ふるさとへの道=2

記念詩・鎮魂歌・バイリンガル詩集・
    追憶詩・(想い~日記詩)

     

オンニョさんの詩(65)=鎮魂歌(30)

2011年03月30日 | 日記


    十五年の時が流れて
            

            許 玉 汝


    30.10年間通った学校の前で


丸三日間 全力で捜索は続けられた
ヘリコブター、宣伝カーまで動員して
テレビ、新聞、ラジオ、数百人が動員された

警察官、消防隊員、ボランティア協会の人々
朝鮮の団体からも大勢の方々が来て下さった
文学部の仲間、親友達、同僚の先生方…

一日中宣伝カーに乗って声を出し続けた
「チャンくーん。どこですかぁー、
オンマやでぇ 返事してー」

31日の昼 警察から通達があった
これだけ捜しても見つからなかったので
捜索打ち切り 後は池の水を抜く方法だけだと

その時だった
「見つかったぞぉー」
山のほうから大きな声が響き渡った

「おかあさん。安らかな表情でした。」
通報してくださった方がわざわざ来て下さった

体育館にチャン君は連れてこられた
裸のまま 毛布に包まれていた
泥だらけの体をきれいに拭き服を着せた

冷たくなった体を抱き 頬に頬をくっつけると
私の体温で 頬がピンク色になってきた
「チャン君助かるのと違う?」
狂った様に何回も頬をくっつけ体をさすり続けた

死後三日という 寒い山の中で倒れていた
一日でも薬を飲み忘れれば発作が起こるのに
三日間も飲まず食わずで倒れていた
誰を恨めば良いのか 誰を恨めとゆうのか

黒い車に乗せられ 大阪に帰ることになった
何時間乗ったろう 長吉出口が見えたとき
運転手さんに頼んだ 学校の前に行ってくれと

10年間通った学校 思い出がいっぱいだ
運動会、学芸会、クリスマス会、お餅つき
毎朝の体操、朝礼、歌の時間、お当番…

「チャン君、良くみてね。
チャン君の好きだった学校やで。」

運転手さんが学校の周りをゆっくりゆっくり
一周してくださった ありがとうございます