Flour of Life

煩悩のおもむくままな日々を、だらだらと綴っております。

映画「彼の見つめる先に」感想

2018-07-05 13:18:21 | 映画


7月1日の映画の日に、ホールソレイユで「彼の見つめる先に」を見ました。
高校生の男女3人のひと夏を描いた、ブラジルの青春映画です。

主人公のレオは盲目で、過保護気味の両親、優しいおばあちゃん、いつもそばにいてくれる幼なじみのジョヴァンナに囲まれて暮らしている。
レオの夢は誰かとはじめてのキスをすることと、海外に留学すること。ある日、クラスに転校生のガブリエルがやってきて、レオとジョバンナはレオの目が見えないことを気にせず接してくれるガブリエルと親しくなっていく。しかし、ガブリエルと一緒に過ごすことで、3人の気持ちはしだいに変化していき…


100分にも満たない短めの映画でしたが、必要最低限な要素以外はそぎ落として、かつ重要な部分は丁寧に描かれているという、とてもいい映画でした。ここ最近、同性愛を題材にした映画をいくつか見ましたが、その中で一番、見終わって明るくて前向きな気持ちになれる映画でした。

私がこの映画を見るきっかけは、同性愛がテーマだから…ではなく、予告を見た時に、ベル・アンド・セバスチャンの曲「トゥー・マッチ・ラヴ」が劇中で使われていることを知ったからです。ベル・アンド・セバスチャンのアルバムは、この曲が収録されている「わたしのなかの悪魔」しか持っていませんが、それで逆に運命を感じて、興味がわいたのです。いやー、何がきっかけになるかわかりませんね。映画の中でのこの曲の使われ方は、思っていたよりもったいぶったものではなく割とあっさりしていたのですが、自分の好きな音楽を相手も好きになってくれたら、相手の好きな音楽を自分も好きになれたら、嬉しいよねー恋しちゃうよねーと共感出来て、心に沁みるものがありました。遠い遠い、はるか昔の自分の青春時代を思い出してつい涙が…いや、流れるほどのピュアさはもう持ち合わせていませんが、うんうんわかるわかる、という気持ちにはなりました。

主人公レオを演じたジュレルメ・ロボは、公式サイトのプロフィールによると子役出身の実力派だそうで、盲目の演技があまりに自然なので、知らずに見ていた私は実際に目が見えないのだと勘違いしていました。ブラジルの映画が日本で公開されることはそんなにないので、他の出演作を見ることが難しいのが残念です。レオナルド以外の彼も見てみたいです。

ガブリエルに惹かれていくレオを見て、寂しさを覚えるジョヴァンナの姿は、子離れできない母親のようでもあり、こじらせると厄介なことになるだろうなと心配しましたが、まさかウォッカ一気飲み&リバースから三角関係が解決するとは思いもよりませんでした。レオの母親役から解放されることとガブリエルへの失恋を同時に経験した彼女はどうなるのかしら…と思った矢先に新たな転校生が出現したのはちょっとおかしかったです。この学校、転校生多すぎやしないか、と。

お国柄なのかわかりませんが、新鮮だったのが、クラスの女王様的存在のカリーナと、ことあるごとにレオをからかっていた金髪少年(名前忘れた)の描かれ方でした。転校生のガブリエルにアプローチするカリーナはレオのライバルにあたるわけだけど、トータルで見ると嫌味なキャラでもなく、恋に積極的なごく普通の女の子で、金髪少年については映画終盤までのレオへのいじり方がひどくてほんとにムカついていたにも関わらず、最後の最後で見せたリアクションでそれらがチャラになってしまいました。もしかして君もレオのことが…?って一瞬疑ったけど、それはちょっと短絡的すぎるかな。金髪少年のやることなすことに腹を立てていたはずなのに、そんな彼でも同性愛者に対する偏見は持ってないんだと知って驚きました。レオがゲイだと公言すれば、今度はそれをからかうだろうと勝手に思い込んでいた自分が恥ずかしくなりました。まあ、ひやかすくらいはしそうな気もしますが。


さて、今月末には高松のホールソレイユで「君の名前で僕を呼んで」が上映されるので、再度見に行くつもりですが、5月に東京で見た時と、この「彼の見つめる先に」を見た後では感想が少し違ってきそうです。東京ではパンフレットが買えなかったので、ホールソレイユで買って読んで、それから映画を見直すのが楽しみです。原作も読んでみようかな?


コメントを投稿