小森よしなお ブログ

未来に向かって

新しい関・作成しました。328号です。

2018-07-10 20:17:34 | 日記

新しい関 発行します。今回は「生活保護行政について」です。

新しい関 第328号 2018.07.12 

生活保護行政について 10月から扶助費5%削減へ 

                                                     関市議会報告

憲法第25条を生かし生活保護制度の活用を

6月14日第2回定例会の一般質問で、小森よしなお議員は「生活保護行政について」当局の見解を問いました。

貧困は悪化していないか?

【小森よしなお議員】

 貧困と格差の拡大は日本全体が直面する大問題となっています。

 安倍晋三政権は「貧困は悪化していない」と繰り返しています。

 憲法25条に明記された生存権を保障する生活保護の生活扶助費削減を強行しようとしています。国民の深刻な実態が全く見えていないと言わざるをえません。

 日本共産党は、政府の生活保護の認識を改めて確認すると同時に、使いやすい制度にするために生活保護法を「生活保障法」にするなどの緊急提案を2月の予算委員会で志位委員長が緊急提案しました。 これは、貧困打開に向けた切実で道理ある提起です。

 この予算委員会で安倍首相は相対的貧困率が下がったとし「(貧困悪化という)指摘は当たらない」と主張しました。しかし、相対的貧困率の低下は、貧困の改善を意味しません。

 相対的貧困率は「貧困ライン」(等価可処分所得の順に国民を並べたとき中央にくる人の額の2分の1)に満たない所得の人の割合で、一般国民の所得が下がると「貧困ライン」も下がります。そうなると、これまで「貧困ライン」以下とされた人が収入などが同じでも「貧困ライン」の上にきてしまい貧困でないと数えられる―それが相対的貧困率低下の内実です。

 実際、日本の「貧困ライン」は1999年の157万円から2014年の133万円へと下がり続けています。経済協力開発機構(OECD)データでみるとアメリカ、イギリスなど6カ国の「貧困ライン」は大幅に上がっているのに、低下しているのは日本だけです。国会で安倍首相はこれを認めませんでした。

 この現実を見ない姿勢ですから、その典型が生活保護で食費や光熱費にあたる生活扶助費を10月から最大5%引き下げるという方針を出す始末です。

 10月からの扶助費引き下げの影響は?

【小森よしなお議員】

 食費や光熱費にあたる生活扶助費を最大5%引き下げる。利用世帯の67%が減額される。関市への影響は?

 【浅野健康福祉部長】

今回の見直しは、一般低所得者の消費実態との均衡を図り、生活扶助基準の見直しを行うものです。

 都市部では減額が大きく、地方は増額となるところが多いようです。また、激変緩和措置として3年間をかけて段階的に基準額を改正し、個々の生活扶助本体、母子加算等の合計が減額となる場合にも、現行基準から15%以内に留めるという事になっています。

 関市の影響ですが、国の算出方法で試算してみますと、全体の84%が増額となり13.2%が減額になります。

(もともと関市は、生活保護扶助費の基準が低い地域です)

 

福祉事務所への生活保護申請の現状は?

福祉事務所への生活相談者

 H27年度 122件

 H28年度 104件

 H29年度 117件

 生活保護の申請数

 H27年度  22件

 H28年度  35件

 H29年度  45件

  新規の生活保護受給者数

 H27年度  21件

 H28年度  32件

 H29年度  37件

生活扶助費5%削減の影響は

2018年5月末現在(生活保護世帯数 182世帯)

 182世帯の内訳

 単身世帯 153世帯(84.0%)

 2人世帯  23世帯(12.6%)

 3人以上世帯 6世帯( 3.3%) 

 

 国の算出方法で試算

 単身世帯(65歳~69歳の24世帯(13.2%))

 0.8%の減額となる。約500円ぐらい。

 単身世帯全体では全て増額となる。

 増減が無い世帯0円~約900円(約1.4%)

 母子世帯では約1.7%の増額

 3人以上世帯では最高で10.3%の増額

 最低でも1.3%の減額

 関市全体の扶助費の総合計 微増となる見込み

 

生活保護の捕捉率はどれだけか?

【小森よしなお議員】

 「生活保護利用わずか23%」という記事が載りました。

 生活保護基準以下の所得(収入から税、社会保険料などを差し引いたもの)で暮らす世帯が、2016年は705万世帯あり、そのうち実際に生活保護を利用していた世帯は22・9%(161万世帯)しかいないことが厚生労働省の推計でわかりました。この資料は、5月29日の参院厚生労働委員会に提出されました。

格差と貧困が広がるもと、国民の暮らしを守る最後のセーフティーネット(安全網)の周知徹底と利用しやすくするための制度改善が大きな課題であることが分かりました。

 厚労省の推計の公表は10年以来で、安倍政権では初めての事です。

 現行の生活保護は、所得が保護基準(最低生活費)以下でも、預貯金が最低生活費の1カ月未満とほとんどない場合でないと利用できません。この預貯金額を考慮した推計でも、預貯金がほとんどない保護基準以下の所得世帯のうち実際の保護利用世帯は43・7%にとどまりました。推計は、16年の国民生活基礎調査のデータをもとに行われたものです。07年の同調査を利用した前回(10年公表)との比較では、利用率は上昇していますが、低水準であることに変わりありません。

【浅野健康福祉部長】

 生活保護を受給するためには、所得が基準未満という条件の他にも貯蓄の要件、就労の要件、家族による扶養義務者がいらっしゃるかどうかなどや資産の要件など様々な要件を加味しながら、すべての条件をクリアする方を、対象者とします。これらの要件は、データーで判別するのが難しいのが現状です。ですから、関市の生活保護の捕捉率については現在把握していません。

 

スティグマの解消に努めよ

【小森よしなお議員】

 生活保護の捕捉率が低い理由について、専門の研究者らは、

(1)生活保護は恥”との意識(スティグマ)や生活保護バッシング

(2)制度の周知不足

(3)役所の窓口で生活保護申請を間違った説明で追い返す「水際作戦」―などの問題があることを指摘しています。

 このうち「スティグマ」については、国連社会権規約委員会も2013年、日本政府に対する勧告で「公的福祉給付に付随したスティグマを解消する目的で、締約国が国民の教育を行うよう」日本政府に具体的措置を求めています。

 『生活保護を利用することは恥ずかしいことではない。憲法25条にもとづく国民の正当な権利です』

 社会権規約委員会はまた、締約国に対して、公的福祉給付の手続きを簡素化し、申請が尊厳をもって扱われることを確保するための措置をとるよう求める。さらに、公的福祉給付に付随した「スティグマを解消する目的で、締約国が国民の教育を行うよう勧告」すると「スティグマ」と言われる意識をなくすことの重要性を指摘しています。

【浅野健康福祉部長】 

 生活保護制度は憲法第25条の理念にもとづいて、すべての国民に保障されている正当な権利であり、生活保護を受給することへの偏見があるとも聞いていますが、それを無くしてゆくということは当然必要なことと認識しています。関市としてもそのためには、そのためには生活保護をはじめ生活困窮者等に対する制度の周知に力を入れなければならないと思っています。、制度が利用しやすい環境づくりが必要と考えます。また民生委員、社会福祉協議会をはじめ関係機関等と連携し、「スティグマ」という事を思って、生活保護を必要とする方については確実に保護の適用を受けるよう制度の運用に努めていくことが大切と考えています。

 

「生活保護のしおり」の改善・充実を!

【小森よしなお議員】

 生活保護は最後のセーフティネットです。生活に困った方を確実に制度利用に導いていくことは、社会全体の安全網となっています。

 「昨年1月、小田原市の生活保護担当部署の職員が『保護なめんなよ』『不正を罰する』などと、保護利用者を威圧する言葉がプリントされたジャンバーを着て、保護利用世帯を訪問していた。それが10年間続いていた」と、社会問題として大きく報じられました。

 その後、小田原市では検討委員会が立ち上がり、委員の指摘を受け止め、生活保護行政の見直しが本格的に取り組まれています。その中で、生活保護のしおりも大幅に改善がされました。

 現在の関市の福祉事務所が使用している「保護のしおり」は、改善された小田原市のしおりと比べると、見直しすべき点が数多くあると思います。

 例えば、小田原市の「しおり」は、「要件があれば誰でも受けられる」ことや、国が「健康で文化的な最低限度の生活を保障する」ことを基本に、生活保護とはどういうものか、理解するうえでの根幹をなすものとして、しっかりと丁寧に書かれています。また「相談から保護開始までの説明と流れ」が分かりやすく記載されています。全6ページの「しおり」です。

 関市は緑色の2ページ1枚です。関市も生活保護の理念は書いてあります。しかし、「親、子、兄弟姉妹などから、援助を受ける努力を」「あなたの世帯にある資産、土地、家屋、自動車などで、保有が認められないものは、売却などの処分をして、生活費にあてる努力を」と努力義務ばかりが羅列してあります。

【浅野健康福祉部長】

 生活保護の担当窓口で、制度の誤解が生じないように、勤めています。H27年~H29年までの相談に対する申請数の割合は18%~38%の数字が出てきています。水際作戦はないと思う。 毎年県に監査をして頂いている。表現の仕方についても少し工夫をした方がいい箇所もある。相談者の視点にたち、先進地や他市の「しおり」等を参考に、改善したいと思います。