将棋雑記

将棋に関する雑感を書き散らしています。

湯村光造作品集18

2023-12-10 20:36:14 | 湯村光造作品集
湯村光造作品集18
38飛打、19玉、18飛、29玉、19飛、28玉、33飛成、46香、39龍、27玉、29飛、18玉、28飛迄13手
 今回はアンソロジーの解説を引用します。
①昭和48年9月25日発行:あさぎり:湯村光造解説:
打った飛車が邪魔になり捨てようとして王様と鬼ごっこをする。結局捨駒なしで詰上がる変った味の作と思う。48飛と離して打つと29玉でつかまらない。45香の配置に最も苦心したおぼえがある。第二回塚田賞授賞作。
②昭和58年2月10日発行:近代将棋図式精選:森田正司解説:
 とにかく持駒の飛車を打つしかありませんが、48飛と離すと29玉で困ります。そこで38飛とくっつけると19玉。ここで、すかさず18飛と歩頭に振るのが好手。同歩成なら39飛の両王手を含みにしています。同玉とも取れないのを見越して、さらに19飛と追いかけて28玉と元の位置に戻します。こうしてようやく33飛成のあき王手が実現し、龍と飛による収束となります。

 本作は変化も紛れも殆どなく、易しい入玉型の小品ですが、38に打った飛車が、18・・・19・・・29・・・28と、狭いところで玉と追いかけっこをする趣向的な手順にパズルのような味があり、これが買われて第二回の短編賞作品となりました。


 初手38飛と直打する導入から、その飛車を押し売りするのは面白い。簡素な図からの好手順。巧い。