K-BALLET『海賊』3/6/2010（大阪）

写真は、終演後に楽屋口にて撮影させていただいた
ランケデム役　橋本直樹さんです。

キャスト
メドーラ：荒井祐子　Yuko Arai
コンラッド：遅沢佑介　Yusuke Osozawa
アリ：熊川哲也　Tetsuya Kumakawa
グルナーラ：松岡梨絵　Rie Matsuoka
ランケデム：橋本直樹　Naoki Hashimoto
ビルバント：ビャンバ・バットボルト　Byambaa Batbold
サイード・パシャ：ルーク・ヘイドン　Luke Heydon

ギリシャの少女達
神戸里奈、白石あゆ美、浅野真由香、日向智子、井上とも美、中村春奈、
松岡恵美、中谷友香

海賊の男達
西野隼人、ニコライ・ヴィユウジャーニン
伊坂文月、荒井英之、内村和真、合屋辰美、長島裕輔、奥山真之介

物乞い
星野姫、酒匂麗

パ・ド・トロワ
1st　東野泰子
2nd　樋口ゆり
3rd　副智美

鉄砲の踊り
中島郁美
並河会里、木島彩矢花
西野隼人、ニコライ・ヴィユウジャーニン

三度目の正直で、哲也アリをやっと見ることができました。
幸いながら初演時の残像というものが私にはありませんので、
心おきなく哲也にBravoを贈って帰ってきたのでした。

荒井さんのメドーラは前回にも見ましたが、今回はよりしっとりと、
身体のラインが美しく映えていました。荒井さんはずっと哲也の
パートナーとして踊ってきていますので、あ、うんの呼吸のような
ケミストリーも感じることができました。今日の、荒井さんの
メドーラはとってもよかったです。

そして、前回と前々回合わせて三人のアリが同じ舞台に乗った、
ただ一度の日が今日。
初演の時にカンパニーの危機を救った橋本さんがランケデム、
再演時に代わった遅沢さんがコンラッド。
男性ダンサーとしては申し分のないキャスティングが実現したのでは
ないでしょうか。
とはいえ、「哲也のアリ」と「遅沢さんのコンラッド」が並ぶと、
やはり舞台上での存在感というか、迫力というか、その辺が物足りない
気がしなくもない。ただ、踊りそのものは豪快で、しかも
メドーラに首ったけになっている海賊のドンっていうイメージもぴったり。
アリが哲也じゃなかったら、完全にハマるんだろうなぁ・・・。

すっごくよかったのが、橋本さんのランケデム。鞭を振りまわすところから、
少女たちをかっさらっていく場面の目線のヤらしさ(誉めてます)、
グルナーラやメドーラをパシャに進めるところのヤらしい目線と
歯を見せてニヤニヤするあたり、完全に役を自分の物にしてますね。
いや、誉めてるように思えないんですけど、誉めてます(汗)。
輪島さんのランケデムが好きでしたが、橋本さんのランケデムの
目線とか指先とか、まさにランケデムでした。うん。誉めてます。

あと、良かったのは西野さんとニコライさんの踊り。
コンラッドたちが帰ってきて、海賊の男たちが踊るところでも
ハッと目がひきつけられるような、ラインの美しさでした。
物乞いの姫ちゃんはカワイイ。が、絹恵さんの残像がどうも・・・。

トロワですが、東野さんはキレイに踊ってました。靴音もしないし、
音も取れてました。で、これがプリンシパル？うーん。
樋口さんは、ヴァリエーションの最後にルルヴェでぴたっと止まれないのが
残念。副さん、見るたびに足捌きが饒舌になってきてます。

オケは、今日は取り立ててどなりたくなるような破綻はありませんでした。

というわけで、今日はこの辺で・・・。明日に備えて寝ます。zzz...


と思いましたが、哲也ネタもちょっとだけ。

メドーラとコンラッドとのパ・ド・トロワでアリのヴァリエーションが
終わった時、哲也はそのまま振り返ろうとしない。忠実な羊たち(観客)
がBravoの嵐を浴びせ、拍手が地鳴りのように響いた時にニヤッと笑って
やっと振り返ってレヴェランスをしたのでした。あぁ、哲也らしいな、と。

海賊の男達に混じって踊っても、誰よりも高くシャープに跳んで、
誰よりも綺麗に回る。しかもブレがない。そして、そこにいるだけで
会場を巻き込んで熱狂させる存在感。やっぱり哲也は代えの効かない、
唯一無二の人なのですね。
ですが、ヴァリエーション＆コーダ？をこなした後、息を整えるのに
時間がかかってしまっていました。少なくとも、4年前の『ドン・キ』の
時はこんなに時間かけてなかったのに。
あぁ、この人も最終コーナーにさしかかっているのかなぁ、と
切なくなったのでした。今日のパートナーが荒井さんでよかったです。

さて、明日。ちゃんと見届けてきたいと思います。

初演時の感想がこちら、再演時の感想はこちらにありますので、
よろしければご参考になさってください。