認知症介護支援の取り組みは 新しい関 336号 2018.10.25
9月13日第3回定例会の3日目の本会議で小森よしなお議員は、「介護保険について」一般質問を行いました。
認知症介護について
【小森よしなお議員】
認知症は特別な病気ではありません。誰もがなり得る病気です。 2025年には認知症患者が750万人に。軽度認知障害の初期対応の人を加えると1000万人を超えると言われています。軽度認知障害は放置すると5年以内に半数が認知症に移行するといわれています。介護家族の現状は、ひとり暮らしや高齢夫婦の二人暮らしが増加しており、男性介護者は3割を超えています。高齢夫婦の一方が認知症になり、介護心中、介護殺人など、痛ましい事件も増加しています。
国は、2012年に認知症施策5カ年計画、オレンジプランを策定し取り組みを推進してきました。しかし、現行の介護保険では利用できるサービスに限度があり、認知症介護の現場は家族任せの状態がいまだ改善されていません。
認知症の早期発見、診断。初期の相談と家族への支援や医療、保健、福祉の連携体制の構築によって、最後まで切れ目なく治療と支援を行うこと。そして何より本人と家族が地域で、その人らしく暮らし続けることのできる環境づくりが求められています。
相談窓口での対応は適切か?
【小森よしなお議員】
国は、法改定で「明らかに要介護認定が必要な場合以外は、要介護認定を省略して基本チェックリストで対応をする」としています。 これでは認知症の早期発見につながらないのではないか?
【浅野健康福祉部長】
関市の窓口の状況ですが、平成28年3月に、「認知症初期支援チーム」を設置し、専門職が認知症に特化した支援を集中的に行う機関として、市民や関係機関から相談を受け活動をしています。
また、高齢者の相談窓口業務を担っている市内6ヵ所の「地域包括支援センター」では、「認知症地域支援委員」を配置し、認知症の方が、必要なサービスや支援を受けられるよう、他の関係機関との連携を図って、活動しています。
基本テェックリストでは認知症の早期発見につながらないとのご指摘ですが、チェックリストの25項目の中には、「周りからいつも同じことを聞く」「物忘れがあると言われませんか」とか、「今日は何月何日か分からない時がありますか」と言った項目があります。これで認知症を判断できると思っております。また、各相談窓口には、チェックリストの他に、「認知症ケアパス」と言うものを作成をしています。症状や病状に合わせて、いつどこで介護サービスを受ける事が出来るのか。家族の方と丁寧に対応して行きます。
要支援1.2のサービスは確保されているか?
【小森よしなお議員】
認知症を重度化させないためには、初期の段階で専門職によるケアを受けることが重要と言われております。新総合事業の中で利用者の希望に基づき,従来と同じサービスが継続して利用できるようにすべきと思うが。
【浅野健康福祉部長】
介護認定で判定される要支援1.2の方への2つの介護サービス、「介護予防事業」と「介護予防日常生活総合支援事業」から選択できるようになっており、サービス内容としては、必要十分なものが確保されていると思います。
第7期の介護保険計画では、認知症施策を充実させる観点から、認知症対応型共同対応型施設9床を建設する計画を立て、準備を進めています。
認知症の理解を広げる事が重要では?
【小森よしなお議員】
認知症の本人や家族にとって介護以上につらいのが認知症への差別と偏見。誰もがお互いさまと言える環境づくりこそ大切だと思うが?
【浅野健康福祉部長】
認知症の方ができる限り住み慣れた地域で暮らし続けるまちづくりを目指し、認知症の理解を深める活動に力を入れています。今年2月には、エーザイ株式会社と武儀医師会・歯科医師会・社協等々と、「認知症と共生するまちづくりに関する連携協定」を結びました。6月には、協定先のエーザイ株式会社と共催で認知症本人と家族のドキュメンタリーの映画の上映を開催しました。わかくさプラザ・多目的ホールが満員となる来場者がありました。
10月にも、来年3月にも認知症に関する「市民講演会」開催したいと思っています。
介護慰労金の拡充は?
【小森よしなお議員】
要介護慰労金は、在宅で重度な要介護高齢者を介護している者に対し、介護慰労金を支給し介護者の労をねぎらうことを目的としたものでした。しかし、数年前から事実上廃止となりました。
この事業は、介護度3以上の人を介護している方に月5000円の慰労金が支給されていました。これは在宅で介護されている方には本当に励みになると好評でした。これが今では介護度4以上で、介護サービスを使っていない人となり、ほとんど方は対象外となったが?
【浅野健康福祉部長】
介護者慰労金事業は、介護保険制度が始まった平成12年度以前から行っている事業です。
介護保険制度の開始に合わせ、事業を廃止した自治体も多くありました。関市は、厚労省の「地域支援交付金」を財源に事業を継続してきました。しかし、平成28年度に地域支援事業の要綱の一部が改正され、家族介護者における介護者を慰労する対象範囲を介護度4以上で介護保険を受けていない方に限定されました。それ以来、国の要綱に合わせ継続しています。
一方で、家族介護者の交流事業として、介護者の経験のある人たちと気軽に話あえる場として毎月1回、総合福祉会館で交流事業を開催しています。
また、今年度から、認知症カフェの補助を開始しました。現在市内で7ヵ所で定期的に開催されています。
生涯現役促進事業も開始しました。高齢者自身の地域活動の参加で、身体的健康、精神的健康、社会的健康を良好に保つことによって健康寿命を延ばすことを目的とした事業です。