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ZENON Inc.

私はフィリピンに関連する多種多様な分野においてのコンサルティングを行なう「ZENON Inc.」という会社に属している。

Nurse・Caregiver、看護師・介護福祉士

2005年11月20日 | 看護師・介護福祉士
Nurse Station日本において看護師の絶対数不足が叫ばれて久しいが、その実情は今なお改善の傾向がみられない。それどころか、少子高齢化は恐るべき勢いで進んでいる。我が国の出生率は2007年の1.30台を底にその後反転し1.39で推移すると見られていたにもかかわらず、昨年発表された数字は1.29であった。これは若年人口の更なる減少とともに、高齢化社会への移行が加速度を増して進んでいることを意味する。特に医療・介護現場における看護師や介護士の不足は深刻なものであり、都市部は勿論、農村部においてはその質の確保以前の問題となっている。「年金改革」は医療を受ける側に対する医療費保障の観点から協議されたものであり、医療現場における医療体制に対して問題を解決せしめるものではない。もはや国内における人材の自給自足は不可能と判断せざるを得ない状況にまできているのだ。
我が国では、以前から特定の技術を有する優秀な人材を諸外国から招聘することを承認する制度が存在した。種々の分野において各企業は優秀な人材を海外から招聘し、彼らは大切な自社戦力としてその能力をいかんなく発揮し、企業活動に貢献している。該当する特殊技術の分類には医療分野の項目も存在していたが特殊分野ということもあり、病院レベルで海外人材の招聘が試みられてはいても、政府レベルでは海外戦力という考え方が全く未開拓といって差し支えない状況のまま今日に至っていた。

ところが昨年、この体制に大きな転換期が訪れた。半年に亘って日本とアジア各国との間でなされたFTA交渉の結果、「研修活動」としてフィリピンの看護師・介護福祉士を受け入れることにおいて日比間で合意がなされたのである。前述の通り、従来「日本における外国人労働者の受入範囲」に基づき許可されるVISAの項目には、「看護師」や「介護福祉士」は存在していなかった。現在、受入人数やフィリピンの自動車市場の開放・日本からの投資保護のための紛争処理制度等において詰めの調整が難航しているために、9月に予定されていた署名が遅れており協定の発効時期も来年半ば以降にずれ込む見通しとなっているが、AOTSによる今回のフィリピン人看護師・介護福祉士を対象とした日本語教育システムの整備や人員配置も今春から具体的に実施されるなど受入準備は着々と進んでおり、この合意は現在の日本における医療体制を大きく改善していく岐路となることであろう。
フィリピンのNurse・Caregiver(Care worker)といえば世界的には大変有名で、既に諸外国において優秀な人材が数多く活躍している。その国民性においては、敬虔なカトリック信者が多く、またその中でも介護福祉士・看護師を目指す人材はその使命に厚く、知識・技能レベルにおいては相当高いものがある。また、その教育カリキュラムは米国のものそのままを使用して大変ハイレベルな養成がなされている。 事実、現在多くのフィリピン人Caregiverがサウジアラビア・英国を始めとする28ヶ国余りにおいて活躍し、高い評価を受けている。

Trainingさらに先般、医療現場において朗報といえる規制緩和がなされた。従来は、仮に病院レベルで各種煩雑困難な手続きを経て海外の人材を招聘し関連教育施設で看護師養成を行っても、その施設が存在する地域外において職務に就かせることが不可能であった。これは看護師が不足し必要な地域・病院において自由にその人材を配置することができないという「絵に描いた餅」状態であったことを意味する。
これを撤廃し、しかるべき教育養成を受けて資格を取得した人材についてはどの地域の医療施設においても就労することが認められたのだ。これにより海外からの看護師招聘が更なる現実化を帯びてきた。

さて、これで海外看護師・介護福祉士招聘について政府レベルでの合意がなされたが、具体的にはその人材を海外から招聘・養成・就労に至るまで、どのような流れが必要になるのだろうか?
まずは、日本におけるフィリピン人看護師・介護福祉士就労の受入条件について見てみることにしよう。

① 海外現地のしかるべき教育機関において、しかるべき教育を修了したものであること
   (=知識・技術における基本的考え)
② 来日後、認可された看護師養成機関において資格取得のための教育・養成及び日本語教育
   を修了し、日本語検定と看護師国家資格を取得すること

これにより、日本における看護師・介護福祉士としての研修に伴う一定期間の就労が認められることになる。就労に関しては現状では週28時間を上限として、時間帯の制限もなく風俗営業と一部の規制業種を除く一般的な業種・職種に就くことができるとされている。
では、フィリピン人看護師・介護福祉士の招聘から研修就労に至るまで具体的には、どのような手順が必要になるのだろうか。

【フィリピンサイド】
● 現地提携機関における現地人材の発掘から養成(看護師・介護福祉士としての教育養成、及
   び日本語の習得)
【日本サイド】
● 人材招聘受入窓口による日本への受入手続、及び国内各医療施設への職業紹介・斡旋

FACTI1核となる優秀な看護師・介護福祉士人材の養成は勿論の事、その人材を無事日本へ招聘し就労できるようにするには数々の手続や申請が必要となり、またそれは許認可を受けた団体でしか扱うことはできない。またここでキーとなるのは、資格だけを有していてもフィリピン側における提携機関や各種ネットワークがなければ、優秀な人材を確実に安定供給することができないという点である。

そこで、我々の存在が真価を発揮する。各介護施設・医療機関に対し、人材という重要観点からそのソリューションをご提案する。海外からの人材招聘を成功させ貴重な戦力としてその専門職能力を発揮させるに至るには数々のステップが必要となる。 以下が簡単なフローである。

【フィリピンサイド】
① フィリピン政府認定養成機関による看護師・介護福祉士育成
② フィリピン送り出し側Foundationによる各種申請手続
③ 大使館によるVISA発給

【日本サイド】
④ 日本側職業紹介認可企業による人材受入各種申請手続
⑤ 入国管理局による審査と入国許可
⑥ 各医療機関併設の養成学校における看護・介護教育と研修就労
   *教育カリキュラムの期間プラス留年期間を算入できるので、
    看護師は最長3年間、介護福祉士は最長4年間が認められる
⑦ 日本の看護師・介護福祉士国家試験受験、資格取得
⑧ 3年間の在留許可(正式な有資格者としての医療・介護施設における就労)、以降継続更新可


我々が専任提携を結んでいるフィリピン政府認定養成機関は次の通りである。

STI College■STI, Inc.(System Technology Institute)
1983年創立の総合教育学校法人。フィリピン国内に100校、その他香港及びインドネシアにも展開するなど広域なナットワークを有し、看護・教育・経済からITまで、幅広い分野をカバーしている。

1994年に設立されたTESDA(技術教育技能開発庁)は、フィリピン政府の職業訓練機関として無数の顧客に対して効果的及び効率的にサービスを提供できるよう産業界及び多くの職業訓練施設と協力し、最高の人材を達成する戦略とプログラムの開発を展開している。
そのTESDAの認定を受け、国内屈指の規模・内容・実績を持つ同校は、Nurse・Caregiver教育養成に尽力し、長年に亘り優秀な人材を輩出し、その修了生達は国内は勿論、諸外国においてもその能力をいかんなく発揮し、最前線の舞台で活躍している。
昨秋に東京のメディカルスタッフ人材サービス会社とこのSTI, Inc.が業務提携を締結したニュースについては医療業界関係者各位であればご存知のことだと思うが、この提携はMakatiエリアにおけるものであり、我々はCubaoエリアにおいてパートナーシップを結んでいる。
また、STI, Inc.は人材派遣業務部門を姉妹カンパニーの GROW, Inc.(Global Resource for Outsourced Workers)に委ねており、そういった意味でGROW, Inc.と我々の間での業務提携となっている。

FACTI2■Foundation for Advanced Concepts in Training, Inc.(F.A.C.T.I.)
各方面における国際的に通用する高度な技術習得に向けた、規模・システム・実績のどれをとってもフィリピンで最も信頼のおける政府認可の総合養成機関のひとつである。さまざまな分野の中でも、特に介護方面に力を注いでいる(写真は理事長のElizabeth P. Nieva)。
経験豊富な優秀講師陣、充実した教育・実習設備を擁し、更には昨年の日比間FTA交渉合意のずっと以前より、日本での需要を見据えて日本語教育カリキュラムを組み込んだ非常に高度な教育を実施してきた。


我々はこのFTA交渉によりフィリピン人看護師・介護福祉士が注目を浴びる以前、3年余り前から日本へのフィリピン人看護師・介護福祉士招聘というこのプロジェクトに取り組んできた。上記のようなフィリピンサイドでの信頼のおける経歴と規模を有した教育機関との専属提携及び相応の日本語能力と看護・介護技術の既存有資格者の確保、我々独自のグループの送出側人材派遣会社(International Promotion)及び正式ルートの整備、そして日本サイドにおける専用人材派遣会社(当案件は職業紹介の対象となるので、正式には「民営有料職業紹介業」である)をグループ内で複数設置するなど、求められるであろう基準条件をクリアする優秀なフィリピン人看護師・介護福祉士を招聘対象者として直ちに招聘することが可能な状況を既に整えている。また、単に招聘作業に終始してしまうのではなく、アスリート招聘における代理人のケースと同じく、招聘する人材の心のケアを含めた生活環境における相談に対するフォローリング体制を確立しておくことも肝要である。

受入人数や研修受入に際し求められる日本語能力・就労に関する詳細規定等、両国間における最終署名に向けてまだ詳細における協議決定を待たなければ確定しない規定や条件があり、また日本国内での業界関係諸団体においても賛否両論が渦巻いているのも事実である為、様々な角度からの調整が必要であるのは必至であるが、全体的な方向性からすれば着実に実施の方向で進んでいる。

フィリピン人看護師・介護福祉士が外国人スペシャリストとして政府に招聘を認められた(=方針として)今、顕在化した少子超高齢化が看護師や介護福祉士の絶対数不足という医療・介護現場が直面している現実の危機に対し、「フィリピンナース・ケアギバー」というキーワードが医療を受ける側にとっても提供する側にとっても、安心できる医療を確保・維持するための画期的なソリューションとなることであろう。 それはまた、今日本の医療に求められているスピリチュアリティそのものであり、きっと新風を吹き込むことであろう。医療現場関係者各位にとっては勿論初の試みとなるが、対フィリピンという分野に精通した我々が医療・介護現場改革の強力なバックアップをお約束する。


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