松下啓一 自治・政策・まちづくり

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☆『Sa・Ga・Jyo!26』になる(焼津市)

2013-07-14 | 1.研究活動
 今回は、旧大井川町で開催された、踊夏祭に学生たちと出かけた。魚河岸シャツファッションショーに出演。春のおまつりでは、参加メンバーは松下ゼミの14人であったが(Sa・Ga・Jyo!14)であったが、今回はパワーアップして26人、『Sa・Ga・Jyo!26』となった。
 
 なぜ、私たちがファッションショーに参加するのか。関係者の軽いノリということも大きいが、本来のねらうところは、まちおこしである。魚河岸シャツという地域資源を使って、地域の歴史や価値を認識し、同時に、同時に河岸シャツをとっかかりに、地域の産業を振興することがそのねらいである。魚河岸シャツが、多くの人に認知されれば、これをデザインする人が生まれ、工房ができ、販売店ができ、働く人が増えることになる。

 今回のような取り組みは、焼津市のためだけでなく、実は、学生たちにとっても、大いにありがたいことである。
 今日では、これまであった組織や地域が若者を育てていく力が弱くなってしまった。これには一筋縄ではいかない背景や原因があるが、この揺籃の機会を十分に得ることができない若者たちが、いきなり社会に出て、社会との軋轢な中で、不協和を起こしてしまっている。とりわけ最近のように、失敗が許容されない社会では、この最初のつまづきが、いつまでもあとを引くことになる。

 新城市の自治基本条例づくりや焼津市の魚河岸ファッションショーで、学生たちは、地域に出かけ、市役所や地域の人たちと一緒に体験することになるが、その中で、学生たちは公共性ふれることになる。社会というとバイトとしか知らない学生たちにとっては、公共という新たな世界に出会い、驚くことも多いようだ。
 しかも、この体験は、失敗が許容される。自治基本条例の検討で、たとえうまく発表できなくても、地域の人たちは、優しく頷いてくれるし(新城市の人たちの顔が何人も目に浮かぶ)、ファッションショーがモデルのようにできなくても、みな良かったよと言ってくれる(これも焼津市の人たちの顔が浮かぶ)。
 地方自治は民主主義の学校というが、まさにその通りだと思う。

 グルーバル化が進む中で、世界との厳しい競争を余儀なくされ、今後も、私たちの社会は、ますます余裕をなくしていくことになるだろう。おそらく、これは避けて通れない。それゆえ、もうひつとの価値が重要で、小さいけれども、効率や競争は違う論理で動く世界(場所)をつくっていくことが大事なのだろう。一直線の階段ではなく、途中にいくつもの踊り場のような場所がたくさんある社会である。これを一つひとつ積み上げていくのが、おそらく、私たちの仕事なのだと思う。

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