんは名門貴族のお嬢様だったんだ」
「……囲われてたんじゃ……ないの?」
「うん。ミシェルの想像力もなかなかだけど、ちょっと違うね」
「でも! でも、じゃあ何で母さんは、父さんと結婚したの? 父さんは貴族じゃないよね」
僕は念を押した。僕ん家の名字には貴族の象徴である“ド”はつかない。

「そりゃあ、父さんと母さんが愛し合っていたからだよ」
そんな事も分からないのかって顔で父さんは僕を見た。
「でも……母さんは貴族だったんだよね? 男の人が貴族だったらアイジンっていう肩書で女の人をお嫁さんみたいにしちゃえるけど……逆だったら……。何で父さんは死刑にならなかったの? それって反逆罪ってのになるんじゃないの?」
父さんは声を立てて笑った。
「愛人ってのは肩書かぁ。そいつは良いな」
「ち、違うの?」
「う~ん。肩書ってのとは違うなぁ。それに、父さんの罪は反逆罪でもない。……おまえがもうちょっと大きくなったら意味の違いも分かるだろうけど……。最近、色んな言葉を覚えて使ってみたいって気持ちも分かるけど……その辺、母さんは正しい言葉遣いだとかには特にうるさいから、すぐに正されてしまうぞ。父さんの正しい言葉遣いも子供の頃に半分は母さんに教えられたようなものだからな。あ、でも……母さんが正しい言葉遣いができるってのと、日頃正しい言葉を使っているかってのは微妙に違うからな。『バカ野郎』なんてのは、間違っても正しい言葉の選び方ではないだろう? あれは、どっちかって言うと父さんが持ち込んだ言葉だろうな。母さんがおまえくらいの年の頃には『バカ野郎』なんて言葉は知らなかったはずだ」
父さんは、また話が逸れたな、と笑って、
「まぁ、それは置いといて……。母さんは、貴族の身分を捨てた。結論だけを言うと、そういう事だ」
「……父さんと、結婚する為に?」
「まあ、世間的にはそんな感じなんだろうけど、厳密に言うとちょっと違う」
父さんは懐かしそうに、何も映さなくなった黒い瞳で遠くを見つめた。

「1789年のバスティーユの陥落の事を知っているか?」
「うん。母さんの授業で習った。革命史だよね」
母さんは知っている事がいっぱいで、おまけに人に教える事も上手だ。僕にもフランス語は勿論、ラテン語や数学、歴史……あらゆる授業をしてくれる。
「母さんが知っている知識は幼い頃から家庭教師の先生に教えてもらった物なんだ」
「貴族だったから?」
「うん、そうだね。母さんが育ったジャルジェ家は代々王家をお守りする由緒正しい家柄だ。ところが、どうしたわけか女家系でもあり、母さんも6人姉妹の末っ子として生まれた。でも、運が良いのか悪いのか生まれた時に張り上げた泣き声があまりにも元気が良すぎた母さんはおじいちゃまのお眼鏡に適ってしまい、おじいちゃまの方針でジャルジェ家の嫡子として育てられた」
「ちゃくし……?」
「家の跡取りって事だよ。何しろジャルジェ家は名門中の名門。近衛の総司令官を務める家柄だ。跡を継ぐ者がいないという事は大変な事なんだ」
父さんはそんな話から、僕に母さんの半生を聞かせ始めた。

「お姉様方……おまえにとっては“伯母様”に当たる方達にも家庭教師はついていたんだけど、それ以上に母さんにはそれぞれの専門の教師が派遣され、おじいちゃまが受けた教育と同等の物は全て勉強させられた」
「全てって?」
「今、おまえが母さんから教わっているのはまだまだ初歩だけど、そんな物を含めて全てだ。歴史や文法はもちろんだけど、芸術や作法、果てには司法だとか政治学……兵法なんてものも加わって来るんだ。何人かの家庭教師が来ては難しい授業をして行く。母さんは身動ぎひとつせず先生の話に耳を傾けているんだ。……父さんは8つで母さんの遊び相手兼護衛としてジャルジェ家に引き取られたんだけど、最初はびっくりしたよ。自分より年下の子が、大人が話す難しい内容を理解しようとしてるんだよ」
母さんは聡明な人だって、この辺の大人はみんな口を揃えて言うけど、本当の事なんだろうな。そのくせ母さんの“正体”は誰も教えてくれない。色々変な噂ばかりが立つんだ。

「母さんが勉強している時間、退屈している父さんに気づいた母さんは、そのうち父さんにも同じ勉強をさせろっておじいちゃまに交渉して、父さんも一緒に勉強するようになった」
「む、難しくなかったの?」
「そりゃあ、難しかったさ。……いや、最初は難しいのかどうかさえ分からなかったって言うのが正直なところだな。ちんぷんかんぷんだよ。何のおまじないを聞かされているんだろうって……母さんと机を並べて座るんだけど、ある日、母さんに気づかれてしまった。父さんはその頃まだやっと自分の名前が読めるくらいで、他の読み書きなんてできなかったんだ」
「8つなのに?」
僕はおかしくて思わず呆れ顔をしてしまったかもしれない。
「村ではみんなそんなレベルだったから、それが不思議な事でも恥ずかしい事でもなかった。ほら、マルシェの子達だって、おまえほどの読み書きができる子はいないだろう?」
父さんは、そう説明した。確かに、最初の頃は、僕がとっくの昔に飽きちゃった本でさえ読める子はいなかった。
「でも、母さんは、それを許さなかった」
父さんは、話を続けた。
「綴りなんて習ったことがないって言ったら、その場で紙とペンを渡された。そしてサラサラと紙に父さんの名を書いて『明日までに書けるようになれ』って」
父さんは本当に懐かしそうに笑いながら言った。
この見えなくなってしまった父さんの目の奥には、たくさんの母さんとの想い出が浮かび上がっているに違いない。
「母さんは家庭教師の先生にも掛け合ってくれて、父さんは母さんが難しい勉強をしている横で、まずは簡単な読み書きから始める事になった」
父さんは言葉を切って、にっこりと微笑んだ。父さんと母さんが幼馴染だった話は嫌になるくらい聞かされたけど、そんなに小さい頃からいつも一緒だったなんて、すごい! イヤになったりしないのかなぁ。

「まぁ、とにかく父さんはできの悪い生徒でしかなかった。……と言うか、父さんには、まだ自覚なんてなかったんだ。母さんがお勉強している間、ただじっと時間が過ぎるのを待っていれば良いくらいの感覚でしかなかった。だって、そうだろう? つい何か月か前まで時間なんか関係なく自由に野山を駆け回っていたんだよ。だからいくら家庭教師の先生がわかりやすい図を描いてきてくれても、何回同じ綴りを教えてくれても覚える気なんか全くなかった」
そりゃそうだよな。僕だって母さんの言っている事が難しすぎて分かんない時なんかは逃げ出したくなる。でも。母さんは、僕が理解していないって事まですぐに読み取ってしまうから、そんな時はすぐにもう少し簡単な言い方に替えて説明してくれる。

父さんは、う~んって言いながら一回背を伸ばした。僕も真似してみる。
「父さんは、母さんに言われたから仕方なく勉強してるって感覚だったけど……。でも、母さんにとってそれらは母さん自身の知識であると同時に家の威信を背負っての物だったんだ」
「家の威信?」
「そう。その頃の母さんがどこまで意識していたかは分からないけど、いずれ母さんは宮中で多くの貴族達と競って行かなければならなくなる。その時に培った知識は武器になる。あの頃の母さんは、とにかくおじいちゃまの期待に応えようと必死だった。父さんはただ見ているしかできなかったけど、母さんは泣き言ひとつ言わずいつも唇を噛み締めて色々な事に耐えていたんだよ」
父さんの話に、さっき僕が泣かせてしまった母さんの背中が重なった。
「それは、何年も何十年も続いた」
「……母さんは、辛かったの?」
「うん……。その時々には辛い事もあったかもしれないけど、大人になって振り返った時、母さんはおじいちゃまに感謝しているって言っていた。母さんは自分の人生を自分で選ぶ事ができたんだ。女の人に、特に大貴族の娘にそういう選択肢があるっていうのは、とっても珍しい事だよ。母さんがお姉様方と同じように普通の女性として育てられていたら、おまえと父さんも出会ってなかったかもしれない」
「母さんは……父さんと結婚してなかったかもしれないって……事?」
僕は、ちょっと怖くなって恐る恐る訊いてみた。

「そういう事だ。それは父さんにとっては地獄に落ちるより辛い事だけど。……でも、想像してみてごらん? 華やかなローブを着て髪を高く結い上げてる母さんなんて……」
「……無理だ……」
「そうだろう? 母さんには、あの姿が似合ってる。まあローブ姿も綺麗には違いないけど……」
僕は、父さんの話で、胸に痞えていたものが少しすっきりした。
「母さんは掃除も洗濯も料理もしないんじゃなくってできないんだ」
僕は、そう結論づけた。だから、僕ん家にはリュシール一家が通って来てくれて、あれこれと世話を焼いてくれるんだね。
「“できない”って、そりゃ、身も蓋もないなぁ」
また父さんは肩を揺らしながら大声で笑った。そして、
「じゃあ、母さんが帰ってきたらごめんって言えるか?」
「い、言える……」
父さんに念押しされてちょっと気後れしてしまったけど……大丈夫、ちゃんと謝るから。


≪fin≫

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2024年の三が日です

2024年07月13日 21時33分07秒 | 日記

またまた、ご無沙汰いたしております。おれんぢぺこでございます。
今年もやって参りました、三が日。それどころか、13日さえ、残りあと数時間。
ぬるぬると生きている身です故、こんなことではご挨拶もできないままになってしまいそう(;^_^A アセアセ・・・。
いやいや。さすがに、三が日くらいは……と、蔵の中、ひっくり返してみました。確か、あったはずと思いつつ……。
あった、あった♡♡ 『さくらんぼの実る頃』幻のイントロダクション(大袈裟(‘◇’)ゞ)。
もう何年も前に書いていた『さくらんぼの実る頃』の始まりの話。でも、ここから始めることに対する自分の中で生じてしまった違和感。そんなわけで、今、お付き合いいただいているような展開に至ったわけです。が、現状、ここに繋がるかどうかさえ分からない状況になっており、もしかしたら、本当にこの話、日の目を見ない結果になってしまうかもしれないと、突如こみ上げて来たオヤゴコロ。
この際、まーったく関係ないけど……。箸休めにもならんけど……。そんな話を、ちょっと推敲後、明日、UPさせていただきます。

ところで。新作アニメの情報、目にされた方も多いと思います。何年か前に話題になったっきりだったから、完全に立ち消えてしまったのだと思っていました。
勿論、賛否あって当然。
私は発表されたキャストが“本物の”声優さんばかりだったことに胸を撫でおろしています。客寄せパンダの如く人気俳優をずらりと並べられたら、それだけで吐き気を覚えたかもですが、今回発表されたキャストならちょっと見てみようという気持ちになっています。
ただひとつ、関心事は、アランを、どなたがアテてらっしゃるのか。また情報が解禁される日を楽しみに待ちたいと思います。

梅雨末期のゲリラ豪雨、酷暑。よくわからない感染症。
不安は尽きませんが、皆さまが素敵な三が日を迎えていますように。
またお時間のある時にお立ち寄りくださいませ。

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またまた、ご無沙汰ばかりで申し訳ありません。

2024年06月30日 15時27分55秒 | 日記

ご訪問ありがとうございます。夏休みの宿題は常に最後の一週間くらいに友達の『夏の友』やドリルを丸写ししていた
おれんぢぺこでございます。
忙しいわけでもないのに、更新が滞ってしまっていて……にもかかわらず、足をお運びいただき、その上、本日拙ブログ誕生日と
いうことでお祝いのメッセージまでいただき、本当にありがとうございます。

近況報告がてら、停滞してしまっている状況説明を少し(つまり、言い訳です('◇')ゞ)
タブレットを買い替えてしまったことで、パソコンを開く機会が信じられないほど減ってしまいました。
そして(これはしようがないことなのでしょうが)年を重ねて行くに連れ、ポリニャック病の症状との戦い、特に眼精疲労!!
なかなか、仕事でパソコン見つめ疲れ切った状態で、家でまた長時間字を打つことが、しんどくなって来ています(´;ω;`)
加えて、やりたいことと、やらなければならないことの優先順位のアンバランスが度々生じてしまって……。

あ~、言い訳三昧で申し訳ありません。
7月もそこまで来ているのに(;^_^A(;^_^A
何か、できると良いなぁと思ってはいます!!
もしよろしければ、思い出しましたならば、いつの日にかまた覗いていただきますれば嬉しゅうございます(⋈◍>◡<◍)。✧♡
気候の不安定な毎日ですが、どうぞ皆様ご自愛ください。
またお時間のある時にお立ち寄りくださいませ。




コメント

申し訳ありません('◇')ゞ

2024年03月31日 15時56分17秒 | 日記


ご訪問ありがとうございます。おれんぢぺこでございます。
バタバタとしたままで、3月が終わろうとしています。何とか、ひと月にひとつだけでも話を読んでいただけたらと
思っておりましたが……。ちょっと、今月は無理みたいです。
目下『内なる声』の続きに取り組んでいる真っ最中で7~8割は書き上がっているのですが、
とてもお披露目するには至らず、諦めました。ごめんなさい(m´・ω・`)m ゴメン…

今年はまだ桜も咲かず、万年幹事もコロナ以来、その役を返上したままです。
進行しない話を二つも温めておりますが、来月こそ、少しでも進めたいと切に願っております。
時節柄、皆さま、ご自愛ください。
またお時間のある時にお立ち寄りくださいませ。

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SS-85~ 恋バナ(Oscar&Alain) ~

2024年02月14日 20時05分00秒 | SS~読み切り小品~

~ 恋 バ ナ ( O s c a r & A l a i n ) ~

【最初の言い訳】
しようもない話です。蔵の中から引っ張り出して、書き加えました。
ヴァレンタイン要素も、ほぼないよーなモンです(´;ω;`)
アンドレは、名前しか出てきません。
(アラン推しの書き手としては、結構好きなシチュエーションではあるのですが)
バレンタイン話としては、淋しいことこの上ない、、、ですが。よろしかったら、お付き合いください。



楽団が奏でる調子っぱずれのシャンソンが、悪酔いに拍車をかける。
TimePlaceOccasionはきちんと弁えている。オスカルは、そんな自負の元、なるべく目立たない服装を選んだつもりだったが、いかんせん醸し出す雰囲気が安酒場に全く似合っていない。
汗や汚れなどでは、決してテカテカになることなどない、仕立ての良いモスグリーンのチョッキ。かろうじて、そこに織り込まれた家紋や、舞う獅子の刺繍が入っていないことだけが、オスカルなりに熟慮した結果の選択の証だと語っていた。
バンッとグラスがまたカウンターを叩いた。これをあと2~3回でも続けたら、オスカルの前の木材だけが見事にグラスの形のクレーターを作るに違いない。
アランは、店主から受け取った自分のグラスの位置を変える振りをしながら、船をこぎ始めた麗しの上官のグラスを、手が届くせいいっぱいの範囲で遠去けた。

ついに耐えきれず、オスカルがその右頬をカウンターに勢いよくひっつけた。
「……アラン……」
それでも、彼氏と一緒でないことだけは分かっているようだ。間違わずに、自分の隣に腰掛ける男の名を呼ぶところはさすがだと、アランは感心しつつ返事をした。しかし、何がさすがなのだろうと別の疑問が湧く。いやいや、そんなことを考えても解決しないと首を振り、
「お屋敷までお送りしましょう」
言ってはみたものの、こんな酔っぱらいを客として見てくれる良心的な辻馬車があるだろうかと考え、提案を変えてみる。
「いっそ、兵舎に戻りますか」
歩いて小一時間。寒空の下、ちょっとした行軍になるなと思う。現状打破の方法としては一番手っ取り早いと思う。だが、この酔っ払い上官を立ち上がらせるには脇の下から抱え……などと考え、赤面してしまった。

……つまり。持て余しているのだと、大きく息を吐き出した。

愛して止まない女性と、こうやって飲みに来られたというのに、と、アランは泣きたいほどの情けなさを感じていた。
「隊長、夫婦喧嘩は犬も食わぬって知ってますか」
「私達は、夫婦ではないっ!!」
「ああ、そうでしたね。まだ……」
「ま、だ……。棘のある言い方だなぁ。おまえは、私達が夫婦だった方が嬉しいのか」
跳ね上がる語尾。際どい発言。自分で爆弾投下しまくる愛しい上官に、ついつい可愛いと思いながら、アランはいくつ目かの溜息を吐き出した。
「そんな下町のやさぐれ連中のようないちゃもんつけるのは止めてくださいよ」
アランは笑いつつも、妙に頬がひきつるのを自覚した。

そして、ふと気を抜いた瞬間に、グラスを奪い返されてしまう。
「聞け! アラン!!」
残り少ない安物のヴァンをグッと煽ると、オスカルは胸を張り、口調もがらりと変えた。
アランは、思わず敬礼しそうに背筋を伸ばす。「……何の訓示ですか?」
背筋を伸ばしたものの、酔っぱらいからまっとうな言葉が出て来るはずがないことも知っている。
アランは、沸点に達しているオスカルの怒りの矛先を変える方法を考えてみる。その怒りを下手に沈めてしまうのは宜しくない。忘れた頃に、思い出して、勝手に再燃するからだ。
矛先など分かり切っている。

「おまえ、ヴァランタンの贈り物はいかほどいただいた?」
「えっ……」
全く、想像もしていなかった話題だ。図らずとも隊長自身が怒りの方向を変えたのかと、アランは一人笑った。
「い、いかほどって……? まあ、そこそこ……と言っても、隊長には及ぶはずもありませんが……」
正直、贈り物の数をはっきりと覚えているわけではない。
それなりに(一方的な)本命も含め、義理、友……。交友関係と比例する勢いで年々、いただきものの数も増えて行っているという自負は、アランにもあった。

「……そうか……」
なぜか、ちょっとトーンダウンするオスカルに、聞いた方が良いのか否かちょっとだけ躊躇し、アランは、
「隊長は、また今年もヴェルサイユ中の老若男女からモンブランの頂までを何往復かする分からないくらい、たっくさん貰ったんでしょ?」
アランは、そう言うと、オスカルにニッと歯を見せる。
「……ああ。兵士諸君からの愛のこもった贈り物も含め、国中……いや、世界中の皆々様から本当にたくさんの愛をいただいた」
「き、規模が違いますね」

アランが正直な感想を言った瞬間、またしても、空のグラスがバンッとテーブルをぶっ叩いた。
「な、何すか……ビビるじゃないですかっ」
心底震え上がったアランは、ちょっと身を後ろに逸らす。
「だがな」オスカルは深呼吸した。
「……あいつの方が多かったんだ……」
「はい?」
「あいつの方が、多かったんだ、1個!!」
「……あいつって……まさか……」

無言の圧を感じ、アランはそっと貴人の横顔を盗み見る。
「競ってたんですか……アンドレと……?」
「……いや……」
「じゃ、じゃあ、何で、アンドレの方が多いとか、ましてや……」
言いかけて、アランははっと息を継ぐ。
「まさかとは思いますが……あ、いや。そんなことはないよなぁ。あ、いや。でも、案外ガキみたいなところあるし……まさか、俺を誘った理由って……」
独り言が丸聞こえの状態。

「今年は、数だけで言うと同じだな、と言って、しんみりと私達も互いに包みを交換し合ったんだ」
「ほぉ~」
何だ、喧嘩じゃないのかと、ほっとしつつも、どこか残念がるアランの様子などお構いなしに、オスカルは、
「その瞬間だ、扉が、開いた」
アランは、無言のまま、先の話を待つ。
「ばあやだ」
何があったんだろうと、アランは首を傾げる。
「『ああ、ちょうど良かった。アンドレ、あんたにも渡さなきゃと思ってたのに、忘れてたわ』ばあやはそう言って、孫息子に義理チョコを押しつけて行ってしまった。その瞬間のアンドレの勝ち誇ったような顔が分かるか?」

「あの、ですね……」
アランは、やはり呆れることにした。
オスカルには、勝ち誇ったように見えたアンドレは、実は思いっきりひきつった笑顔を載せていたに違いない。
「それで、怒りのままに、非番の俺を呼び出した……って……、そんな話のオチ、誰が期待してると思ってるんですか」

オスカルは返事をしない。
「とにかく、帰りましょう」
「どこに?」
「えっ……。ああ……」続きの言葉に詰まる。
日頃、どんなに粋がって見せても、結局、愛してやまない目の前の麗人に対し、送りオオカミになどなれるわけもなく、アランは、
「お屋敷までお送りしますよ。アンドレが待ってます」
大仰に困った風に肩を竦めて立ち上がった。
《 fin 》

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