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ミーターの大冒険 第九部 エピローグ 第8話 シンナックスのブルー・ラグーン

2023-02-01 18:53:21 | エピローグ
190第8話シンナックスのブルー・ラグーン
ミーターの大冒険
第九部
エピローグ
第8話

シンナックスのブルー・ラグーン

あらすじ

 ファウンデーション暦492年(西暦25059年)末、いよいよミーターとイルミナを載せたファー・スター2世号は太陽系の第4惑星の火星でついに、待望のダニール・オリヴォーに面会できた。

 それからダニールの月面基地から地球の放射能除去溶液と装置の準備を調(ととの)えて地球に降下して行った。

 人類の故郷の星系。懐かしい星、地球。
 
 かつて、カビレ星系と言われていた太陽系。かつてアタカナと言われていた地球。

 R・ミーター・マロウは、不死の従僕ダニール・オリヴォーに助けられて、主人アルカディアの志しをいまや成就させようとしていた。

 彼らの地上での行動はミーターは別として、2時間と制限されていた。

 そのイルミナのリードによって北上したアース・オービターは、無事にニフのフニ山頂上に着いた。

 放射能除去に必要なポニェッツ仕様のラヴェンダーエキスとオーストラリア産のデオライトの混入液を水蒸気発生装置でフニ山頂から昇化させ、地球上の各地山頂から同様に実施させていった。

 案の定、双子座流星群は降ってきた。この年は例年とは違い、幸運にも何ヵ月も継続した。

 流星群は成層圏に拡散している特殊水蒸気の雲に注ぎ、水蒸気を雨化させ、地上に雨を降らせ始めた。

 ミーターは、北アメリカ大陸の頂き、南アメリカの頂きを踏破し、残るはアフリカ大陸、ユーラシア大陸、オーストラリア大陸をも踏破していった。

 その間にイルミナは、アルファのモノリーさんのお土産である粉末の分析が完了していた。

 その粉末の正体は、ナノサイズに加工した地球上のほぼ全種類の植物の種だった。雨が降れば、地球の緑化が再生する。

 ミーターがその特殊蒸気発生機の最終段階で、かつてオーストラリア大陸と呼ばれていた地域のタウンゼント山頂で早朝シルクベットから起き上がった時だった。しっかりとして威厳のある響きが頭上からあった。

 ダニールはミーターに、2つの任務を依頼した。

 地球の古代の伝説「ノアの方舟」にあるような大量な雨が1ヶ月以上も地表に降り注いだ。

 その結果、大気中の放射能濃度は、驚くほど減少していった。

 1番目のダニールからの任務依頼を終了後、ミーターは、約束していたミーターはニフの中央東に位置する海岸から切り立った小高い山頂に夜明け前に到着した。

 そこにダニールとペイリー・リャン(当時19歳)が待ち受けていた、3人は、海中から浮かび上がる緑色の光を目撃する。

 それからほどなく、東の水平線上に陽が昇って来た。

 ダニールは、ミーターに「カビレ」の本当の意味を解き明かす。そして地球放射能除去の段階の終了を宣言する。

 ダニールはミーターに幼女ペイリー・リャンをミーターにファー・スター2世号の新メンバーに加えてもらうよう頼む。

 彼らは、アルカディアの残りの悲願に向かってファー・スター2世号に改めて乗り込む。

 ミーターは、自分の胸ポケットの秘密を隠しながらも、ペイリーのイヤリングに注意がいく。

 ペイリー・リャンはまた彼女の名前の由縁も解き明かす。

 そこから、イルミナの歴史消滅以前の情報量が異常に増えはじめ、またたくまに全銀河の図書館にそのデータを拡散させていった。

 イルミナの歴史消滅からの復興という大事業の伸展の裏で、彼女のホントの正体を遠回しに吐露する。

 ミーターは、それに知ってか知らずにイルミナに向かって、「アルカディアの魂君」と呼んだ。

 新たな旅がはじまろうとしていた。
 このとき旅には小さな夢も、第一歩からはじまって、次の一歩を踏み出すのも「真摯さ」が大事であろう。
 しかし、それは素晴らしい旅となることには違いないが、その旅には終わりがあろうともなかろうともそれを一歩一歩味わうことに意味がある。
 彼らの帰途、ガール・ドーニックの故郷惑星、シンナックスに立ち寄り、3人(?)は、長旅のバカンスを取ることにした。

190

イルミナ ミーター、もうペイリーさんはこの島と海になじんで、ずっと前からここに住んでいるように見えますね。

ミーター ブルー・ラグーンね。この星はなんて海が綺麗なんでしょう!もともとこんな世界だったのかな?

イルミナ データでは、この星に入植した最初のニフ人は、地球の最高の景色と海のある惑星を探し当て、さらにニフ人の好みに気候と景観を変えていった、とされているわ。
 それをニフ人たちは、「宇宙潮流に導かれた」と謙虚な表現をしているわ。
 素晴らしい性向ですね。
 
ミーター これがペイリーさんが言った人間の「真摯さ」の色かもしれないな。
 ターミナスのベリス岬やカルガンの浜辺も綺麗だったが、ここの海の色は格別だ。青とも緑とも見える。

イルミナ そうね、この色が、アルカディアさんが言った「鶸色」なんじゃないんですか。素晴らしいわ。

ミーター この海の色はどうして生まれたのかわかるか、イルミナ?

イルミナ そうですね、密林からのマングローブの川が珊瑚礁にぶつかってできたみたいです。

 水の真摯さ、海の薫り、っていうか。

ミーター そう、ガールのご人格は、この美しい世界の写し鏡なんだな。純朴でありながら深い味わいのある。彼の証古学の有り様が偲ばれる。

イルミナ そうなんですよ、ペイリーのパパはガールと対面した時、ガールの学識以上に彼の心の優雅さに圧倒された、とガールの伝記を再発見したベイタさんは、書いてるわ。

 ガールの証古学と言っても、先祖のことばかりでなく、未来から現実を透視する原理も含められているのですから。

ミーター 我らのターミナスの星全体もここシンナックスの写しが土台と聞いている。

 そして、...。

ペイリー ミーターさん、そして、何ですか?

ミーター いつからここに?さっきまで浜辺ではしゃいでいたのに!

 そう、そして、・・・、この海は、また宇宙潮流にのって、外銀河に流れて、繋がっているように思える。すべてが終わりのないプロセスのひとこまのように、ね!
 
 全銀河も全宇宙もこんな綺麗で穏やかなラグーンのようであってもらいたいものだ!

イルミナ そうですね、でもミーターさん、なんか、悪い予感がするんです。
 ターミナスは、私たちが、出発した時よりもっと全体主義が深刻になっているのかもしれません。

ミーター イルミナ、実は俺もそう感じているんだ。
 ハニスさんが無事であってほしい。
 イルミナ、残念だが、バカンスはここいらで切り上げて、ファー・スター2世号に戻ろうか。

https://youtu.be/XPwYIEbpW0U


ミーターの大冒険 第九部 エピローグ 第7話 蝶番

2023-01-31 18:19:07 | エピローグ
189第7話蝶番
ミーターの大冒険
第九部
エピローグ
第7話

蝶番

あらすじ

 ファウンデーション暦492年(西暦25059年)末、いよいよミーターとイルミナを載せたファー・スター2世号は太陽系の第4惑星の火星でついに、待望のダニール・オリヴォーに面会できた。

 それからダニールの月面基地から地球の放射能除去溶液と装置の準備を調(ととの)えて地球に降下して行った。

 人類の故郷の星系。懐かしい星、地球。
 
 かつて、カビレ星系と言われていた太陽系。かつてアタカナと言われていた地球。

 R・ミーター・マロウは、不死の従僕ダニール・オリヴォーに助けられて、主人アルカディアの志しをいまや成就させようとしていた。

 彼らの地上での行動はミーターは別として、2時間と制限されていた。

 そのイルミナのリードによって北上したアース・オービターは、無事にニフのフニ山頂上に着いた。

 放射能除去に必要なポニェッツ仕様のラヴェンダーエキスとオーストラリア産のデオライトの混入液を水蒸気発生装置でフニ山頂から昇化させ、地球上の各地山頂から同様に実施させていった。

 案の定、双子座流星群は降ってきた。この年は例年とは違い、幸運にも何ヵ月も継続した。

 流星群は成層圏に拡散している特殊水蒸気の雲に注ぎ、水蒸気を雨化させ、地上に雨を降らせ始めた。

 ミーターは、北アメリカ大陸の頂き、南アメリカの頂きを踏破し、残るはアフリカ大陸、ユーラシア大陸、オーストラリア大陸をも踏破していった。

 その間にイルミナは、アルファのモノリーさんのお土産である粉末の分析が完了していた。

 その粉末の正体は、ナノサイズに加工した地球上のほぼ全種類の植物の種だった。雨が降れば、地球の緑化が再生する。

 ミーターがその特殊蒸気発生機の最終段階で、かつてオーストラリア大陸と呼ばれていた地域のタウンゼント山頂で早朝シルクベットから起き上がった時だった。しっかりとして威厳のある響きが頭上からあった。

 ダニールはミーターに、2つの任務を依頼した。

 地球の古代の伝説「ノアの方舟」にあるような大量な雨が1ヶ月以上も地表に降り注いだ。

 その結果、大気中の放射能濃度は、驚くほど減少していった。

 1番目のダニールからの任務依頼を終了後、ミーターは、約束していたミーターはニフの中央東に位置する海岸から切り立った小高い山頂に夜明け前に到着した。

 そこにダニールとペイリー・リャン(当時19歳)が待ち受けていた、3人は、海中から浮かび上がる緑色の光を目撃する。

 それからほどなく、東の水平線上に陽が昇って来た。

 ダニールは、ミーターに「カビレ」の本当の意味を解き明かす。そして地球放射能除去の段階の終了を宣言する。

 ダニールはミーターに幼女ペイリー・リャンをミーターにファー・スター2世号の新メンバーに加えてもらうよう頼む。

 彼らは、アルカディアの残りの悲願に向かってファー・スター2世号に改めて乗り込む。

 ミーターは、自分の胸ポケットの秘密を隠しながらも、ペイリーのイヤリングに注意がいく。

 ペイリー・リャンはまた彼女の名前の由縁も解き明かす。

 そこから、イルミナの歴史消滅以前の情報量が異常に増えはじめ、またたくまに全銀河の図書館にそのデータを拡散させていった。

 イルミナの歴史消滅からの復興という大事業の伸展の裏で、彼女のホントの正体を遠回しに吐露する。

 ミーターは、それに知ってか知らずにイルミナに向かって、「アルカディアの魂君」と呼んだ。

 新たな旅がはじまろうとしていた。
 このとき旅には小さな夢も、第一歩からはじまって、次の一歩を踏み出すのも「真摯さ」が大事であろう。
 しかし、それは素晴らしい旅となることには違いないが、その旅には終わりがあろうともなかろうともそれを一歩一歩味わうことに意味がある。

189

ミーター ヴォイジャー1号、なんという素朴でいたいけな天体なんだな!
 ファー・スター2世号に結束させて一緒にジャンプ・ワープさせてあげたいくらいだ。

イルミナ そうね、ミーターさん、そのお気持ちはわかりますよ。でもそっとそのままにしておくことにしましょう。当然ミーターさんは、そのつもりでしょうけど。
 
ペイリー パパはいつも言ってました。
 「果たして、ジスカルドと私(ダニール)が選択した決断(人類の歴史消滅)は、本当に正しかったのであろうか」ってね。
 「ペイリー、もしかしたら、我々がした歴史消滅をしなかったら人類はおそらく滅んでいたろうが、それでよかったのかも知れない」ともね。

イルミナ そうだわね、でも、こうやって、もう一回の地球の復興に私たちは遭遇できました。

ミーター いいや、まだ早いぞ。そう断言するには。これからも、地球文明は何回も全滅の危機に遭遇するはずだ。人類の知恵は、そうやって挑戦を受け、試される。

イルミナ 言われる通りですね。同感です。

 銀河帝国の復興も同じですね。
 そんな時、あのファウンデーションが生み出され、最小は小さな始まりでしたが、今やっと500年後にハリやガールの念願が叶いはじまりました。

ミーター いう通りだ。俺らは、ハリとガールの念願を、彼らの意図通りに完遂させてきたに過ぎない。決して俺らだけの力ではなかった、ということは肝に命じなくてはならないんだ。

イルミナ そうです。私たちは、ただ、ハリやガールの志しをアルカディアさんに繋がるご先祖様たちの面々に尊い糸を繋げてきただけですから。

 いわば、人類の願いの「蝶番」の役割としてですね。

 思い出したわ、ミーターさん。
 あなた、私の質問に答えてないことがあります。

ミーター 慌てるな、イルミナ。今から話すから。
 ガールの蝶番の役割とアルーリンの蝶番の役割の違いだろう?

イルミナ その通りよ。お願いしますわ、ボス。

ミーター ここにいるペイリーさんは、全グループとの蝶番だよな。
 とくにそのなかでもロボット第零グループとガイアの蝶番だ。
 
 アルーリンは、第1ファウンデーションと第2ファウンデーションとの中継ぎをしたばかりでなく、ハーディンの娘グレディアをドースさんの養女として薦めたように、アルカディアに繋がる女系家族を支えてきた。
 そればかりではない。オリンサスさんが再発見したピレンヌの銅像の内部構造がちょうど500年後に、極素輻射体がリセットするようにさせていた。
 まさにファー・スター2世号とイルミナと、この俺を結びつけてくれたと言っても過言ではない。

 そしてガール・ドーニックの蝶番としての役割とは、まず第1ファウンデーションとハリ家(アルカディアに繋がる)との結束だ。
 それから、ガイアの可能性を、例の「ジョン・ナック」の掘り起こしによって、ハリの「心理歴史学」を微調整して、発展させたんだ。彼の「証古学」は、未来と外宇宙(銀河系外)への展望を人類に提供したんだ。
 そして、「反陰陽」という、宇宙像をハッキリと呈示してくれているのだよ。

 因みにこの俺っていうと、彼らの高邁な理想と今とを繋ぐ蝶番の役なんだよ。それでダニールは、それをするように俺をプッシュした。
 天下一の「翻訳・通訳」ロボットだからな俺は。

イルミナ 素晴らしいですね。

ペイリー じゃあ、こう言うことね。今までお聞きした話しを纏めますと、
 ターミナスに行ったら、まず、ジスカルド・ハニスさんを助けて、第1ファウンデーションをしかるべき本来の姿に建て直し、第2ファウンデーションとの絆を再構築させるってことね!

イルミナ そして第1ファウンデーションから私たちの後発隊を陰ながら出立させる、ということですね。

ミーター そうそう、「陰ながら」っていうのが、重要なポイントなんだ!
 その点では、俺らはダニールに見習って、秘密裏にすすめなくてはならない。
 ペイリーさんには是非、ダニールの知恵で俺らを支えてもらいたい。

ペイリー お役にたてられますように心がけます。
 パパはいつも私たちに諭してくれました。第零法則の真髄とは「真摯さ」、だって。「人間であるお前も、この真摯さが生きる芯になり、それが人類社会の絆の原動力になる」だって!

ミーター 真摯さ、か!


ミーターの大冒険 第九部 エピローグ 第6話 ヴォイジャー1号

2023-01-30 19:17:56 | エピローグ
188第6話ヴォイジャー1号
ミーターの大冒険
第九部
エピローグ
第6話

ヴォイジャー1号

あらすじ

 ファウンデーション暦492年(西暦25059年)末、いよいよミーターとイルミナを載せたファー・スター2世号は太陽系の第4惑星の火星でついに、待望のダニール・オリヴォーに面会できた。

 それからダニールの月面基地から地球の放射能除去溶液と装置の準備を調(ととの)えて地球に降下して行った。

 人類の故郷の星系。懐かしい星、地球。
 
 かつて、カビレ星系と言われていた太陽系。かつてアタカナと言われていた地球。

 R・ミーター・マロウは、不死の従僕ダニール・オリヴォーに助けられて、主人アルカディアの志しをいまや成就させようとしていた。

 彼らの地上での行動はミーターは別として、2時間と制限されていた。

 そのイルミナのリードによって北上したアース・オービターは、無事にニフのフニ山頂上に着いた。

 放射能除去に必要なポニェッツ仕様のラヴェンダーエキスとオーストラリア産のデオライトの混入液を水蒸気発生装置でフニ山頂から昇化させ、地球上の各地山頂から同様に実施させていった。

 案の定、双子座流星群は降ってきた。この年は例年とは違い、幸運にも何ヵ月も継続した。

 流星群は成層圏に拡散している特殊水蒸気の雲に注ぎ、水蒸気を雨化させ、地上に雨を降らせ始めた。

 ミーターは、北アメリカ大陸の頂き、南アメリカの頂きを踏破し、残るはアフリカ大陸、ユーラシア大陸、オーストラリア大陸をも踏破していった。

 その間にイルミナは、アルファのモノリーさんのお土産である粉末の分析が完了していた。

 その粉末の正体は、ナノサイズに加工した地球上のほぼ全種類の植物の種だった。雨が降れば、地球の緑化が再生する。

 ミーターがその特殊蒸気発生機の最終段階でかつてオーストラリア大陸と呼ばれていた地域のタウンゼント山頂で早朝シルクベットから起き上がった時だった。しっかりとして威厳のある響きが頭上からあった。

 ダニールはミーターに、2つの任務を依頼した。

 地球の古代の伝説「ノアの方舟」にあるような大量な雨が1ヶ月以上も地表に降り注いだ。

 その結果、大気中の放射能濃度は、驚くほど減少していった。

 1番目のダニールからの任務依頼を終了後、ミーターは、約束していたミーターはニフの中央東に位置する海岸から切り立った小高い山頂に夜明け前に到着した。

 そこにダニールとペイリー・リャン(当時19歳)が待ち受けていた、3人は、海中から浮かび上がる緑色の光を目撃する。

 それからほどなく、東の水平線上に陽が昇って来た。

 ダニールは、ミーターに「カビレ」の本当の意味を解き明かす。そして地球放射能除去の段階の終了を宣言する。

 ダニールはミーターに幼女ペイリー・リャンをミーターにファー・スター2世号の新メンバーに加えてもらうよう頼む。

 彼らは、アルカディアの残りの悲願に向かってファー・スター2世号に改めて乗り込む。

 ミーターは、自分の胸ポケットの秘密を隠しながらも、ペイリーのイヤリングに注意がいく。

 ペイリー・リャンはまた彼女の名前の由縁も解き明かす。

 そこから、イルミナの歴史消滅以前の情報量が異常に増えはじめ、またたくまに全銀河の図書館にそのデータを拡散させていった。

 イルミナの歴史消滅からの復興という大事業の伸展の裏で、彼女のホントの正体を遠回しに吐露する。

 ミーターは、それに知ってか知らずにイルミナに向かって、「アルカディアの魂君」と呼んだ。

188

ミーター イルミナ、アルカディアの悲願の一つがこれで成就した。アルカディア自身、不死の従僕様に会いたいと言ってたんだ。
 イルミナ、お前って、コンポレロンの時に起きた自己覚醒で、ダニール・オリヴォーの精神と直結して、人類歴史消滅の大転換を成し遂げたんだ。ダニールは、俺にしてみれば、人間以上に人間らしい存在だ。そのダニールとアルカディアの精神合一によってなされたのだ。
 おかげでこれから銀河全体に亘って徐々に歴史消滅以前の地球文明、銀河文明の知識と情報が、ながい眠りから呼び覚まされたように回復していく。
 お見事で、感無量だ。有り難う、イルミナ、いや、アルカディアの魂!

 それに、ダニールの代理人、ペイリーさんがお前の側にいて、証人となってる。

 俺たちの次なる仕事が待ってる。

イルミナ どういたしまして、ミーターさん。
 私は、当然のことを精一杯やっただけです。
 おおかたは、ペイリーさんのパパさんと、ミーターさんのお手柄です、ボス!

ミーター お互い誉めあってどうする!

ペイリー ミーターさん、私たちの次なる使命とは?
 
ミーター それはだな、混沌に化した銀河の復興、新しい生命観の現出だ。それは星々間の様々な軋轢の克服、人々の精神的退廃、戦争の悲劇、病気、貧困からの回復。無秩序からの解放。
 そのためにはまず、第1ファウンデーションと第2ファウンデーションの絆を回復させることが先決だ。
 それから、他の星々もそれぞれ誇りのある自立した存在として他の星々と協調していくこと。

イルミナ 大変広大な使命ですこと。

ペイリー それで、ミーターさん、どこからはじめるのですか?

ミーター うん、それを話す前に、俺ら、今どこいら辺にいるかわかるか、イルミナ?

イルミナ 只今ファー・スター2世号はオールトの雲を抜けて、シリウスに向かっています。

ミーター そうか、それで、イルミナ、ちょうど俺らが光速に近い超高速走行に一時ストップをかけて、その小さな天体を目撃、遭遇できるかも知れない。
 分かるか、イルミナ?

イルミナ そうだわね、ヴォイジャー1号じゃないんですか、ミーターさん?

ミーター そうだ、ヴォイジャー1号だ。俺ら3人を待ってる地球からの贈り物だ。地球文明の悲願。太陽系外への通信。新たな銀河の希望のシンボルだ。

イルミナ よくご存知でしたね。そのことをどうやって分かったのですか?

ミーター メルポメニアの苔の下に隠れていた図書館のなかの蔵書に記されていた。
 それを覚えていたんだ。

 ヴォイジャー1号の速度では、シリウスからアンドロメダ銀河に向かって何億年かかるか知らないが、一直線に移動する「新しさの象徴」。
 それに挨拶して、拝んでからでも、俺らが帰るターミナスは待っててくれるはずだよ。

ペイリー ミーターさん、私たちはターミナスに行くんですね!今の銀河で一番素晴らしい、と聞いてる。

ミーター ペイリーさん、素晴らしいかどうかは分からないが、残念ながら、銀河の一番端だ。ここからだいぶ遠い!

https://youtu.be/A5ddeoMl1fg


ミーターの大冒険 第九部 エピローグ 第5話 異民族の相違はありがたいものである

2023-01-30 04:39:06 | エピローグ
187第5話異民族の相違はありがたいものである
ミーターの大冒険
第九部
エピローグ
第5話

異民族の相違はありがたいものである

あらすじ

 ファウンデーション暦492年(西暦25059年)末、いよいよミーターとイルミナを載せたファー・スター2世号は太陽系の第4惑星の火星でついに、待望のダニール・オリヴォーに面会できた。

 それからダニールの月面基地から地球の放射能除去溶液と装置の準備を調(ととの)えて地球に降下して行った。

 人類の故郷の星系。懐かしい星、地球。
 
 かつて、カビレ星系と言われていた太陽系。かつてアタカナと言われていた地球。

 R・ミーター・マロウは、不死の従僕ダニール・オリヴォーに助けられて、主人アルカディアの志しをいまや成就させようとしていた。

 彼らの地上での行動はミーターは別として、2時間と制限されていた。

 そのイルミナのリードによって北上したアース・オービターは、無事にニフのフニ山頂上に着いた。

 放射能除去に必要なポニェッツ仕様のラヴェンダーエキスとオーストラリア産のデオライトの混入液を水蒸気発生装置でフニ山頂から昇化させ、地球上の各地山頂から同様に実施させていった。

 案の定、双子座流星群は降ってきた。この年は例年とは違い、幸運にも何ヵ月も継続した。

 流星群は成層圏に拡散している特殊水蒸気の雲に注ぎ、水蒸気を雨化させ、地上に雨を降らせ始めた。

 ミーターは、北アメリカ大陸の頂き、南アメリカの頂きを踏破し、残るはアフリカ大陸、ユーラシア大陸、オーストラリア大陸をも踏破していった。

 その間にイルミナは、アルファのモノリーさんのお土産である粉末の分析が完了していた。

 その粉末の正体は、ナノサイズに加工した地球上のほぼ全種類の植物の種だった。雨が降れば、地球の緑化が再生する。

 ミーターがその特殊蒸気発生機の最終段階でかつてオーストラリア大陸と呼ばれていた地域のタウンゼント山頂で早朝シルクベットから起き上がった時だった。しっかりとして威厳のある響きが頭上からあった。

 ダニールはミーターに、2つの任務を依頼した。

 地球の古代の伝説「ノアの方舟」にあるような大量な雨が1ヶ月以上も地表に降り注いだ。

 その結果、大気中の放射能濃度は、驚くほど減少していった。

 1番目のダニールからの任務依頼を終了後、ミーターは、約束していたミーターはニフの中央東に位置する海岸から切り立った小高い山頂に夜明け前に到着した。

 そこにダニールとペイリー・リャンが待ち受けていた、3人は、海中から浮かび上がる緑色の光を目撃する。

 それからほどなく、東の水平線上に陽が昇って来た。

 ダニールは、ミーターに「カビレ」の本当の意味を解き明かす。そして地球放射能除去の段階の終了を宣言する。

 ダニールはミーターに幼女ペイリー・リャンをミーターにファー・スター2世号の新メンバーに加えてもらうよう頼む。

 彼らは、アルカディアの残りの悲願に向かってファー・スター2世号に改めて乗り込む。

 ミーターは、自分の胸ポケットの秘密を隠しながらも、ペイリーのイヤリングに注意がいく。

 ペイリー・リャンはまた彼女の名前の由縁も解き明かす。

 そこから、イルミナの歴史消滅以前の情報量が異常に増えはじめ、またたくまに全銀河の図書館にそのデータを拡散させていった。

186

イルミナ ミーターさん、「ベイリー、ペイリー」の検索のおかげで私の情報・データ掘り起こし機能が異常に開花したみたいですよ。
 
 たとえばですよ。さっき23000年前は、当時の地球では、22世紀と呼ばれていたとか、イライジャ・ベイリーは36世紀初頭のアメリカ、ニューヨーク市の刑事だったとか、あの『児童のための知識の書』は、コンポレロンのニューヤマブキで28世紀の中頃出版されたとか、ね。

ミーター でかしたな。これもペイリーさんのおかげでだな。

ペイリー ミーターさん、それは事実とは言えないですよ。全部、イルミナさんとパパの相互交渉の結果ですよ。

 じゃあ、イルミナさん、あなたの機能をどんどん拡張・拡散させることが必要ですね。

イルミナ それは任しておいて。すでに全銀河のファウンデーション傘下の図書館には、逐次接続、拡散を開始してます。
 あとは、残りのファウンデーションと連繋していない星々の図書館に承諾交渉を待つばかりだわ。
 こうなると私一人の作業量には限界がありますので、今スミルナ、ヘリコン、シウェナ、シンナックス、コンポレロンやシンナに協力を依頼し始めたわ。

ミーター 流石だな、イルミナ。なんという先見性だ!

 ところで、そのベイリーさんのアメリカというところが気になるね。

ペイリー どういう点でですか、ミーターさん?

ミーター うん、ペイリーさんの由来とはちょっと、違うからさ。
 イルミナ、そうだろう、ジョン・ナックについては、おまえはさっき、ニフとか言ってたよな?

イルミナ たしかにそうです。ペイリーさんの遺伝子のなかにはおそらくニフ人の血が多く入ってます。
 因みにジョン・ナックは23世紀の人よ。彼は地球上の至るところに行きましたけど、出身はオールドヤマブキといわれてます。

ミーター じゃあ、ダニールは、バランスを考えていたんだな。
 以前話した、ニフ人とハプロタイプEの人々とかね。

イルミナ ミーターさん、適切なご理解ですね。相当いい線だわ。

ミーター そういう言い方は、俺の理解が完璧じゃないとでもいうのか?

イルミナ いいえ、おっしゃったことは正確よ。それにもう少し付け加えた方がいいと思ったものですから。
 
 ジョン・ナックの思想の原点は、アルフレッド・ノース・ホワイトヘッドです。彼の思潮に「人間の魂というオデュッセウスに刺激と材料を与えるために、人間社会間の相違が絶対必要である。異なる習慣をもつ他国民は敵ではなく、ありがたいものである」という1文があります。

 おそらくダニールさんは、そういうセンスでアジア系の遺伝子の濃いペイリーさんに西欧系の名前を付けたんだと思いますよ。

ミーター 卓見だな。いやはや感服するな!

イルミナ そうでもありません。
 そのことについて少しだけ捕捉したいことがあります。

ミーター よく聞いているから、続けたまえ、ワトソン君。

イルミナ ここでは、もっぱら「温故知新」というモットーに規準を置くアジア型の旧文化出身のジョン・ナックと新文化出身のイライジャ・ベイリーとが対比されておりますが、その地球暦17世紀からとされているアメリカ文明といっても、ヨーロッパから移植された以前にもすでに人類は定住していた、という点が見過ごしにされやすいのです。
 つまり、アメリカンインディアンの精神性は新しい移住者によって根絶されたのではなく、今回私たちが経験したように、ゆっくりと徐々に再生して、後のアメリカ人に移植されて行ったと考えてみるべきなのですよ。

ミーター なるほどだ。ちょっとだけわかって来たぞ。いわば、低開発と開発の循環、相互補完というわけか。素晴らしい見識だな。よーくわかりました。有り難う。アルカディアの魂(たましい)君。

イルミナ ミーターさん、たら。お見通しだったんですね!

※新たなミーターの悟りは新たな冒険を誘う。

ミーターの大冒険 第九部 エピローグ 第4話 ベイリーの嗜好

2023-01-28 19:04:59 | エピローグ
186第4話ベイリーの嗜好
ミーターの大冒険
第九部
エピローグ
第4話

イライジャ・ベイリーの嗜好から歴史消滅からの曙

あらすじ

 ファウンデーション暦492年(西暦25059年)末、いよいよミーターとイルミナを載せたファー・スター2世号は太陽系の第4惑星の火星でついに、待望のダニール・オリヴォーに面会できた。

 それからダニールの月面基地から地球の放射能除去溶液と装置の準備を調(ととの)えて地球に降下して行った。

 人類の故郷の星系。懐かしい星、地球。
 
 かつて、カビレ星系と言われていた太陽系。かつてアタカナと言われていた地球。

 R・ミーター・マロウは、不死の従僕ダニール・オリヴォーに助けられて、主人アルカディアの志しをいまや成就させようとしていた。

 彼らの地上での行動はミーターは別として、2時間と制限されていた。

 そのイルミナのリードによって北上したアース・オービターは、無事にニフのフニ山頂上に着いた。

 放射能除去に必要なポニェッツ仕様のラヴェンダーエキスとオーストラリア産のデオライトの混入液を水蒸気発生装置でフニ山頂から昇化させ、地球上の各地山頂から同様に実施させていった。

 案の定、双子座流星群は降ってきた。この年は例年とは違い、幸運にも何ヵ月も継続した。

 流星群は成層圏に拡散している特殊水蒸気の雲に注ぎ、水蒸気を雨化させ、地上に雨を降らせ始めた。

 ミーターは、北アメリカ大陸の頂き、南アメリカの頂きを踏破し、残るはアフリカ大陸、ユーラシア大陸、オーストラリア大陸をも踏破していった。

 その間にイルミナは、アルファのモノリーさんのお土産である粉末の分析が完了していた。

 その粉末の正体は、ナノサイズに加工した地球上のほぼ全種類の植物の種だった。雨が降れば、地球の緑化が再生する。

 ミーターがその特殊蒸気発生機の最終段階でかつてオーストラリア大陸と呼ばれていた地域のタウンゼント山頂で早朝シルクベットから起き上がった時だった。しっかりとして威厳のある響きが頭上からあった。

 ダニールはミーターに、2つの任務を依頼した。

 地球の古代の伝説「ノアの方舟」にあるような大量な雨が1ヶ月以上も地表に降り注いだ。

 その結果、大気中の放射能濃度は、驚くほど減少していった。

 1番目のダニールからの任務依頼を終了後、ミーターは、約束していたミーターはニフの中央東に位置する海岸から切り立った小高い山頂に夜明け前に到着した。

 そこにダニールとペイリー・リャンが待ち受けていた、3人は、海中から浮かび上がる緑色の光を目撃する。

 それからほどなく、東の水平線上に陽が昇って来た。

 ダニールは、ミーターに「カビレ」の本当の意味を解き明かす。そして地球放射能除去の段階の終了を宣言する。

 ダニールはミーターに幼女ペイリー・リャンをミーターにファー・スター2世号の新メンバーに加えてもらうよう頼む。

 彼らは、アルカディアの残りの悲願に向かってファー・スター2世号に改めて乗り込む。

 ミーターは、自分の胸ポケットの秘密を隠しながらも、ペイリーのイヤリングに注意がいく。

 ペイリー・リャンはまた彼女の名前の由縁も解き明かす。

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イルミナ ペイリーさん、あなたのパパ・ダニールが、あなたの幼い頃、コンポレオンから、養女としてもらい受けた話が聞きたいわ。

ペイリー ごめんなさいね、よく覚えてないし、パパもあんまり詳しくは教えてはくれませんでしたので。
 でも肝心なこととして教えてくれたことはあります。
 私の名前の由縁についてです。
 パパは、もちろん、ソラリアのグレディア・デルマーさんをよく知っていて、その容貌を女性ロボットに模写したことは自然でした。
 けど、パパの好奇心は、もっぱら、親友のイライジャ・ベイリーさんの好みを模範としていたみたいです。

ミーター その好みとは? もっと知りたいな。

ペイリー ベイリーさんは、地球のよき時代の23000年前のムービー文化をベイリーさんはブック・フィルムでよく観ていて、気に入った女優の名前をしばしばパパに話してくれた、と言ってました。第2番目に好きな女優は、映画『メッセージ』のエイミー・アダムスで、第1番が、もっと昔のハリウッドという文化の初期の女優、ベイビー・ペイリーだと聴かされていたとか。
 それで、ペイリーっていう訳です。
 おそらく、私とはお二人とも全然似ていないと思いますけどね。
 パパは、思い出したように時たま笑って、イライジャの「ベイリーは、ペイリー」が好きだったと当時のギャグで私に教えてくれましたけど、私には、それがピンと来なかったのです。

ミーター うー、さもありなん!

ペイリー ペイリーさんは当時、ファッションセンス抜群といわれていたとか、文化発信のインフルエンサーの第一号といわれていました。特に彼女は、「孤高の美女」と呼ばれていて、私と同じ孤独だったというのです。

ミーター その二人のデータ、イルミナ、掘り起こしできないかい。少なくとも彼女たちの容貌なんか。

イルミナ ミーターさんたら、知ってどうするんですか?
 残存ですけど、歴史消滅以前のデータは、まだ掘り起こしができてないわ。

ミーター まあ、知的好奇心っていうやつだよ。断念することにするわ。

イルミナ 待ってください。一つだけ方法があるかもしれません。やってみるわね。
 ペイリーさん、こっちに向いてください。

 出たわ、ミーターさん、二人とも凄い美女ですよ。

ミーター イルミナ、どうやって写し出したんだ?

イルミナ それはね、複雑な操作が必要です。 まずペイリーさんの頭脳の記憶素子のなかのもっと奥のダニール・オリヴォーの記憶素子にたどり着く。
 ご存じのように不死の従僕様と私とは「極素輻射反応」で繋がっています。
 ので、今度は不死の従僕様の記憶素子のなかのイライジャ・ベイリーについての記憶素子を探る、ていうことです。
 たまたま、私が不死様と繋がっていますから可能となりましたが、他の人間或いはロボットとでは、無理です。

ミーター 凄い!お前って、もはや昔のファウンデーションの「銀河辞書編纂図書館」ではないな!
 ダニール・オリヴォーと「極素輻射反応」を共有しているってことは、我らが待ちに待った「歴史消滅からの曙」が今、ここで現出したんだ。

 ペイリーさんの名前の由縁を尋ねたのが、そのきっかけとなったんだ。
 素晴らしい結果になった。
 
 ベイリーさんの女性の好みからとはなぁ!
 ベイビー・ペイリーさんか。
 エイミー・アダムスさんか。
 二人とも美女だなぁ!

※最初がベイビー・ペイリー次が、エイミー・アダムス。